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海外研修に参加した中高生の言葉から:その2

中高生の海外研修を引率したとき耳にした言葉を集めています。異文化理解の一助になればうれしいです。

9 「お寿司が食べたいと言われて困った」

滞在中に日本の料理を作ってあげようと思い何がいいかと聞いたら「握り寿司が食べたい」と言われて困ったという人がいました。握り寿司など作ったことがないからです。

日本の寿司は海外でも有名なので、外国人の中には日本人は日常的に家で寿司を作って食べていると思う人がいるようです。特に本格的な「握り寿司」は家ではほとんど作らないということを知らないようです。そうしたことを説明してあげるチャンスです。

ホストファミリーに日本の料理を作ってあげると喜ばれることは多いです。でも普段料理をしたことがない生徒にとっては大変なことです。渡航前にあらかじめ練習しておくとよいでしょう。 先述した寿司も近年は外国風にアレンジした巻き寿司などが売られています。渡航前に練習しておけば作ってあげられるかもしれません。

肉じゃがやお好み焼き、牛丼など簡単にできるものがお勧めです。 ホストファミリーにリクエストを聞くのもよいです が、先述のように寿司やてんぷらなど作りにくいものを言われてしまうこ とがあります。悩んだりしないで、できないものはできないと遠慮なく伝えましょう。 現地で材料を入手するのが難しいこともあるので、どこにでもある材料で作れるメニューが無難です。日本から持っていくことも一案ですが、国によっては食べ物の持ち込みが制限さていることがあるので注意が必要です。

10 「お風呂が恋しい!」

滞在先によってはバスタブがなくシャワーだけの家も あります。バスタブがあったとしても普段は使わずシャワーで済ませることも多いです。湯船にゆったり浸かることに慣れている日本の生徒はシャワーだけだと物足りなく、お風呂が恋しくなることもあるようです。これも文化の違いと考えられるでしょう。できるならシャワーで我慢しましょう。

シャワーの場合も使用する時間が決まっていることもあります。 国によっては水がとても貴重なところもあります。水不 足でシャワー時間が制限されていることもあります 。いずれにしてもお風呂やシャワーの使い方、いつ使えば よいかなど最初に確認することが大切です。

11 「ホストファミリーがどこにも連れて行ってくれない」

ホームステイに「おもてなし」を期待する生徒がよく言います。他にも「ファミリーが面倒を見てくれない」「ほったらかしにされている」などという不満を口にする生徒もいます。特に、他の参加者があちこち連れて行ってもらったり、家でパーティーをしたなどという話を聞くと、不公平に感じるようです。「ほかのファミリーがよかった」と思うのでしょう。

ホストファミリーも一様ではありません。中高生を受け入れる家庭は子どもがいることが多いですが、中にはシングルマザーの家もあります。母親が専業主婦の家もありますし両親共働きの家もあります。子どもが多くて忙しい家庭もあります。

子どものいない家庭もあります。高齢女性一人という家もありますし、下宿屋のように何人もの人を受け入れていて個別に面倒は見ないということもあります。

ファミリーはみんな違うということをまず認識することが大事です。他と比べるのは意味がありません。ホームステイはホテル滞在ではありませんから、サービスを期待しないことが大切です。

もちろん中には問題のあるファミリーもいます。あまりにひどいと思ったらコーディネーターに相談しましょう。いずれにしてもどんな家でも滞在から得られるものはあります。大事なのは学ぼうとする姿勢です。


12  「庭の芝刈りをやらされた」

休みの日にファミリーに「芝刈りを手伝って」と言われたのでやったという人がいました。「お手伝いができてよかったね」と私は言いました。手伝いを頼める関係が築かれているからです。

ファミリーの手伝いをするのはとても良い経験です。食事の準備や後かたずけ、掃除、ペットの散歩やガーデニングなど手伝うことはいろいろあります。手伝いをすると家族の様子がより理解できますのでファミリーに聞いて必要な手伝いはどんどんやるのがよいと思います。

ただ、ファミリーの中には「手伝い」以上のことをやらせる人もいないとは限りません。ファミリーの仕事を肩代わりさせられたとか、ベビーシッター代わりに使われたという話も耳にします。疑問を感じたらコーディネーターに相談しましょう。

13  「早く日本に帰りたい」

ホームシックになったわけでもないのにこのように言う生徒がいました。プログラムの最初から「日本に帰りたい」と言っていました。参加したくなかったからです。本人には参加の意志がなかったのですが親に無理矢理参加させられたと言っていました。だから滞在中はいつも日本人と行動し、日本語で喋っていました。英語を上達させようという気持ちがないので、先生の指示なども自分から理解しようとせず、「何やるの?」「なんて言ってるの?」と友達にいつも聞いていました。友だちにとっても迷惑なことです。大金を払っているのにもったいないなと思いました。

もちろん参加の意志がなかったとしても滞在中に気持ちが変わり、積極的に行動するようになる人もいますが、やはり自分の意志で参加することが重要だと思います。

自分の意志で参加する生徒も動機は様々です。海外に興味がある、海外の大学に留学したい、将来海外で仕事をしたい、英語を上達させたい、外国の友達を作りたいなどいろいろです。モチベーションの高い人もいれば、低い人もいます。当たり前ですがモチベーションの高い人は積極的ですし、学ぶことも大きいです。先の生徒のように親が行けと言うから参加したという人は概して得るものが少ないです。

渡航前に事前学習をある程度しておくことも大事です。滞在を有意義なものにするためには現地の情報を出来るだけ得ておくことのがよいです。さらに日本のことも勉強しておくのがよいです。意外と知らないからです。日本のことを質問されて答えられなかったという人は多くいます。英語の勉強もできるだけやっておきましょう。現地に行けば何とかなる、行けば英語が上達すると安易に考えるのは間違いです。

⇒続く

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