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私のカルチェラタン:新任教師のパリ研修 4

南回りの空の旅 カラチ~ドバイ~フランクフルト~パリ

カラチを飛び立ったジャンボ機はドバイに向かった。カラチからのジャンボ機はそれまでのダグラス機に比べるとさすがに大きくて、座席数も多い。私は窓から2番目の真ん中の席だ。ドバイはそれまで日本人にはほとんど知られておらず、少し前にハイジャックで有名になっくらいだった。ドバイが近づくと外の色が異様に黄色っぽく見えた。高度を下げるとますます黄色が濃くなる。砂漠の色だ。建物はまったく目に入らない。ドバイ国際空港の直前まで来ても、黄色い砂漠の中にほんのわずかに家のようなものが見えるだけ。いったいどんな国なのだろう。アブダビの官庁街の写真を見たことがあるが、ビルが立ち並ぶ近代的な街並みの写真だった。今見ているのはあんな街があるとは思えな風景だ。

やがてドバイ国際空港に到着した。機体を降りて空港ビルまで歩いた。怖ろしい暑さだ。半端じゃない。いったい何度あるのだろう。この暑さの中で人が生活していることが信じられなかった。空港ビルに向かう途中、人々が何人も建物の陰で休んでいるのが見えた。空港で働く人たちだが、とても働いているようには見えない。地べたに座り込んでいる。日本のように湿度が高くないから、日陰でじっとしていれば暑さを凌げるのだろう。だが、勤務中に日陰で休んでいるのも解せない。みんな白いアラビア服を着ている。自分が日本を遠く離れた国の地にいることを実感した。

空港ビルに着くまで焼けつくような太陽が容赦なく身体に照り付ける。早くエアコンの効いた建物に入りたい。だが、ビルの中に入って驚いた。エアコンがないのだ。代わりにあるのは巨大な扇風機だ。直径1.5メートルほどの大きさの扇風機が壁際に置かれていて黒い4枚羽根が重そうに回っている。その前に立つと風はいくらか来るが、何とも生暖い風だ。熱風と言ってもよいくらい。涼しい国際空港を想像していた私の認識が甘かった。

こんな扇風機だったような気がする。写真はイメージ。


ドバイでの待ち時間は1時間。免税店を覗いてみた。店の数はわずかだ。陳列されているものはカメラ、テープレコーダーラジオなど電気製品が多く、ほとんどが日本製だ。

搭乗前のチェックは入念だった。日本を出てから初めてのチェックだ。これまではどこもチェックがなかった。ドバイでのチェックは厳しく、時間がかなりかかった。手荷物はすべて調べられ、化粧ポーチの中も丹念に見られた。荷物だけでなく、ボディーチェックも入念に行われた。女性は衝立の後ろに廻って女性の警備員に上から下まで触られた。ハイジャックを警戒してのことだろうが、何かの誤解でとがめられるのではないかとひやひやした。無事に搭乗できたときはどっと疲れが出た。

当時のドバイの様子が書かれたブログ↓


ちなみに私は2014年にエミレーツ航空を使ってポルトガルに行ったが、その際にはドバイ空港の立派さに圧倒された。もちろん黒い羽根の巨大扇風機などどこにもなかった。

2014年のドバイ国際空港


最後の給油地はフランクフルトだ。カラチからずっと昼間の飛行。フランクフルトに着いたのは現地時刻の午前10時。さすがにフランクフルトはヨーロッパの町だ。今までの寄港地とは比較にならないほど洗練された雰囲気だ。南の貧しい意国々を見てきた後だけに、同じ地球上でも国によってこれほど差があるのかと考えさせられた。

フランクフルトの待機時間も1時間だ。免税店を回るとちょっとしたデパートのようだ。ドイツなのでゾーリンゲンの刃物がたくさん並んでいる。宝石類も高級品が揃っている。ほしいものもあったが、これから40日ヨーロッパで過ごすのだから今から買うこともないと思い、見るだけにした。

そろそろ空の旅も終わりに近づいてきた。目的地のパリまであと少しだ。


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