見出し画像

企業らしさを表現した5つのプレスリリースから考える「届くプレスリリース」とは?

リッチコミュニケーション総研(RC総研)」は、マーケティングに関わるすべての方へ、次世代のマーケティングを行うヒントを提供します。

海外のトレンド、注目テクノロジー、新しいメディア情報、リサーチ結果など、マーケティングの最新情報を、定期的にお届けします。

第四弾では、「届くプレスリリースを考える」と題して、多様化するプレスリリースの現状から、これから求められる広報PR像について考察しています。

そもそも「プレスリリース」とは何か?

マーケティングの現場では、日頃何気なく使っている「プレスリリース」という言葉ですが、本来は新聞やテレビ、雑誌などのメディア向けに、企業などが新しい情報を発表することを意味しています。これが転じて、そうした情報を記載した文書自体を指すのが一般的です。

マーケティング、特に広報を担当する人にとって、自社のさまざまな活動についてメディアで取り上げてもらい、報道を通じて世の中の認知を広げるために、こうしたプレスリリースの配信は有効な手段となります。

プレスリリースに必要な要素は、「新規性」です。原則、新しい情報が入っており、かつ何がどう新しいのか明確に記載しておく必要があります。さらに、プレスリリースに必ず含めたい情報は、以下の7つの要素です。これらの情報は、あくまでもメディアの担当者を対象として、目に止めやすく、かつ内容を理解しやすいように書くことが求められます。

スクリーンショット 2022-03-02 15.28.48

出典:株式会社PR TIMES「プレスリリースとは何?配信する意味・5つの効果を広報担当者が徹底解説」

多様化するプレスリリース表現

一方で、近年、従来とは異なる新しい形態のプレスリリースが生まれ始めています。プレスリリース配信サービス「PR TIMES」などによって、プレスリリースのデジタル化と一般化が進み、今ではメディア関係者に限らず、誰でも簡単にプレスリプレスリリース配信サービス「PRTIMES」などによって、プレスリリースのデジタル化と一般化が進み、今ではメディア関係者に限らず、誰でも簡単にプレスリリースにアクセスできる時代になりました。

こうした環境の変化により、プレスリリース自体も、客観的な内容を端的に伝えるものから、そこに至る過程や当事者の主観も求められるようになり、生活者が必要としている情報や、読んで楽しいプレスリリースを作る工夫がされるようになりました。こうしたプレスリリースの変化を示す、新しい形態のプレスリリースを 5 つ紹介します。

スクリーンショット 2022-03-02 15.30.27

●音声を使ったプレスリリース

これは、音声配信サービス「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンクが、株式会社 PKSHA Technology の音声関連技術をもとに、AI 音声合成サービス「カタリテ」を開発したことを発表するプレスリリースです。

デジタル文書のプレスリリースも制作されていますが、開発した AI 音声合成サービスを実際に活用して音声化することで、サービスそのものの使用感を直接聞いてもらうことで伝えることができています。

スクリーンショット 2022-03-02 15.31.46

出典:株式会社オトバンク「オトバンク、PKSHA Technology の技術を活用した AI 音声合成サービスを開始」

●原稿用紙のプレスリリース

これは、知的障害のある作家とのアートライセンスをもとに事業を展開する株式会社ヘラルボニーが資金調達を行ったと伝えるプレスリリースです。

この資金調達を受けて世の中をどう変えていくのかという経営陣の思いや、投資家からのメッセージが手書きの原稿用紙で綴られています。

創業者である双子の両代表の兄・翔太さんが自由帳に綴った謎の言葉が社名の由来となったという背景をベースにした表現となっており、自社のルーツを抒情的に表せています。

スクリーンショット 2022-03-02 15.32.50

出典:異彩と共に、福祉の世界をさらに広げていくために。

●メッセージ性を強めたプレスリリース

これは、古着コミュニティ「古着女子」の運営や「9090」をはじめとする複数のD2C ブランドを 手 掛 け る 株式会社 yutori が、ファッション 通 販 サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社 ZOZO との資本業務提携契約を締結することを決定したことについてのプレスリリースです。

ここでは、株式会社 yutori の理念と株式会社 ZOZO との資本業務提携の理由について、情感強めに主観的に記載することで、ブランドの理念を強める行動であることを強く印象付けることができています。

スクリーンショット 2022-03-02 15.33.49

出典:株式会社 yutori「臆病な秀才の最初のきっかけを、創り続ける。」

●方言を用いたプレスリリース

これは、広島県観光連盟が新型コロナウイルスの影響によって広島に帰省ができなくなってしまった人々に向けて出したメッセージを伝えるプレスリリースです。

広島弁を使って表現することで、大々的に「帰ってきて」とは言えないやりきれない気持ちや、再会を願う広島の人々の思いをエモーショナルに伝えることができています。

スクリーンショット 2022-03-02 15.34.38

出典:「「ばかたれーーーっ!!」広島県観光連盟が、年末年始に首都圏で過ごす広島人のみんなに向け、東京駅とか新宿駅とか、首都圏計 6 駅でメッセージを出すけぇね!」

●動くプレスリリース

これは、株式会社リチカが 8 億円の資金調達を行なったことを伝えるプレスリリースです。ここでは、株式会社リチカが動画広告などの制作を支援する「クリエイティブテック」サービスを展開している強みを生かし、GIF 動画を連ねた動きのあるプレスリリースに仕上がっています。

また、このリッチクリエイティブを通じて資金調達を経ての想いを伝えるという形式は、株式会社リチカの「Switch toThe RIch. 想いが届く、で世界を豊かに。」というミッションを体現するものとなっています。

スクリーンショット 2022-03-02 15.36.16

出典:リチカ、8 億円の資金調達を実施

後編では、株式会社 PR TIMES 鈴木碩子氏とPR Design キルタ氏が語る、これからの広報PRをお届けします。


*上記記載情報は2022年1月時点のものです。
*PDFでご覧になりたい方は下記よりダウンロードしてください。