ボクの自由研究:「丁寧な説明」の意味(中学生の日記)

*中学生のボクは架空の少年です。

家族でテレビを見ていたらお母さんが「リモコン取って」とボクに言った。ボクは「はいっ」って言ってリモコンをお母さんの横にあるクッションにポーンと投げた。するとお母さんは「何やってんのよ、壊れちゃうじゃない。もっと丁寧に扱いなさいよ」と言って怒った。お母さんには「丁寧に扱え」ってしょっちゅう言われる。学校でも先生に言われるよ。「字を丁寧に書きなさい」って。確かにリモコンは丁寧に扱わなければ壊れるだろうし、字は丁寧に書かないと 読めない。自分が書いた字だって読めないことがあるからよくわかる。

分からないのは政治家の人たちが言う「丁寧な説明」だ。最近よく言うよね。「丁寧な説明が必要」とか「丁寧に説明してまいります」って。ぼくにはそれがいまいちわからない。全然丁寧じゃないのに「丁寧な説明」って言うからだ。「丁寧」の意味を辞書で調べてみると、「細かい部分に注意や気配りが行き届いているさま」「入念に丹精込めて行うさま」「礼儀に則り折り目正しく振舞うさま」などと書いてある。

リモコンを放り投げたり、字を雑に書いたりするのは「丁寧」と言わないのはわかるよ。でも「丁寧な説明」って何だろう。説明っていうのはそもそも丁寧にするものでしょ。相手にわかるように言わなきゃ説明にならないよ。「丁寧な説明が必要」と言う人たちは丁寧に説明してこなかったのかな。自分の説明が丁寧でないことを自覚しているのかな。でもそう言いながら丁寧とは思えないことが多い。説明になっていなかったり、同じことをくりかえすだけだ。全然丁寧じゃない。口だけの感じもする。「丁寧な説明」っていうことばでごまかされているような気がする。

だから夏休みの自由研究はこの「丁寧な説明」について調べることにした。いつごろからこの言葉が多用されるようになったのか、政治家がこの言葉を使うのはなぜか、多くの人はそのことをどう感じているのかなど。中学生の自由研究らしくないかもしれないけれど、疑問に思うんだから研究テーマにしてもいいよね。

               言葉に興味がある中学生



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