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教務システム導入の話

今回は私が以前経験した教務システムの導入のお話をします。あまり聞かない話なのでかなりレアですが、果たしてどのくらい需要があるのか・・・
※4か月もnote更新していなかったんですが、忙しかったりなんだりでした。これからもちょくちょく更新していきます。


①教務システムとは

そもそも「教務システム」とは何なのか。大学の中の人なら何となく知っているかと思いますが、他の業界の方もいらっしゃるかと思いますので、そこから説明したいと思います。
教務システムは大きく分けると2つあり、一つ目が「ポータルサイト」。学生の履修登録や出席状況、成績の確認などがWebやアプリででき、教員もこれで出欠登録や授業に関する連絡ができたりします。
もう一つは「基幹システム」。これは主に職員が操作しますが、たとえば学生が履修登録する際の授業をポータル上に反映させたり、選択できる授業の条件や単位上限を設定しポータル上でエラーが出るようにしたり、こうした主にポータルの裏側の役割を担うのが基幹システムです。だいたいこの二つを称して「教務システム」と呼んでいます。
この他にもシステムによっては教務だけでなく、奨学金やサークルの情報に対応している学生支援のプロダクトや入試関連のプロダクトなどがあります。
また、パッケージ化している教務システムと、ある程度大学側の要望に答えながら設計やカスタマイズができるシステムがあります。ここら辺はシステムを扱う会社によって多種多様なので、一度「教務システム」と検索してみると良いと思います。

②教務システムが無いと・・・

こうした教務システムが無いとどうなるのか。学生は履修登録を用紙に記入するかマークシートに記入したり、職員はその登録をExcelやAccess、またマークシートの機械にかけて集計したり、あとは成績は全て紙で郵送したり。こうした様々な場面で”面倒くさい”です。また、面倒くさい事も原因になるかもしれませんが、とにかくミスがあります。ただでさえ膨大な量でダブルチェックもあるのに、そうしたミスの原因を追うのに時間を要するので、履修登録や成績処理の時期はとにかく教務課は残業残業でした。

③教務システムの選定

私は幸いにも教務システムが無い状態の教務課も経験し、実際に導入をした経験もあります。これはかなり貴重な経験かと思います。
きっかけはたまたま補助金が取れた、ということで導入を進めたのですが、それまでは上記に書いているような基本ExcelやAccessで処理をしていた状態でした。
導入に際してまず行ったのは”相見積もり”。教務システムも調べただけで複数あるので、どのシステムが良いかよくわからんまま色々な業者の教務システムの説明を受けました。そして本学は何も判断基準が無かったため、導入実績の多いところにしよう!というAmazonで買い物をする際レビューが多いやつにしよう!くらいのノリで決めました。

④教務システムの機能説明・初期設定

本学ではとにかくお金が無いので、最低限の教務分野のパッケージのみの導入でした。ここから実際の導入が始まっていきます。
私は17時まで窓口業務があるので、それから夜の20時までほぼ毎日教務システムの機能説明と初期設定について業者の方と打ち合わせをしていました。以前にも書きましたが、この時私は”非正規”の嘱託職員でした。契約書に「残業は命じない」とあったので思いっきり契約違反でしたね。
肝心の内容は、とにかく訳が分からん!まるで呪文のような機能の説明をされて、とにかく頷くことしかできない。一緒に説明を受けていた私の上司の働かないおじさんはもちろんのこと、何も理解していませんでした。
業者の方も若手のようで、互いになんだかどこをどう詰めていけばいいのか、質問しても持ち帰って確認ということがしばしばありました。あと通常業務終了後に説明を受けていたので、本当に眠かったです。かなり疲労は蓄積していたと思います。

⑤データ移行

そんな大変な日々をほぼ半年繰返し、ついに導入支援の説明の日々が終わりました。ここからは本学が持っているデータの移行や新年度に向けての情報の登録があります。
教務システムのフォーマットのCSVに合わせて持っているデータを入力していきます。設定上必要だがデータで持っていない情報は・・・大変でした(笑) またCSVに入力してアップロードしても、エラーの出ること出ること。とにかく新年度が始まる前のこの作業は2~3月に行ったのですが、並行してExcelで在学生の成績処理などをしながらだったので、もう大変極まりない事。来年度はこれが楽になると良いな、と切に願いながら作業していました。

⑥ついに教務システム稼働

そしてついに4月を迎え、教務システムのお披露目となりました。なんとなく作った教員用マニュアルと学生用マニュアルを使って説明しましたが、もちろんマニュアルを作ったのも説明したのも非正規雇用の私。
まあ、最初は訳が分かりませんでしたよ。エラーの原因が分からなかったのが一番きつかったですね。原因が分からない度に教務システムのサポートセンターに連絡をするのですが、サポートセンターもいつも即答してくれるわけではないので、何度も作業が止まることがありました。
そして私の上司である働かないおじさん。システムで分からないことがあったら、まず私に聞きます。「いや、俺も分からねえよ」と思いながら自分がサポートセンターに連絡していましたが、おじさんが自分で連絡しろよ、と思っていました。

⑦教務システムの効力発揮

何かあれば質問を受けるのはすべて私。こうして最強の教務システムマスターが出来上がりました(笑)(半分冗談ですが)
実は教務システムは職員の権限が一番強いのです。ですので、私の権限があれば出席情報をいじれますし、成績情報ももちろん好き放題いじれます(もちろんそんな事しません)。
教務システム導入前はあれだけ残業をしたり、成績を郵送して紙を使っていたりと時間的コスト、費用的コストが掛かっていましたが、そうしたものが全てなくなりました。おそらく費用については教務システムの方が高くついていますが、何よりも一番はミスが格段に減りました。これは学生、教職員全ての負担が減った証拠だと思います。学生もあのめんどくさい紙の履修登録もなくなりましたし、教員も出席情報や成績の煩わしい入力がかなり負担軽減になりました。そして職員(というか私)。前期の成績処理では残業0。学年末でも数時間残るだけで自分ひとりで作業が済んでしまいました。本当であれば誰かに手伝ってもらったり、成績なんて重要なものダブルチェックをしてもらいたいと思っているのですが、如何せん教務システムを理解している人が私の他に誰もいなかったので、仕方なく自分ひとりでやっていました。正直他の人よりも機械の方が正確なので、ダブルチェックの方がミスする可能性高くなるなー、と思っていました。

⑧導入から運用で得られたスキル

これは導入とはまた違ったお話。
上記で述べた通り教務システムマスターとなった私ですが、この時のスキルが転職の際にかなり役に立ちました。同じ教務システムを使っている大学には、このシステムに関してこれだけ使えますとめちゃくちゃアピール。一度相手が教務の管理職だった時、こうしたケースはどう対応する?という質問にかなり細かく伝えて、「お、かなり使えるね」と褒められたことがありました。更に教務システムトークで盛り上がっていたら、他の面接官に「そろそろ時間です」と止められたこともありました。


まとめ・おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は教務システムの導入についてお話ししてきました。途中だいぶ私情も入っていましたが、おおむねどんな流れで導入したのかが伝わったかと思います。もちろん業者によって多少流れは変わるかと思いますが、だいたい苦労するところは同じかと思います。

あと全然別件ですが、この3~6月で普通に本業の方の仕事や自分の方のことで時間を取られていたので、だいぶ更新が遅れていました。それについてはまた後日別の記事でお話しします。
今回の記事が大学職員を目指す人のために少しでも貢献できれば幸いです。

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