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修学旅行キャンプの班決め②決める時の進め方


前回は、下の記事で修学旅行・キャンプの班決めをする前の心構えを作るための幸せの話の授業について書きました。

今回はいよいよ、班決めの実際についてです。前回の幸せの話の授業を行うと上手くいく事がほとんどですが、まれに上手くいかなかったり、優しい誰かが譲ってくれたおかげで丸く収まったと言うこともあります。そんな時、それでもみんなが幸せに修学旅行やキャンプを迎えられるの鉄板の声かけと方法を書いていきます。ではいってみましょう!


事前指導 勝手にグループを組ませない

5年生、6年生になると修学旅行やキャンプで仲のよい友達と一緒の班になれるか、一人ぼっちにならないかどうかは大きな関心事であり、それと同時に心配事になります。特に女子にとっては。

その不安から、先生が班の人数を伝える前に、「絶対一緒の班になろうね」といって自分達で勝手に班を組み始めます。

結果どんな事が起こるのか。たとえば、男子2〜3人、女子2〜3人混合の1班5〜6人で組むことを先生が予定していたとします。そこで女子が先生の人数発表前から仲よし5人組で組んでしまっている場合、誰が別のグループに移るのかで揉めます。

そこで私は、4月の時点で以下のような指導をします。


4月の語り

6年生の一大行事といえば修学旅行ですね。
修学旅行楽しみな人?
そうだよね。みんな楽しみだよね。

では、先生から修学旅行に楽しく行くための秘訣を2つ伝えます。

1つ目。いろんな人と話せるようになっておこう。

修学旅行では、活動班で、部屋班で、バスなど、いろんな場面でクラスの仲間と活動します。修学旅行で初めて話す人と同じ活動班、部屋班、バスで隣同士って気まずくない?もちろん、全部仲のいい友達と一緒にいられたら最高だけど、人数の制約もあるから全部は思い通りにはならない。

だから、これから学校生活を送っていく中で、授業の中で話し合ったり、レクだったり、休み時間だったり、係りの仕事だったり、委員会だったり、いろんな場面でいっぱいいろんな人と話をしよう。そうしておくと、誰と修学旅行に行くことになっても楽しく行く事ができますよ

2つ目。班の人数は自分たちで勝手に決めないでね。

実は、修学旅行の活動班の人数は・・・・・・まだ決めていません。部屋班の人数も・・・・・決まっていません。部屋班は旅行社の方との打ち合わせがあってからしか決まらないので、修学旅行の直前に決まります。バスの座席も、バス会社で何人乗りのバスが手配されるか直前にならないとわからないので、わかりません。

つまり、人数についてはまだ何も決まっていません。学年の先生と話し合ったり旅行者の方と打ち合わせが終わったらみんなにも知らせますね。

と言うわけで、何も人数が決まっていないのに、自分たちで「私たち友達だよね。絶対一緒になろうね!」と班を組み始めると、後から人数が発表されて悲劇が起きます。

実際に起こった悲劇について話します。ある年のキャンプの班決めの時のこと、食事を作るグループで男女混合で5〜6人班を作らなければなりませんでした。組み合わせとしては次のようになります。

男 女
2 4
2 4
3 3
3 3
3 3

ところが、女子のグループがすでに、4人、4人、4人、3人、2人で出来上がってしまっていたんです。どの4人班が3人班になるのか、そして4人班の中で誰が別の班に移るのか揉めに揉めました。

これはキャンプの時の話だけれど、修学旅行の班決めも同じです。みんな、楽しく修学旅行へ行きたいよね。だから、先生たちが人数を発表して班を決める時間を取るまで、自分たちで勝手に決めないようにね。

こんな風に語り、勝手に班を組まないように釘を刺しておきます。修学旅行より随分前に、保護者の方から班決めのことでとご相談を受けることもありますが、「人数についてはまだ何も決まっていませんので、班を組まないように事前指導をしています。楽しい修学旅行になるようにしていきますので。もう一度学年で指導しますね。」と返答し、子どもたちが勝手に班を組んでいる様子が見られたら何度も指導します。

1つ目についても、「いろんな人と進んで話している人は、修学旅行が楽しく行けるね」と普段からの仲間との関わりをポジティブにフィードバックしていきます。


班決めの実際

私は以下の手順で決めていきます。

①活動班を決める
②部屋班を決める
③バスの座席を決める

子どもたちの関心が高い順です。

ルールの確認

以下のルールを確認

①誰か一人だけに我慢させて悲しむ人が出ないようにすること
②泣く子が出ないようにすること
③時間内に全ての班が決まること
④もし達成できないときは先生が班を決めること

②は特に注意が必要です。高学年になるまで思い通りにならないと泣く事によって周りに訴え、自分の思い通りにしてきた子が中にはいます。誤学習です。そこでこんな話をします。

T:班決めをすると、時々泣く子が出ます。悲しいという気持ちは伝わってきます。周りの人は、泣いている子を見てどう思いますか?
S:なんかかわいそう。
T:かわいそうって思ってどうするの?
S:なんとかしてあげたいと思う。
T:そうなんだね。みんなは優しいなぁ。
先生は、それはずるいなぁと思います。泣いたら、周りの人が泣いた子の思い通りにしてあげる。もしこれが通ってしまったら、全員が自分の思いを通すために泣き始める事になる。それってどうかなぁと先生は思います。

小さな子は、言葉で伝えることがまだ上手ではないので、泣いて伝えようとします。ほら、赤ちゃんもお腹が空いたり、オムツが濡れたとき泣いて伝えるでしょう?小さな子が、お菓子を買ってもらいたくてスーパーのお菓子コーナーで泣いて買ってと訴える、それもそうかもしれません。

