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「戦前ロマン音響劇団ー帝国トンボー」作品のご紹介①


はじめに

「戦前ロマン音響劇団ー帝国トンボー」(以下、帝国トンボ)のnoteをご覧いただきありがとうございます。
帝国トンボの広報を担当しております成林ジン(ナリバヤシ-)、夢野9(ユメノ-)と申します。

今回は、帝国トンボの作品、「アウガプフェルを返して」「泡沫ネオンに月は昇るか?」のあらすじや登場人物、時代背景などをご紹介させていただきます。
この機会に、まだ聴いたことが無い方は是非、聴いたことがある方も是非もう一度ご視聴いただけますと幸いです。

アウガプフェルを返して(初演: 2018年3月26日)

イラスト:佐々倉

あらすじ

二〇世紀初頭。欧州では世界大戦が繰り広げられる中、そんなこと気にも留めず機車に乗り込む学生の姿があった。

男の名前は「常磐二朗」。車内を見渡すと乗客は断髪の女、「神庭ルミコ」のみ。
ルミコは自身の右目の眼帯の表面をそっと撫でながら、二朗に問い掛けた。

「アウガプフェルを返して。暗闇になってしまうから……」

これは、帝都の片隅で繰り広げられる小さな物語。

モガとモボ

モダンガール、神庭ルミコを主軸にまわる物語「アウガプフェルを返して」。
時代考証に力を入れる我が帝国トンボは、舞台となる大正期の流行を取り入れています。
そんな中でも、神庭ルミコをはじめとするモダンガール(通称:モガ)についてお話します。
大正期は古来から続く日本文化に、西欧文化が入り込み、混ざりあった時代。「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」……そんな言葉を皮切りに、近代化が急速に進んでいきました。1920年代に入ると、若い男女の間で西欧文化を取り入れたファッションが流行します。女性をモガ、男性をモダンボーイ(通称:モボ)と呼びます。
モガは洋装を取り入れ、スカートを履き、ショートカットで西欧的なメイク(引眉やルージュ、頬紅)をしています。現代でも通用するファッションが既に大正期で形成されていました。

公共交通機関・鉄道

鉄道の歴史は古く、歴史に登場したのは十六世紀半ば。日本には十九世紀後半に姿を現しました。1872年(明治五年)に新橋・横浜間を開通したのがはじまりです。それからは都市部を中心にその線路を増やし、多くの文化・雇用を生み出しました。以前よりも都市と都市が近づいたことで、移動がより楽になる―当時における技術革新を、物語に入り込むことで体感ください。

登場人物紹介

イラスト:佐々倉

常磐二朗(演:初瀬川タイキ)

帝国医科の学生。目が悪く、丸眼鏡をかけている。ある目的があって、切符を偽造してまで一等列車に乗り込んでいるのだが、その目的とは……?


イラスト:佐々倉

神庭ルミコ
(演:ゆきみまる。)

切符の偽造がばれそうになった二朗を庇った謎のモダンガール。右目を眼帯で覆っており、どこかミステリアスな雰囲気がある。

下田吉実
(演:大堀翔太郎)

ルミコの作った物語の登場人物。陸軍の将校であるが、官品の横流しをしている。女郎である秋津に入れ込んでおり、大金を支払って自身の妻としたが、暴力をふるう。

秋津
(演:一条乃愛)

ルミコの作った物語の登場人物。女郎屋で働く妖艶な女性で、若いながらも度胸がある。下田に買われ、自由の身となったかと思えば、暴力の毎日に疲弊していく。

車掌
(演:デューク弐百)

南十字行きの列車に乗り込んでいた国鉄の車掌。怪しい書生が一等列車に紛れているという話を同僚から聞いており、二朗を問い詰める。

配信



泡沫ネオンに月は昇るか?(初演: 2018年9月16日)

