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神話と現代の境目へ(出雲旅その7)~「神仏の通ひ路」を西へ~

【前回までのあらすじ】

令和6年元旦に起きた震災で心に期するところがあった野郎二人。出雲を目指して旅することになった。しかし、時間は1月4日の夕方から5日の夜まで、約24時間しかない。「24 -TWENTY FOUR-」のように緊迫した「中国大回転」旅が今始まる。

中国大回転ルート

福山駅→米子駅前スーパーホテル→赤猪岩神社→清水井→境台場公園「美保関事件」慰霊塔→美保関灯台→美保神社→参道である青石畳通りと佛谷寺→出雲大社へ一気に移動←イマココ

【出雲大社を目指し、「旅立ち~西へ~」】

島根半島を西へ横断


美保関から、島根半島を一気に西へ横断して出雲大社を目指す。

きらめく美保の海

美保関にグッバイ、俺はこれから旅に出る♫

青が美しい
きらめく海に海上保安庁の船が停泊しているのが見える


気分は映画「もののけ姫」の「旅立ち~西へ~」


そういえば、「もののけ姫」の舞台となったのは、たたら製鉄を行っていた奥出雲と言われている。主人公アシタカが東日本からタタリガミの痕跡を追って西へ移動していったこと、そして猪神たちが鎮西(九州)から海を渡って攻め寄せてきたことを考えると、地理的にも中国地方になるのだろう、と推測できる。
おお、盛り上がってきたぞ!!


【路傍の「トロン温泉」】


年季の入った建物に「トロン温泉」と書かれた、これまた年季の入った看板を見かける。

なんかかわいい看板

「トロン温泉」というのは何だか間の抜けたネーミングだな、トロンとした泉質なのかなと思っていたが、全然違っていた。
トロン温泉は、ドイツにある高級保養地「バーデン・バーデン」算出の鉱石「トロン鉱石」が由来なのだそうだ。
そう、「バーデン=バーデンの密約」の彼の地である。​​​
厚生労働省が認可する「トロン浴素」を使用して、バーデン・バーデンの湯を再現した人工温泉を「トロン温泉」というのだそうだ。
知ると結構びっくりした。

【横から見てもよくわからない「ベタ踏み坂」】

左手に中海を眺めつつ海沿いの道を走っていく。

そういえばこの辺りに「江島大橋」(別名・ベタ踏み坂)という道路が観光名所になっているところがある。

松江市と境港市を結ぶ橋なのだが、これが見る場所によってとんでもない急勾配に見えるのだ。

私もネットの画像で見た時はびっくりした。CGかフェイク画像だと思ったほどだった。
しかしGoogleストリートビューでは急勾配に見えないから不思議だと思っていた。
人にはものすごく映りの良い「奇跡の一枚」があったりするが、「ベタ踏み坂」に見える奇跡の角度があるのだろう。
残念ながら渡りに行く時間の余裕は無いから、海の向こうに見える江島大橋に目を凝らすのだが、全然「ベタ踏み坂」に見えないのだ。そりゃいくら急勾配の橋でも横から見たら、ただの橋だ。
横から見ているから当たり前なのだが、近くまで来ながら悔しい。

【武蔵坊弁慶の故郷・本庄】


トイレ休憩も兼ねて「道の駅本庄」に停車する。

このあたりはあの有名な武蔵坊弁慶の故郷らしい。全然知らなかった。

やたら弁慶島やら関連の地名があると思ったら、そういうことなのか。
ただ、かつて行った和歌山県も弁慶の故郷と宣伝していた。
偉人の出身地がどこなのかは議論が絶えないところだが、島根県と和歌山県とは少し離れ過ぎじゃないだろうか。

Wi-Fiと書かれて上に「弁慶生誕の地」と書かれているのがシュール


【神仏の通ひ路】

今私たちが進んでいる道には、出雲国の20もの社寺が連なる「神仏の通ひ路」という素敵な名前がついている。

「神仏の通ひ路」とは、神も仏も崇めてきた日本人らしいネーミングセンスである。

「道の駅 本庄」から見える中海を眺めていると、「ちょっとコンビニ行ってきます」と言っていたクレソン後輩が帰ってきた。

もっしゃ もっしゃ もっしゃ

何かを頬張ってる。

「あ、ファミチキです。美味しそうなんで」

そういえばこの人、プリングルスを食べたりしてたな。
さっき「烏賊の味忘れで帰る美保の関」の句を見ても名物「イカ焼き」を食べなかったくせにファミチキを食べていた。
聖地だろうが観光地だろうが平常運転なのであった。


神話の現代の境目へ(出雲旅その8)~本当に「八雲」が立つ出雲に到着~に続く



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