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ブスの神様 3

メールを送った人は
高校生の時の1つ上の先輩。
メールをしたのは初めて。


昨夜も夏美は呼び出しを受けていた。
梨沙。
一生、この名前に怯えながら生きくんだという
恐怖。
夜の着信は震える…
今日は連絡きませんようにと願い眠りに着く日々だった。

「友達が妊娠してさ、堕ろすお金足りないから
 1万円貸してくれない」

梨沙からの着信で目を覚まし
電話に出ると一言目が信じられない内容だった。
深夜1:00
出たくなかった。
でも、気づいてしまったし出なかったら
明日どうなるか知っているから
これが1番良い選択。

「あ
 ごめん、今お金なくて…」

これが夏美と梨沙の日常

ほぼ毎日、電話かメールがくる
無視をすれば職場で待ち伏せされるか
家に来る。
結構、家も近い。
だから、ほぼ毎日会っていた。
会うのはだいたい夜。

ダサいとか可愛くないとかは
もう脳内に擦り込まれる程言われた。
ちゃんと返すからと何度もお金を貸した。
キャバクラの体験入店に行くからと
一緒に連れて行かれた。
今から遊ぶ男を探したいからと夏美の携帯電話で
出会い系サイトに登録した。
夜中に呼び出せれ愚痴や不満、自慢を聞かされた。
少しでも反論すれば梨沙の機嫌はみるみる悪くなり、「はぁ?ソープに売るよ」と言われた。
当時の夏美は、ソープってなんだろうと
思っていた。

友達とか親友だなんて思った事はない。
相手も同じだろう。
自分の利益の為に自分より下の人間を囲い
欲のままに生きている。

夏美も嫌なら離れれば良いものを
離れる事ができないでいた。
離れたらそれ以上に恐ろしい事があると思っていたから。
夏美が刺されるか家族が刺されるか…
そんな絶望しか想像できなかった。

梨沙は高校を中退しコンビニでアルバイトをしていた。
金髪でコテコテのネイル
所謂、当時流行していたギャル。
夏美は、清楚系を目指し
高校入学当初から紺のハイソックスに
ブラウンのローファー
限りなく黒に近い茶髪のストレートヘアで
これもまた当時のザ・清楚系女子だった。
しかし、梨沙によって
夏美も金髪まではしないがギャル風に
変化してしまった。

「はぁ?
 こんな大変なんだよ
 親に借りられない?借りられるでしょ
 借りて今から出てきて」

電話の声はなんだか半笑いのような。
そして、後ろでも女性の笑い声のようなものが聞こえる。
その妊娠したという、お友達さんか?

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