短編小説:今日も同じ朝日

1
いつもと同じ朝日を見た。
いつもと同じ普通の朝日。
今日も同じ朝ご飯を食べて、同じ様に学校の準備をする。
「ねえママ。毎日同じ様な生活をしているけど、みんなはなんでそれでも飽きないの?」
私は疑問に思っていた。
人は同じ様な生活を続けているのにもかかわらず、今日もみんな学校に行ったり、仕事に行ったりするからだ。
「夢ちゃんは飽きないの?」
「私はね、何か飽きないの。こうやっていつもと同じご飯を食べたり、同じ人といるのが。」と、私は言った。
「私も同じかなあ。私はいつも同じ人生を歩んでいるから、とっても楽しいの。」
「例えば何が楽しいの?」と、聞いた。
「私はいつもと同じように夢ちゃんに会えて、とっても楽しいの。」
「私といて楽しいの?私、たまにママとケンカするじゃないの。」
「でもさ、その喧嘩をした日を今、こんなことあったんだ〜って話せるじゃないの。」
ママは満面の笑顔でこちらを見た。
「私も楽しい!」と、私も満面の笑顔でママを見つめた。
「でもね、夢ちゃん、毎日同じ日なんてないの。」
「え?なんで?」私は疑問に思った。
「だって昨日、こんな話した?」
私は顔を右と左にぶんぶんと振った。
「ほら、毎日同じ日なんてないのよ。」
私は「でも、毎日変わらない気持ちがあるの。」と、言った。
「それは何?」
「ママが大好きだってこと。」
お母さんは私を綺麗な手で包んだ後、「私も。」と、言った。
この日常が、ずっと変わらない。
と、思っていた。
「行ってきます!」
今日も同じ通学路で学校に行く。
いや、でも別の道を通って見ても良いかもしれない。
いつもの道で通っていたら飽きちゃうからな。
って、さっき飽きないって言ったばかりなのに。
まあ、細かいことは気にしない。
矛盾しているように思うが。
そんなことを考えながら別の道を通った。
そこには発見がたくさんあった。
綺麗なお花畑があったり、蝶々が飛んでいたり。
でも、道を通ると分からない場所に着いていた。
さっきどこの道を通ったのか分からない。
どうしようと思っていると、知らない人が声をかけてきた。
まずいと、思っていると、その人は「お嬢ちゃん。どこの学校に行ってるの?」
「えと…。南小学校。」
「ならあっちの道を行って、2個目の信号で左にまがるとあるよ。」
「あっ。ありがとうございます!」
「次は迷わないでねー。」
焦った。
知らない不審者のおじさんかと思ったら、優しいおじさんだった。
すみませんおじさん。
やっぱりいつもと違うのは嫌だな、やっぱり、あっちの道に行きたいとか思っても、行くのはやめようと、思った。

続く


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