ブータンで総選挙がありました
台湾総督選挙の陰で大きく取り上げられることがないですが、ブータンでも国民議会(下院、47議席)の総選挙が先週行われ、国民民主党のツェリン・トブゲイ党首(58)が首相に返り咲くことになりました。トブゲイ氏は13~18年に首相を務めましたが、2018年に国民民主党が政権を失った際に首相の座を降りています。そして今回は再度の政権交代です。
ブータン国民議会は、2008年の憲法発布により、王政から立憲君主制に移行したことで設立されました。総選挙は2008年、2013年、2018年に続いて今回が4回目です。予備選挙を経て2党が下院議席を争う形で進められます。2023年11月30日に投開票された予備選挙では5つの政党が争いましたが、与党・協同党は4位となり、上位2党による本選には進めませんでした。本選では国民民主党と縁起党が争い、国民民主党が30議席を確保し、縁起党は177議席にとどまりました。
私が訪れた2018年も総選挙の年で、あちこちで選挙ポスターを目にしました(以下の写真)。
人口約80万人で、日本の九州とほぼ同じくらいのブータンは、経済成長や物質的な豊かさだけではないバランスの取れた成長を目指す「国民総幸福」という方針を提唱してきました。でも、近年は若者の失業率が高まり、海外への出稼ぎや留学が増えています。都市部と地方の間の経済格差も問題になっおえい、さらに主要産業の一つである観光業がコロナ禍で大きな打撃を受けていることも深刻な問題です。
こうした中、国民の政治への関心も高く、今回の選挙も投票率は65.6%と報告されています。生活に不便な山村が多いブータンでは投票に行くのも大変です。それでも日本よりはるかに多い人が投票しているのですからすばらしいと思います。国民が政権に満足しなければ「No!」と言う。政権交代が生じることに「健全さ」を感じます。
ブータンの選挙システム↓
参考:ブータンの基本データ
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