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非日常ラウンジ サウナ編

私は非日常が好きだ。

週末1人で楽しめる贅沢の一つに、サウナがある。

私の1番のお気に入りは、池袋にある男性専用サウナ「かるまる」だ。

やや値段は張るのだが、その分最高の体験ができる。

ちなみに来店する日は、後に予定を作らない方が良い。

池袋西口を出て、かるまるへと向かう。

着いたらまずエレベーターで6Fの受付へ。

後払いシステムなので、靴を脱いだら入場ゲートを通ってからロッカーにて館内着に着替える。

ここで私のお決まりのルールは電子機器を預けるということ。

さて、最高の休日のはじまりだ。

9F、大浴場。

脱衣所で裸になって扉を開けたら、裸の男たちがぐるりと輪をつくって並んでいる。

サウナで行われる人気イベント、アウフグース(サウナ内で行われる、熱波師がタオルで室内の蒸気を撹拌して体感温度を上げるイベント)の抽選会がはじまっていた。

ぴったりのタイミングすぎて思わず笑ってしまう。

列に並び、くじを引く。

外れた!

諦めて洗い場の椅子に腰掛け、体を洗いながら抽選会を見守る。

当たり!おめでとうございます!

控えめな笑顔を浮かべ、恥ずかしそうに足早にその場を去るおじさん。

外れ!残念!

これまたニヤッと笑って奥の浴槽に向かうおじさん。

なかなか知らないおじさんの表情を見て楽しくなる瞬間なんてないな。

そう思いながら、体を清める。

ついでにそばにある歯ブラシで口をリフレッシュ。

平日の疲れが落ちていく。

心身共に0になったら浴槽へ。

続いて全身の血流を見直す。

自らの手で肩を揉み、足を揉み、足首を回したら膝を折ってストレッチ。

全身がほぐされて1になる。

準備ができたらいざ、サウナ。

複数あるが、一番は岩サウナと決まっている。

理由は熱いから。

空いているので最上段。

タオルを敷くが、燃えるほど尻が熱い。

もう一つのタオルは頭を包む。

12分計の指す時間を確認すると目を瞑る。

熱い。

まだまだ。

扉が開閉しては人の入れ替わりがあるが、最上段の私に外の爽やかな風は来ない。

熱い。

まだまだ。

心臓の鼓動が速くなる。

汗がやっと吹き出し始める。

熱い。

12分計に目をやるとまだ4分。

ここから、ここから。

意識的に呼吸をし、タオルで顔の汗を拭う。

5分。

もう少し。

キンキンに冷えた水風呂に飛び込むことを想像する。

まだ、これじゃ入れない。

まだまだ。

熱くなれ!

6分半。

もうちょい。

頭に被せたタオルを手に取る。

7分。

完了!

バッと立ち上がって外へ。

そのまま隣のシャワーに行き、お湯で汗を流してから、秒で隣の水風呂に飛び込む。

スッと目が冴える。

逃げ出しそうになる心臓を抑えるように耐える。

数秒で慣れてくる。

心臓が暴れている。

肩が寒さでブルッと震える。

1分!

頭がぼーっとする。

この時がきたぞ。

タオルで全身の水分を軽く拭き取ってから外の椅子に腰掛ける。

瞼が閉じると同時に体がふわふわとしてくる。

まるで全身が透明の膜に包まれたかのような感覚。

あれ、私幽体離脱してない?

でも焦ることができず、ぼーっとしたまま身を任せる。

宙に浮く。

血の巡りを感じる。

聴覚が遠のき、世界と切り離される。

整う。

・・・

・・・・

・・・・・



・・・・

・・・

この世界に戻った。

目を開けて周りを見ると、アホっ面のおじさんが寝ている。

あなたもここでリセットしているんですよね。

お願いです、このまま向こう30年、この施設を取り壊さないでください。

ここのおかげで社会が回っているんです。

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