イラスト:初瀬川タイキ

あらすじ

1925年晩夏。月が綺麗なこの日。

「日下部明里」はいつものようにカフェー"モナート"で酒を出す。

自分語りを好まぬ彼女はこの日、常連客の「蜂須凛子」に昔愛した男、「鷹野市蔵」との想い出を語りだす。

泡沫の月明かりのような恋の記憶を呼び醒す一杯を、シベリアのように冷たい一杯のカクテルを、ゆっくりとつくりながら。

今の”カフェ”と当時の”カフェー”

この時代の”カフェー”というのは今の時代の”カフェ”とは似て非なるものでした。今、”カフェ”というと、現代の喫茶店をイメージしがちですが、当時は違いました。
カフェ文化は、十七世紀にパリやウィーンで花開きました。サロンから派生し、芸術家や学者の交流の場として始まります。
そして、1925年は日本で”カフェー”が急増した年で、その中には女給のサービスを主体として売り出す店も多くみられたそうです。このあたりから、コーヒーや軽食を提供する”喫茶店”とアルコールと女給のサービスを提供する”カフェー”とが分けられて呼称されるようになったそうですよ。

作中の時代での女性の立場

作中では、2人の女性、”日下部明里”と”蜂須凛子”が登場してきます。
作中の時代の女性の立ち位置というのは現代とは全く違います。
この時代では、まだ女性に選挙権がありませんでした。そして、当時の結婚の適齢期は18歳から22歳と言われていました。2人は25歳、この時代では相当苦労をしたと思います。特に、蜂須凛子は当時の女性の社会進出の象徴として描かれています。自立した職業婦人で、とても力強いオーラを感じる登場人物ですね。

カクテル言葉

作中ではカクテルがいくつか出てきます。
読者の皆様は”カクテル言葉”というのをご存じですか?
ここで、作中に出てくるカクテルのカクテル言葉をご紹介していきます。
カクテル言葉を知っておくことで、よりこの作品をお楽しみいただけるのではないでしょうか。

🍸チャイナブルー
≪カクテル言葉≫ 自分自身を宝物だと思える自信家
 
🍸ギムレット
≪カクテル言葉≫ 遠い人を思う
 
🍸オリンピック
≪カクテル言葉≫ 待ち焦がれた再会
  

是非、カクテル言葉を頭の片隅に置いて、聴いてみてくださいね。

登場人物紹介

イラスト:佐々倉

日下部明里 (演:一条乃愛) カフェー”モナート”の店主。一人で店の切り盛りをしており、カクテルへの造詣も深い。かつての恋人・市蔵のことを今も思い続けている。


イラスト:佐々倉


鷹野市蔵
 (演:池谷コウキ)
 陸軍の青年将校。軍人らしくない、物腰柔らかな優しい男。明里に結婚を申し出たが、返事を待つ中でシベリア行きが決定してしまう。

蜂須凛子
 (演:kirry)
 東京市電の女性車掌。職業婦人であることに誇りを持っており、恋に恋する現代的な女性。モナートの常連客。

川崎正信
 (演:長谷川タイキ)
 市蔵と同期の将校。写真機を使うのが趣味。シベリア出兵後、消息のつかめなくなった市蔵のことを探し続けている。

鷲尾健吾
 (演:大堀翔太郎)
 横暴な振る舞いが目立つ警官。明里と逢引しようとしつこく誘っていたところを市蔵に制止される。

配信

最後に

 今回は、「アウガプェルを返して」、「泡沫ネオンに月は登るか」の2作品をご紹介しました。この2作品は2023年6月現在リメイク版を制作中です。生まれ変わった2作品も、是非ご視聴いただけますと幸いです。

帝国トンボの作品をご鑑賞いただいた皆様に、今後の活動の参考のため、貴重なご意見やご感想を是非とも頂戴したくお願い申し上げます。
▼ご鑑賞後アンケート
https://sites.google.com/view/teikoku-tonbo/contact-us

より一層詳しい情報は、帝国トンボ公式サイトをご覧ください。下記のURLからご覧いただけます。

▼帝国トンボ公式サイト
 https://sites.google.com/view/teikoku-tonbo/home

では、またお会いしましょう。左様なら。

(帝国トンボ 広報科・成林ジン 夢野9)

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