でも、だんだん思っていることを言葉で伝えられるようになっていきます。それが大きくなるっていうことです。みんなはもう十分に大きくなってきました。きっと自分の思いを言葉で伝えられるはずです。泣かずに言葉で伝えてくださいね。
もし泣く子が出た場合は先生が班編成を行います。覚えておいてください。

涙にはいろんな涙があります。怪我をして痛いときの涙、自分の思いを押し通すための涙、感動した時の涙、誰かに共感した時の涙・・・。

いろんな涙がありますが、自分の思いを押し通すために、自分のためだけに流す涙はいらないと思います。ぜひ、感動したときや誰かに共感したときに流すために涙はとっておいてくださね。



①〜④のルール確認をした後、「初めから先生が決めることもできるけど、自分たちで決めるのと先生が決めるのどっちがいい?」と選択させます。そうすると大抵「自分達で決めたい」と言うので、うまく決めるためのコツを次に伝えます。

うまく決めるために自分たちにできることの確認

①全員が思い通りに行くことはない
②みんなで幸せに過ごすために班の移動ができるところは移動をする
③黙っていたらわからない、自分から声をかけよう
④もし一人ぼっちになっている子がいたらどうする?

①②については前回の幸せの話の授業を思い起こすとよいと思います。③④について私は大きな失敗をした事があります。

初任校でのことです、前項目のルール確認①〜④を確認した後、班決めをしたらある子が1人になってしまいました。時間内に決めないと先生が決めることになってしまうと思った2班の子どもたちが、その子に対して、「どっちの班がいい?選んで?」と迫ったのです。その子は、選べず泣きました。当然です。どこの班にも自分から入りたいと言えず、どの班の子にも誘われなかったから1人ぼっちなのです。

その子に対して「どっちの班がいい?選んで?」は残酷な言葉です。ところが2班の子どもたちは、私たちは助け舟を出していると思い込んでいるのです。

これは、自分の配慮のなさが招いた悲劇です。今でもその子に対して申し訳ない思いでいっぱいです。2度とこんな悲劇を繰り返してはならないと心に誓いました。

そこで今では、次のような話をします。

勇気を出して声をかける

T:はい、今先生が考えているコトがわかる人?
S:みんな仲良く?
T:ブブー、違います☺️今日の給食何かな〜って考えてました。
わかんなかったでしょ。そうなの。人間、いくら心で思ってても口に出して言わないとわからないんだよね。だから、これから班決めをするけど、この子の班に入りたいと思ったら、ちゃんと「入れて」「一緒なろう」と勇気を出して声をかけてくださいね。

もしも一人ぼっちの子がいたら

T:「もし一人ぼっちになってしまっている子がいたらどうする?」
S:「おいで〜っていう」
T:「そうだね。もし一人になっている子がいたら「おいで〜」って手招きしてね」

幸せの話の授業を終えた子どもたちは、たいていこんな風に答えてくれます。最後に「おいで〜って手招きしてね」と念を押します。

班の人数の確認

班の人数については修学旅行やキャンプで何を育てたいのかと言う意図によって変わってきます。学年の先生とよく話し合って、同一歩調で進めます。決め方や人数などのルールに他クラスとのズレがあると後から問題が起こります。慎重に進めてください。

男女混同にするのか、しないのか、1班の人数を何人にするのか、このフローチャートをに従いながら決定していきます。

それぞれの決め方で注意する点については以下の表にまとめます。

私は、Eで進めるのが好きですが、修学旅行やキャンプで育てたい力として何を挙げるのか、またクラスの実態に合わせて進めることも必要だと思います。

おそらく多くのクラスで、男女混合で5人から7人程度の班を作る事が多いと思いますが、男子が多いクラスの場合、女子の2人組が多数となる場合もあります。そういった場合は、BやCで柔軟に対応したりすることも検討します。

また、Eを選択し、男女混合で3人以上のグループであればよいとしたこともあります。そうすると先生「10人でもいいですか?」と聞いてくるので、「もちろんいいですよ。ただしグループ行動なので、いろんな施設を見に行くときに。10人で動くのは大変じゃないかな?」などと問いかけると、「確かに〜」となります。

そうすると、「当日くっついてもよいですか?」と聞いてくる子がいるので、「3人班と4人班がくっついて7人で行動してもいいですよ。とにかく、自分達の班で行動するができていれば大丈夫です」と伝えます。

全員の班が決定したら本決まり

このように丁寧に対応しながら決めていきます。
最後に、「自分の班が決まったら決定じゃないからね。全員の班が決定したら本決まりだからね。全部の班が決定するまで、みんなで考えて動こうね。時間はこの1時間です。この1時間で決まらなかったら、先生が考えますね。」と声をかけてから班決めをスタートします。


子どもたちが実際に決め始めたら、全体の様子を眺めながら独り言を呟きます。

相手の子も誘われたがっているかもよ〜。勇気出して声かけてみてね〜。
もし迷っている子がいたら、おいで〜って手招きしてね〜。

幸せの話の授業を行い、この手順で進めていくとほとんどの場合1時間かからずに班が決定します。

自分達で決めることができたね。それは、自分のことだけじゃなく、みんなの幸せのために、一人一人が考えて行動してくれたお陰です。それが先生はうれしいです。これも学級目標「つながるひろがる」だね。

こう学級目標とも絡めながらほめて、締めくくります。

長文になってしまいましたので、今日はここまでにしておきます。
1つでも参考になることがあればうれしいです。

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うまくいかなかった時の鉄板の声かけについては次回書きます。お楽しみに!


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