大阪市民の選択が教えてくれること

住民は変わらないことを選んだ

大阪市を廃止して特別区を作るための住民投票が否決されました。
端的には「いまのままでええやん」を選択したということだと思います。
維新になってから大阪が変わったように見えます。地価の上昇率は4年連続ナンバーワンだし、景気動向指数も(2019年までは)上昇、生活保護も減っているそうです。すべてが良くなったというつもりは無いですが、やはり、変化はあったのでしょう。維新が国政や地方選挙で強いのも、変化が支持されてきたということだと思います。
一方で、人や党の人気はいつか無くなります。そうなったときにも改革を形に残すために、仕組みを変えておくことは大切です。行政の仕組みというのは一度作ったらなかなか変わらないからです。人や党が「意識の問題」としたら、組織の問題は「体質の問題」といえるでしょう。今回は体質変更の選択でした。
結果、否決されたので、「仕組みは変えずに、このままいこう」ということです。
僕も、誰かが突然「23区を独立します」とか言い出したら面食らうと思うので、まあ、わからなくもないです。(大阪都構想についていえば、そもそも堺市が離脱した時点で終わった政策だったんじゃないかなと思っています。)

「変えずに変える」のは厳しい道

外から見ると「随分厳しい道を選んだな」と見えます。
仕組みを変えずに意識だけで改善をしていく、というのは、なかなか大変です。変革するには外や枠組みからの強制力があったほうが楽に変わるからです。だから仕組みを変えないのは厳しい道だと思うのです。
もちろん「そもそもいまのままでいいんだから、何も変わらなくていい」という考えもあるでしょう。
これは県内GDPの順位です
【県内GDP(名目)H29年度】
1位 東京都 106.4兆円
2位 愛知県  40.3兆円
3位 大阪府  40.0兆円
4位 神奈川  35.6兆円
5位 埼玉県  23.4兆円
6位 兵庫県  21.3兆円
数年前から大阪(府)は2位の都道府県ではなくなっています。
もちろん、兵庫や京都を併せた経済圏ということであれば、2位でえすが、何も変わらないと、首都圏との差は広がるばかりです。順位はあくまで順位ですが、常に、「もっと良くしていこう」ということは必要です。

他の市町村が参考にできること

今回、大阪市民がした決断は今後、多くの道府県にとって、参考になると思います。
行政は100年以上続くものです。経過観察にも10年かかるでしょう。
変わらない決断をした大阪市が10年後どうなっているのか?
大阪市は体力がある市です。日本には財政難に苦しみ、一刻も早い改革が必要な市町村はたくさんあります。
→10年後、大阪市が更に良くなっていたら
・無理して仕組みを変えなくても中身は変えられる
→10年後、大阪市が悪くなっていたら
・変えられるうちに変えないといけない
ということが見て取れるんじゃないかと思います。
二重行政の解消だけが大阪を良くする方法では有りません。決まった以上は、いまのままの枠組みでどうやったら良くなっていくのか、ぜひ発信を続けていってもらいたいと思います。

「住民投票」の限界について

あともう一つ。
そもそも、こういう決断は政治が責任を持ってやるべきもので、「住民投票」にはなじまないんじゃないか?という気がしています。
大阪のみならず他の市町村や、国全体のレベルでも憲法改正とか、いろいろ住民投票の仕組みはあります。
英国でもブリグジットで住民投票で随分混乱したのは記憶にあたらしいです。
選挙をするのはせいぜい人を選ぶのが精一杯で、個別の政策については、「あのときああしてれば違ったのに」というモヤモヤが残るんじゃないかなあ。という気がします。

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