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親業免許制度

こんばんは。NEWSステーション22の時間です。
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~「親業免許制度」来年4月から施行~
清明党の竹内首相が、本日16時から開かれた記者会見で、親業免許制度に関する法律を、来月5月1日付で公布、来年4月1日から施行することを発表しました。
従来から、国会で賛否の分かれる議論が繰り広げられてきた今回の法改正について、専門家の皆さんをお招きして、議論していきたいと思います。

まず、今回の法改正によって来年度から施行されることが決定した、親業免許制度とはどのようなものか、ご説明をお願い致します。

はい、今回の法律の大まかな概要を説明致します。
子どもを授かったカップルは、妊娠が判明した段階から出産までの間に、免許センターに通い、講習と試験を受けることが義務化されるということです。
運転免許センターをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
最終的に免許証の交付を受けて、両親は子どもを育てることが認められます。免許証の交付を受けなかった両親の子どもに関しては、各市町村に保護され、社会的養護の下で育てられるということです。
そもそもこの法律に関する考え方は、1980年にアメリカの倫理学者、ラフォレットが発表した論稿「親のライセンス化」に基づいています。
この論は、医師免許や運転免許制度と同じように、親になる際にも適切な試験を受け免許を取得することで、虐待を始めとした事件の発生をあらかじめ防ぐことにつながるという考え方です。
当たり前のことではありますが、当初から突拍子のない論理だとみなされており、あくまで思考実験の域を出るものではありませんでした。

では、どうしてそのような法律が今回、世界で初めて日本で施行されることになったのでしょうか。

先ほど述べたラフォレットの「親のライセンス化」論では、親になる人たちに試験を受けることを義務化することで、将来的に不適切な養育をする可能性が高い親や、養育能力のない親を排除する。そのことによって、生まれてくる子どもたちの人権を保護するという考え方がもとになっており、その際の有用性や危険性について述べたものなんですね。
しかし、今回、日本で行われる制度では、養育資格のない親を排除することが目的ではなく、全ての親になる人を包括的に支援することが目的な訳です。

なるほど、もう少し詳しくお聞かせください。

今までも、国内で両親学校や子育て支援サービスなどは行われてきており、そういったサービスを利用する方々も年々増えてきています。
しかしながらですね、子育てに関するトラブルを抱えている人たちというのは、そういったサービスを利用していない、利用できない場合が多いわけです。
そもそも、教育意識が高い親御さんはそういったサービスを積極的に利用しますが、現状では、本当に支援が必要な人々へ十分にサービスを提供できていないと。
そこで、免許証の取得を義務化することで、養育トラブルのリスクが高い人々に適切な子育ての教育を受けていただくこと、また日本国内の子育て水準を向上させるといったことが本法律の狙いだと考えられます。

しかしですね、今のお話を聞く限りですと、試験に合格できない方々は子どもを育てる権利を奪われるわけでしょう。また、合格と不合格を決める基準なんて、誰にも決めることは出来ないでしょう。これには大きな人権侵害のリスクが伴うと考えられますが、その点についてはどう思われますか。

確かに、各種の免許取得のイメージですとそのように考えられますが、親業の免許に関しては、他と大きく異なる点があります。
免許センターに通い、講習を最後まで受ければ、基本的に不合格になることはないという点です。
先ほども申し上げた通り、今回の制度の狙いは、親になる全ての人を包括的に支援すること、そして、全ての親に必要最低限の教育を施すことで、国内の教育水準を向上させることです。
ですから、試験というのは合否を判定する為ではなく、各人の理解度を図るためのものです。
全ての講習を受けた後に、試験を受け、その理解度に応じて、重点的に支援が必要な親を自治体が把握できるわけですね。今までは自治体で見逃していた、本当にサポートが必要な人たちへリーチするために、試験を役立てていくということです。

少し、話しが変わりますけれど、実際にお子さんを授かったカップルはどうやって免許センターに通うわけですか。仕事だってあるわけでしょう。
会社の都合でそんな時間なんて取れない人だっていますよ。

その点に関しては、免許センターに通う日数分は会社で有休を取得することが出来るようにするとの政府の説明がありました。休業分の保険料を個人に支給するのではなく、各企業に自治体から支払われるということですね。

そんなこと言ったって、みんながみんな、仕事を休める訳じゃないでしょう。
周りからのプレッシャーだってあるし、こんなことをしていたら、日本の少子化は益々加速しますよ。
わたしは明らかに、今回の政策は失敗だと思いますよ。
今まで政府は出生率を上げて、少子高齢化を改善するために、子育て支援対策してきたわけです。子どもをどんどん生んでもらって、そして生まれた後に子育ての負担を軽減する。そういった方針で少子化対策を進めてきたのに、こんなことしたら、今までの努力が水の泡ですよ。

だけど、ただ子どもの数を増やせばいいって話じゃないでしょう。今のやり方で出生率が上がっても、それに伴って、不幸な子どもたちが増えたんじゃ意味がないでしょう。

そもそも言いますけどね、子どもを産むのに国の許可がいるなんて、明らかな人権侵害ですよ。子孫を残して、種を繁栄させていくっていうのは、生命が誕生して以来、全ての生物が行ってきた原始的な営みですよ。そこに人間が作った法律が介入するなんて言語道断です。

あなたは親の人権ばかり主張していますけど、生まれてくる子どもの人権を保護することが人権尊重の初めの第一歩でしょう。何よりも初めに、生まれてきた全ての人間の人権を守る、これは人間が歴史の中で勝ち取ってきた、人権という英知の結晶への最大限の奉仕ですよ。

議論が白熱してまいりましたが、時間となりましたので、次のニュースへと進みたいと思います。ぜひ、皆さんのご意見・ご感想をお聞かせください。

※作品はフィクションです。現在、このような法改正が行われる予定はありません。

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