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愛着理論

ボウルビィは愛情を大切に考え、愛着の絆の形成とは「愛するようになること」であり、
愛着の絆の維持とは「誰かを愛すること」
ジョン・ボウルビィ
(1907~1990
愛着対象の喪失とは「誰かを失って悲しむこと」てあるとしました。
愛着を他の親密な絆(友人との関係など)と区別する特徴は、苦痛の状態におかれたときに
愛着対象からは「安心と慰め」を得ることがてきるということです。
この愛着理論の基本的な考えは、H.ハーローによってアメリカで行われたアカゲザルの実験で裏付けられることになりました。
ハーローは、母イギリス出身の精神科医かつ
親からの分離と孤独が子どもにもたらす影響を
明らかにし、人が健全な認知的・社会的発達をなし得るには、子ども時代に養育者との間で親密
な交わりと世話を経験することが不可欠であることを見出したのです。M.エインズワースは1960年前後の期間にウガンダとボルティモアにおいて母親一乳児相互交流の在宅観察という画期的な観察を行いました。そして、その観察に基づいて、1969年に、「ストレンジ・シチュエーション」と呼ばれる、乳児期の愛着の安定性を査定するための20分間の実験的手続きを考案しました。
これによって、養育者の養育態度によって、さまざまな愛着のタイプが生じることが明らかにされ、「安定型:B型」以外に、「回避型:A型」と「アンビバレント型:C型」の2つのタイプがあることが明らかになったのです。
そして、「回避型」にも「アンビバレント型」にもあてはまらない、行動パターンが一貫してい
ない乳児の存在が、観察過程のなかで明らかとなり、「無秩序一無方向型:D型」が後から追加されました。この「無秩序一無方向型」の発見は、幼年期の愛着と成人後の精神病理との関連を考えるうえで画期的なことであったと評価されています。
D型は、後に境界性パーソナリティ障害や解離性同一性障害といった、治療が難しい精神障害との繋がりが指摘されています。
また、安定型、回避型、アンビバレント型の比率については、欧米、アフリカ、アジアでの研究を総合す
ると、安定型が67%、回避型が21%、アンビバレント型が12%というデータがあります(上地、2015)。
また、このエインズワースの研究によって、養育者の敏感な応答性と怯えない養育態度の重要性が示され、養育不全の背景に、養育者自身の被虐待の既往や、愛着とトラウマの問題が存在していることが見出され、社会による子育て支援を後押しすることになったのです。
愛着理論は、一時「母性神話」と結びついて考えられ敬遠された時期がありましたが、虐待が深刻な社会問題と捉えられるようになり、複雑性PTSDとともに再び注目されています。また、現在では、進化心理学の視点から、愛着は生存のために人間に備わった生得的なシステムであると捉えられており、愛情とは切り分けて捉えるべきだとの指摘もなされています。
このようにして、第二次世界大戦以降、発達心理学は順調に発展し、今では周産期医療や高齢者臨床など、その関心対象を広げ、私たちの生活に密接した学問となっています。以下には、発達心理学における代表的な理論や研究についてとりあげました。私たちの成長に関わりの深いものばかりです。


とな。

私なりの愛、私がこれは愛かもしれないという事を手探りでしている。
子供には、私のような経験をさせたくない
私の親のようにはなりたくない。
そんな煮えたぎる思いをかかえながら
ずっときた。

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