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112 学年の終わりに贈ることば(中学1年生最後の学級通信)  

中学1年生が終わろうとしています。中学校の制服に身を包んだみんながちょっぴり不安そうな表情で体育館に並んでいた入学式が昨日のことのように思い出されます。あれから一年経ったのですね。

みんなと会うのはすごく楽しみでもした。でも不安もありました。みんなが中学校生活に期待と不安を抱くのと同じように先生たちも新入生を受け入れるときは同じように期待と不安を持ちます。みんなのことをよく知らないからです。未知の部分が大きいと不安も大きいです。でも、入学式でみんなと出会ってから今日まで一年間一緒に生活してきて今の私には不安はほとんどありません。みんなのことを知ることができたからです。

一方で別の不安があります。それはこれからの世の中に対する不安です。21世紀は確実にみんなの時代です。お父さんやお母さん、先生たちに代わってみんなが世の中を動かしていく時代です。中学生である今はそのための準備の時です。たくさんの知識を獲得し、思考力や判断力を養って「生きる力」を身につける時です。

入学式の日に私がみんなに話したことを覚えていますか?もう忘れちゃったかな?「中学校というのは大人になるための準備をするところ」だと私は言いました。勉強は学校だけでするものではありません。家庭、社会、そして人との関係の中で学ぶことはたくさんあります。日常のちょっとしたことからも学べることはあります。実際に何を学ぶかはその人自身にかかっています。21世紀を担える人になるためにみんなはどんなことを学んでいますか? どのように自分を磨いていますか?私が新たな不安を感じているのはそんなみんなの中に時折「甘え」が見えるからです。「甘え」が自分を磨く努力を怠らせているのではないかとちょっと心配しています。

入学式の日に「クラスの木」を作ったのを覚えていますか?小さな若木から大地にしっかりと根をおろし、緑の葉をいっぱいつけた大木に育ってほしいという願いを込めて作りました。身体だけでなく心も成長させてほしいと話しました。あれから一年経ってみんなはずいぶん大きくなりました。あのとき「私より背の高い人は?」と聞いたらほとんど手が挙がらなかったのに、今では多くの人が私の背を追い抜いています。制服やジャージも窮屈そうです。みんな大きくなったな~と思います。でも心はどうですか? 心は目に見えませんが、心も体もバランスよく育ってほしいという私の願い通り、一年間の様々な経験を通してみんなは心も成長させたと感じています。人を思いやるやさしさ、辛いことに負けない強さ、嬉しい時に喜びを分かち合える心の広さ、そんなみんなの「心」を毎日見せてもらいました。これから先もその「心」を大事にしていってください。バランスがくずれそうになったら「クラスの木」を思い出してください。みんなだったら瑞々しい葉をいっぱい茂らせた大木になれるはずです。

この一年私はみんなにずいぶん助けられました。いやなことがあっても、悲しいことがあって、滅入っていても、疲れたなぁと思ってもみんなに元気づけられました。励まされました。偶然巡り合った関係ですが、私にとってこのクラスは宝物です。このクラスは解散しますが2年生になったらまた新たな出会いを大切にして成長していってくださいね。

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