映画「正欲」で唯一表現している〝普通のこと〟
誰かと深い信頼で結ばれている、そんな関係を築いた記憶がない。35年生きていて、たぶんそれが私の最大のコンプレックスだ。
昔から割と人見知りする子どもではあった。高校に上がると、常にグループ行動を取りたがる同級生たちに嫌気が差し、どっちみち苦痛ならばと単独行動を選択するようになった。大学に行くと途端に楽になり、予定が合う子とは時間を共有し、そして卒業を境に自然と交流が途絶えていった。
友人は心から信じられる子がひとりかふたりいればいい。10代の私はそんな風に思っていたけど、会社