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臆病傘

雨は嫌いだ。
だって君のことを思い出させるから。


その日の天気予報で雨が降るなんて言ってなかったけど一応傘を持っていった。

運良くなのか、悪くなのか僕と君は学校帰り急な土砂降りに見舞われた。
すぐに傘を出そうと思ったけど、君が僕の手を引いてシャッターが降りているお店の軒下まで走った。
嬉しかった。全身の温度が上がるのがわかった。
びしょ濡れになりながらも君は笑って「これも良い思い出になると良いね」なんて言っていた。
雨は強く降り続いた。
このままずっと降り続けば良いのに。
そしたら僕は君をずっと独り占めできるのに。

でも、僕は隠しておいた傘を出して、「少し雨が弱くなったら家まで送るよ」と言った。
君は驚いた後、「持ってるなら早く言ってよ〜!」と笑いながら言った。
僕はごめんね。なんて思ってないことを言い、その後はただひたすらに雨音を聞いていた。
隣にいる君の横顔に濡れた前髪がくっついている。

僕は臆病だから、君に嘘なんかつけないから、だから、神様、どうかもう少しだけこのまま雨を強く降らせて下さい。

どうか、僕の臆病がいなくなるまでは、

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忘れられない恋物語

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