非日常が好きだ 登山編
私は非日常が好きだ。
単調な日常を抜け出すには非日常がいちばんの薬だと思う。
今回は、登山について語りたい。
休日にまで、なぜ苦痛を求めるのか。
私もかつてはそう思っていた。
登山する理由を、ある人はこう言う。
「そこに山があるから」
やりもせずにあれこれ言うのは好きじゃない。
1度はやってみる。それが私のポリシー。
ある夏の夜、関東のある山を登ってみることに決めた。
かつてないほどの早起き。
まだ暗い道をドライブ。
車が少なく、この時点で心地よい。
駐車場に着いて下車すると、ピンクの上着、縦に長いリュックサック、両手にトレッキングポールといった、いかにもな女性に声をかけられた。
「おはようございます」
考えるより先に言葉が飛び出す。
「おはようございます」
挨拶で気持ちいいと思うことはなかなかない。
少し歩くと、無数の登山家に囲まれて看板が立っていた。
前方の方にならって、もっと入念に、準備体操をする。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
時計を見ると、まだ7時。
休日の有効活用にも程がある。
鳥のさえずりが聞こえる中、斜面を登りはじめる。
学生時代に学んだマラソンの呼吸法を意識してみる。
吸って、吸って。
吐いて、吐いて。
「おはようございます」
異様に早い初老の男性が追い越していく。
吸って、吸って。
吐いて、吐いて。
この呼吸法は登山に適しているのか、なんて考えていたら、前を歩く夫婦に追いつく。
「おはようございます!」
私は、登山界隈の仲間に入れているのだろうか。
1時間ほど歩くと、開けた場所に出た。
ベンチに腰掛けて少し休憩。
ウィダーinゼリーとカロリーメイトは自然に囲まれることで、さらに美味しくなる。
軽くストレッチしてから再開。
今度は片耳にイヤホンを挿して、冒険心くるぐる洋楽をかける。
今回の旅にはマシュー・パーカーの「Adventure」がピッタリ。
森の香りが気持ちいい。
音楽にテンポを合わせて進む。
それからしばらく。
立ちはだか石段を上がると、神社が現れた。
頂上。
到着したのは10時前。
やっと着いた、と、もう終わってしまった、の
気持ちが同じ比率くらいだった。
達成感は大きい。
まだお昼前という衝撃。
ふもとを一望できるエリアに移動すると、わずかに雲海が発生していた。
雲海を背景に思わず自撮り。
まだ半日も経っていないが、最高に充実した休日だ。
普段得られない養分を木、神社、景色、風から摂取する。
まだ日常を頑張れそうだ。
人が登山する理由がわかった気がする。
既に、次はどこに登ろうか等と考えてしまっていた。
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