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詩【 バランス 】

もうすこし お前に時間を割いてやれたなら
手塩にかけて育ててやったなら
お前の出来も違ったろうか

はやくから見切りをつけてた
どうせ無理だ
どのみちやったところで
元がこれなのだから たかが知れてる

いつの間にか お前の存在を
すっかり忘れてしまった

ずっと離れずそばにいるのに
お前はあってないような存在

ただただ俺は
アタマの開発に明け暮れてた

もうそれしか仕様がないのだと
言わんばかりに

時は流れた

わたしの命もそう長くはないだろう

振り返るとそこにお前がいた

ようやくお前のことを思い出した

震える手 震える脚 深く刻まれた皺
血管が浮き出る 乾燥したカサカサの肌
白く染まる 抜け落ちた髪
霞む眼と 曇ってよく聴こえない耳

そうか お前だったのか
よくぞここまで わたしを運んでくれた

こんな辛い仕打ちをする わたしを見捨てず
最後まで尽くしてくれた

なのに ほとんど何もしてやれなかった

許してくれ ほんとうに悪いことをした

お前は正直だ そのままの結果がこれなのだ

もう少し 鍛錬していてば 運動していれば
わたしの寿命も伸びただろうか

もう少し 長く動ける時間も増えただろうか

お前なしでは生きられない

お前は(フィジカル)

(フィジカル)と(メンタル)
もっと平等に 扱ってやるべきだった

202310200303

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