自己の崩落、混沌の境地
「君のことは僕が一番よく知ってるよ。」
隣でそう囁かれる。
「何で」
私が尋ねる。
「ずっと側にいたじゃないか。」
そういえばそうだったような気もしてくる。
「昔から鈍臭かったよね。ほら、体育祭とかさ。」
要らない話をしてくる。舌打ちをしてやめさせる。
「君にとっては辛い記憶か。君だけだもんね、1人だけ皆んなと動きがズレてたり、違うことをしていたのは。幼稚園生の頃だっけ。」
やめてくれ。何なんだよこいつ。
「そして小学生。毎日家に帰ってきた父親が休日だけに、一週間に一度に、と