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コン、コン、コン、










おはよう。またいつもの部屋。

コン、コン、コン、

「・・・・・」

コン、コン、コン、

「・・・ん。・・・おはよう。」

ええと、ここは
うん、いつもの部屋だ。

よいしょっと。

ベッドから飛び降りる。

が、着地したカーペットが滑ってベッドに頭をぶつける。

いててて
まあ、いつものことだ。

コン、コン、

「ああ、大丈夫だよ。」

コン、コン、コン、

「今日は水没した世界の夢だったよ。私は空から落ちて海に投げ出されたんだよ。ただ、生き物はいなくて、ぼーっと傾いたビルの上で眺めてただけだった。」

そんな景色一度も見たことないのに
夢ではそれらが現れる。

コン、コン、

「ありがとう」

ノックとともにいつの間にかテーブルに現れた朝食をとる
温かくておいしい。たぶん。

改めて部屋を眺める。

やはりいつもと変わらない眺めだ。
シンプルだが少し広い、どこにでもあるような気がする、
だがどことなく不思議な雰囲気の部屋だ。

部屋での生活は飽きない。
欲しいものすべてがある。というか現れる。

机やソファ、知らない画家の絵、たぶん存在しな有名な本、
望んだもの全て現れる。

コン、コン、コン、

「ごちそうさまでした。おいしかったよ。」

彼(ってわたしがよんでる。彼女かも。もしくは、それ以外)は誰か分からない。

ごはんをくれるからたぶんいい人だ。

わたしは・・・あんまり自分を知らない。

コトバは最初から知っていたと思う。

何歳かは分からない。
ずっとここにいる。

たぶん人だと思う。











わたしの好きなひと時。音楽とともに。

気が付くと本棚が現れていた。

とてもおしゃれだからわたしのお気に入りだ。

久しぶり見た気がする。
ちょうど今日は読書の気分だった。

「ありがとう。」

コン、コン、

うーんと…どれにしようかな。

わたしの好きな時間の一つ、本を選ぶ
大きい本棚にはまだ読んでいないものが沢山ある。全て読むのは無理かも。

なんだか宝探しみたい。

あ、これあの作家さんの!
こっちはあの人の!
このシリーズ新しいの出たんだ!

ううん…とても悩ましい。

じゃあ、これ!

手に取ったのは、あえて今まで読んだことのない作家の本だった。

たまには冒険しないとね。


わたしの机はとってもシンプルで使いやすいものだ。
そして、わたしの好きな見た目だ。

きっと彼が考えてくれたのかも。

机のいつもと同じ引き出しから音楽プレーヤーを取り出す。

これにもいろんな曲がはいってるけど
今回はいつもの明るくて落ち着いた感じのBGMをかける。

こっちのほうが周りの音が消えて集中できる。

窓もない部屋では何も聞こえなそうだが、実際はどこからか、何かが聞こえてくる。たぶん環境音?だと思う。

普段は気にならないが、読書の時は集中したい。


今日も本の中のセカイへ、落ちてゆく。

レッツ、ゴー!











おやすみ。また明日会えたら、いいね。


本の中は最高だった。
よみ終えて、背伸びをすると、本は消えていた。

気が付いたらもう暗くなっていた。

実際は見えないのだけれど
なんとなく、感じる。

コン、コン、

テーブルの上に、冷たくなったカレーがあり
表面にはうっすら膜が張っていた。

コン、コン、コン、

「ゴメン、今食べるよ。」

ほんのり、甘い
ちょっとピリッとする
わたしの好きな味
なんとなく、まだ温かい。

「やっぱりおいしい。いつもありがとう。」

彼は料理がとっても得意だ。

コン、コン、コン、

たぶん、どういたしまして。


パジャマに着替えて歯を磨く。

そろそろ眠くなってきた
朝、頭をぶつけたベットに横になる。

ふかふかしてて、溶けそうになる。

「おやすみなさい」

コン、コン、

『また明日・・・』

その声はノックの音に混じって、
少し、聞こえずらかったけど、
とっても低い、囁くような
けれど、なんとなく、暖かく包み込むような声だった。

あぁ、たぶん、わたしが思う"彼"と一緒だ。
そう思ったんだ、

だけど、すぐにわたしはこのことを忘れるのだった。

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