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非日常が好きだ コスプレ編

私は非日常が好きだ。

コスプレは非日常を体感できる。

他の人(もしくはキャラクター)の人生を体験することで、日常と切り離されるからだ。

「自分を変える」系の自己啓発本に、こう書かれていることがある。

「なりたい人物であるかのように振る舞いなさい」

引っ込み思案な性格を治したければ、自分の意見をはっきり言う人物になりきる。

言いそうなこと、やりそうなことを想像してやってみる。

役者になったかのように。

コスプレはまさにそれだ。

特に顔を隠すようなキャラクターに扮することで、恥を捨てて成りきることができる。

(こういう理由でコスプレをしている方は少ないかもしれないが)

私は気弱な性格なので、自分の軸を持った自信家に憧れがある。

なりたいものがある場合は、オーバーすぎるくらいがよい

私の場合、自信家よりも振り切った私と正反対の存在、自己中なくらいがちょうど良い。

だからなのだろう。

私はサイコパスや殺人鬼のコスプレを好む。

普段体験できないから、私にない部分を感じたいからなのだろう。

ハロウィンでは、マスクをかぶって街中を彷徨った。

普段の私には、そんな派手で目立つような格好は絶対にできない。

唯一、コスプレだけは自分とはかけ離れた存在を体験できるのだ。

渋谷駅に着き、近くのスーパー、トイレの個室に駆け込んで着替える。

外に出ると、周囲が驚いて後ずさる。

多くの視線を感じる。

非日常過ぎて、初めは頭がクラクラする。

しかし、数十分もたてば慣れてくる。

奇怪な行動をとったり、積極的に他のコスプレイヤーとコンタクトをとったり。

そうこうしていると渋谷はハロウィン一色になり、続々と写真を撮られる。

ツーショットを依頼されたり、逆に気になるキャラクターに近づいて一緒にふざけたり。

まるで別人格である。

気づけば自分の性格を忘れてのめり込む。

強烈なストレス発散だ。

夜が更けてくると人が減り、電車が混みはじめる。

そうなる前に、そそくさと元の姿に戻って街を後にする。

SNSをみると、自分の別人格が多くの写真に映り込んでいる。

あっという間の出来事だったが、つい先程までたしかに私は別の人生を生きていた。

不思議な感覚を覚えながら自宅の最寄駅に到着。

日常に帰っていくのだった。

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