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#51 私のなかの彼女

2023年初、読了はこの一冊。

角田光代氏の長編小説。

序盤から不思議な感覚に襲われる。

だが、とても興味深い内容で先が気になって仕方がない。

小説家であったかもしれない祖母のかけらをかき集めながら、素人ながらに何となく書いた小説が賞を受賞したことがきっかけとなって、小説家になる和歌。

母親にも賞を受賞しても喜んでもらえなかったことには、きっと祖母の女だから軽んじられ弄ばれたというトラウマや教訓のようなものがあったのではないか。

仙太郎のように12年も和歌の身近にいて、一番の味方のような彼氏に和歌が怯えていたとは…。

そして、恋人の顔色を窺ってしまう感覚はなんとなくだけれどわかるような気がした。

仙太郎はいい恋人のようで実はモラハラ?をしていたのかもしれない。

誰しも、自分の身近にいる人だからこそ嫉妬したりする。

そしてその思いもきっと強くなってしまうのかもしれないと考察する。

妊娠しても書き続ける。(書くこと自体は全く問題ではない)自分のことしか考えられなくなる。周りの人への思いやりがなくなる。 この点については和歌に共感できない点だった。

そのくらい夢中になっれる何かが私にはないからかもしれないが…。

やはり命は何よりも大事なかけがえのないもので、最優先に考えなくてはならないと思うからだ。

自分は妊娠したこともないから実際のところはわからないけれど、命に勝るものはないのだ。

この話は身近な人の羨望、嫉妬、男と女の社会での立ち位置、命の大切さなど考えさせられるポイントが詰まっていた。

是非再読したい。

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