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介護福祉士と比較してみた結果、日本語教師の資格「やっぱりあったほうがいい」

※この記事は6分程度で読めます

現在、国家資格の公認日本語教師の資格について文化庁を中心に話し合われています。今後、詳細については決まっていくと思いますが、今、私達日本語教師はどう動いたらいいんでしょうか。

たしかに、今はオンラインで資格がなくても日本語教師として働けます。別に今から苦労して資格なんてなくたっていいんじゃ?と思いますよね。「今、オンラインで日本語の仕事ができてるし、それなりに仕事も入ってきているんだから」と。

結論→「早めに資格を得ておく」ほうがいい

私個人は「早めに資格を得ておく」ほうがいいと思っています。ただし、「ずっと日本語教師の仕事をしていきたいなら」。

ここで言う資格とは、告示校で働ける資格(大学の専攻/副専攻、大卒+420時間養成講座終了、日本教育能力検定試験合格)です。

もちろん、最終的に公認日本語教師がどういう制度になっていくかはまだわかりません。でも、これまでの話し合いの流れでは、そのし資格があって日本語教師として働いている人達を完全に無視する制度にはならない、何らかの経過措置があるともいわれています。

「名称独占資格」とは

さて、日本語教師の資格は「名称独占資格」となっていくと言われています。

「名称独占資格」とは、栄養士、保育士、介護福祉士、など資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる資格、ということです。つまり、資格がなくても介護の仕事はできますが、「介護福祉士」とは名乗れません。

一方、「業務独占資格」とは、医師、看護師のように、資格を持っている人だけが、その仕事を行うことができます。資格のない人が医療行為をしたら違法になります。もちろん、資格がない人は「医師」とは名乗れません。

つまり国家資格の日本語教師が設立されても、資格がない先生でも仕事は続けられるということになります。それでも、私は「ずっと日本語教師の仕事をしていきたいなら資格を意識したほうがいい」と思っています。

その理由をご説明できればと思っています。以下多少長くなりますが、お付き合いいただければうれしいです。

この話は、オンラインや海外など日本国内や告示校以外は当てはまらないところがあるかと思います。日本国内で日本語教師を続けていく場合、ということで読み進んでいただければと思います。

「日本語教師」と「介護福祉士」で似たところ

私は名称独占資格と聞いて、「介護福祉士」の資格について思い出しました。この「介護福祉士」の資格を例にとって考えてみても、やっぱり資格があったほういいと思います。

「日本語教師」を取り巻く状況は「介護福祉士」とよく似ています。

わたしは以前介護業界に数年いたことがあります。最初は経験も資格もなく仕事をしていました。その後、数年働いてみて、そのときは本気で介護福祉士の資格を取ろうと考えました。

理由は以下です。

1,資格があるほうが安定して仕事ができる

介護事務所には、一定の人数資格のある職員を配置する必要があります。「介護福祉士」であればどこかに求人があります。

2,専門知識を身につけられる

資格をとるためにはそれ相応の勉強が必要です。ある程度の専門知識を持っていることで、仕事の面でもさらに成長でできます。

3,給与が多少高くなる

例えば、無資格のヘルパーと介護福祉士とでは、時給では200〜300円違っていました。年収に直しても20%くらい違ってくるような感じです。

長い目で見れば、この差はかなり大きいです。たしかに、介護福祉士でしっかり稼げる人は多くないとは思いますが、無資格のヘルパーに比べれば給与は安定しています。一家の稼ぎ頭もなんとか家計を維持できる、というような感じだと思います。

4,国が制度で守ってくれる

介護には「介護保険」があります。超高齢化社会の日本では介護従事者がいなければ立ち行きません。国もその点はよく理解していて、介護従事者が減らないように、手当などで守ろうとしています。もちろん、介護の仕事でガンガン儲けられる人は多くないですが、仕事がなくなることもありません。

そんなわけで、「介護福祉士」いいなあ、と思っていました。しかし、その後「日本語教師」に転職してしまったので、当時の「ヘルパー2級」どまりで、介護福祉士の資格は取れずじまいです。

今回、日本語教師の国家資格についての話し合いを見ていて、「この内容介護の話と似ているなあ」と思いました。

実際、文化庁の資料でも「名称独占資格」の説明で「介護福祉士」を例に出していることからもその意図を読み取れるように思います。https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/93033002_04.pdf

今後の展開予測

おそらく公認日本語教師の制度が施行される令和5〜6年、そして移行期間を経て、この先5年後くらいには、日本教師を取り巻く状況は下のようになっているのでは、と思います。

つまり数年後には「日本語教師の国家資格」で

1,安定して仕事ができる
2,専門知識を身につけられる
3,給与が多少高くなる
4,国が制度で守ってくれる

から、資格はやっぱりあったほうがいいよね、と、みんなが言っている、と予測できます。

もちろん、これは私の憶測に過ぎませんが、あながち大外れもしていなんじゃないかと睨んでいます。

もう一度結論

ということで、今日本語教師としている先生たちは「早めに告示校で働ける資格を得ておく」ほうがいい、と思います。

大学の専攻/副専攻、大卒+420時間養成講座修了、日本教育能力検定試験合格、のいずれかもしくは複数に該当すれば、どんどん安全になるのでは?と。

例えば、420時間の養成講座を修了した先生たちは今年か来年には「日本語教育能力検定試験」にも合格しておく、大卒ではない人は早めに通信大学などで大卒になっておく、などです。

こうした努力は、日本語教師の仕事が好きで、なんとかこの仕事を一生していきたい人にとっては無駄にならないと思っています。

日本語教師の仕事が好きな先生たちは、さらに資格を意識すること、そしてこの先の制度化に先んじて動いていくことが大切だと思います。

#毎日note #日本語教師 #日本語教育能力検定試験  

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