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音楽につつまれる午後のこと

友達の弾くピアノを聴くのが好きだった。好きな子が、自分の楽しいことをしている瞬間を見るのが好きだった。 オーケストラを聴きたいわけじゃない、ただ上手い人のピアノを聴きたいわけじゃない。 自分にだけ向けて弾いてくれるのがうれしい、誰にも見せないその姿を自分に魅せてくれることがすき。 大きなホールで演奏を聴きたいんじゃない、煌びやかな衣装を来て演奏するのを見たいんじゃない。 ただ午後に、ただ音楽室で、ありふれたような時間にピアノの練習をするあなたが好き。 途中でとまりながらも

    • ティーカップ

      寝具のそばに飾ってあったティーカップが割れた。お母様はまた買えばいいと言ってくれた。 けれど、わたしはとてもショックだった。 召使いが、わたしの背中をさすりながら言った。 「お気に入りだったのに、使うことがなく終わってしまったから、後悔されてるんですね。」と。 わたしは、嗚咽をするように泣いた。 割れたティーカップはもとには戻らない。いくら後悔をしてももう使うことは叶わない。 召使いはわたしが泣き止むまで、ずっと背中をさすってくれた。

      • プッチンプリンをプッチンするのは不幸なのかもしれない

        だれもが一度は食べたであろうプッチンプリン そのプッチンプリンを貴方はいつからプッチンしなくなっただろうか。(もしかしたら最初からプッチンせずに生きてきた猛者もいるかもしれない) 僕はおそらく子供の頃はよくプッチンをしてから食べていたと思う。容器の裏の突起部分を折るとポンッと出てくるプリンの愛らしさに胸を躍らせていた。 しかし、それをすることはいつの間にかなくなった。時間の無駄だとかめんどくさいとか、洗い物を増やすだけとか、きっとそういういろいろなことを考えるようになったから

        • やさしい人にやさしくなりたい

          12.6 ときどき、世界から自分が認識されてないような感覚に陥る。 私はここにいるのに、ってつらくなる。 12.7 家族も優しくて、友達もいて、それなのに、なにかが物 足りないと感じる。なんなんだろう。この気持ち。 12.8 友達には幸せでいてほしい。毎日頑張ってるし、一生懸命生きてる。そんな子たちに幸せでいてほしい。 わたしがあげられるものならなんだってしてあげたい。 12.9 眠ったまま死んじゃうんじゃないかって、急に不安になる。 日記を読みかえすたび、わたしはず

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