歌乃しゃち

恋とか愛とか30年歌っています。 夜更けや夜明けに綴ります。 きれいごとだけで終わるの…

歌乃しゃち

恋とか愛とか30年歌っています。 夜更けや夜明けに綴ります。 きれいごとだけで終わるのがきらいです。 fictionとnonfictionの間を本音で綴ります。

最近の記事

midnight Psalms(91)

薄い氷の上を歩く 氷は割れてしまうけど すぐに体温で溶けてしまう 大丈夫よ 大丈夫だから お前のことは ちゃんと覚えておくからね 次の朝に また薄氷はそこに張っていて 細い朝陽が アイスピックのような 鋭さで お前を貫いている 大丈夫 大丈夫だから お前のことは 言いかけた言葉は 不意に落ちてきた 雹に砕かれて そうだった わたしはいつか 雹のような言葉に 撃ち抜かれて アイスピックを 振り下ろしたのだ

    • midnight Psalms(90)

      「ブルーライトヒステリック」 既読スルーのあと 青白い画面のやり取りはなくて 言葉も心もすれ違う 温かかった言葉を探して 青白い画面を スクロールする指が 白い魚のように冷たい つい数日前に はしゃいだように とどいたLINE 間違えて綴ったのね いきいきした言葉たち 宛先が違ったのね それとも… うっかり素直に受け取ったけど 誤読だったんだね 嬉しかったのよ 既読スルーにすればよかった 行き先をなくした 白い魚のような指先は 楽器をかなしい音で かき鳴ら

      • midnight Psalms(89)

        花言葉は 罪を犯す女 女は夜の闇を 紅で染める そして 命の終わりは 首から ぽとりと地に堕ちる 踏み躙られても 美しい 艶やかな紅は 朝が来て 露に濡れても 尚更色を濃くして 罪を犯した夜を そっとそっと思い出し笑い 夜の闇を紅く染めぬいて ぽとりと 音を立てて 地に堕ちた

        • Evening Moon(88)

          「理由」 そのあかい唇は 真っ赤な嘘をついたから その美しい唇は 美しい嘘をついたから その柔らかい唇は 数えきれないキスのせい その冷たい唇は 冷たい言葉を言ったから どんな唇でもいいよ どんな理由でもいいよ 雪は溶けるから雪なのよって その唇が動いたね

        midnight Psalms(91)

          midnight Psalms(87)

          小さないきもの 大きな夢の中で育つ 大きな夢は 小さないきものが あおい眠りの中で飼ってます 大きな夢はその中で 小さないきものを育てます 大きな夢の中は 甘い甘いにおいがします 金平糖やマシュマロが そこいらへんに 転がって 小さないきものは その養分で育ちます 満たされたらあおい眠りにつきます 小さないきものは あおい眠りの中で 大きな夢を飼ってます 小さないきものと大きな夢 そのことを人は 依存とよびます 何が悪いのでしょうね それが依存だとしても そして小さな手で ま

          midnight Psalms(87)

          midnight Psalms(86)

          ポインセチアの赤が透けて見える 君の胸 そのポインセチアを吸い尽くしたい 白いシクラメンを散らしたような 君の腹部 そのシクラメンは僕ですか 柊の髪を乱しながら その七竈で出来た 紅い唇で 僕の身体が凍りつくような アイシテル アイシテル アイシテル どうしてだろう 僕の耳には 硝子が割れる寸前の 音で聞こえる たとえば赤ワインのにおいの潮 一瞬の永遠 そして月と星が消えたとき 竪琴の奏でる さようなら ポインセチアもシクラメンも 色褪せて

          midnight Psalms(86)

          midnight Psalms(85)

          雪なら白 水色なら雨 流れるなら涙 小指のさきはももいろ 髪は闇のいろ 溢れるのはため息 足音で言うなら 来る時は鈴の音 去るときは雪の音 去るときは聞こえない だからわからない 瞳はエメラルド 肌は絹 あなたはお人形でしたね 一億光年離れたところで 待ってます 忘れるのにちょうどのところです 白いから雪ですね 冬ですか こんなに離れていても 季節は同じですね こんな意味の通じない話を 聴いているあなたは 溶けた白で 私の目から 流れていきます

          midnight Psalms(85)

          midnight Psalms(84)

          「天使」 空の高いところの 天使が 雲の隙間から 人間をみて ああ! あそこにいる人を 幸せにしてあげよう! じゃあ 僕 行ってきます 僕はこっちの方の人にするよ 僕は向こうの… そして天使たちはてんでに 分かれて コウノトリに運ばれて 赤ちゃんになって あなたやわたしのところへ やってきた そうよ 赤ちゃんは お父さんお母さんを 選んで生まれてくるのよ 無条件の愛で 全力で生まれてくるのよ そう、あなたも天使だったのよ ずーっと昔 お母さんも天使だった

          midnight Psalms(84)

          EveningMoon(83)

          そのアパートの部屋の 大きく開いて窓からは 川が流れているのが見える 古い木造のアパートの 2階にある6畳と四畳半の小さな部屋 東向きで 朝が来るのがはやい 部屋には 小さな箪笥と 小さな本棚 最低限の家電 窓には木綿のカーテン 台所には鍋が二つ フライパンが一つ 食器はきっちり二人分。 もちろん私が作った器 あなたがどうしてもと 粘るので 小さなテレビを置きましょう 冬は灯油ストーブと こたつ 夏は扇風機 夏の暑さに負けてエアコンを取り付けたよね お風呂は

          Highnoon Moon(82)

          「鈍器」 わかっているのに つい感情が先走って あなたの折れそうな 今にも崩れそうな 薄い背中を たまたまもっていた まるで恋のような鈍器で 殴ってしまう 他のもので壊れてしまうなら 私が壊してしまおう ほらね これは恋みたいでしょう? ちっとも痛くないでしょう?

          midnight Psalms(81)

          これから下の言葉たちは私が少しずつ溜め込んだ拾い物。 きちんと他に作者がセクション毎にいます。 それをランダムに 私が組み立てて冬のストーリーを考えてみました。 冬(しゃちselect) 降りながらすこしくるってゆくでしょう雪の甘さの、埒があかない 薄氷を避けて歩いて会いにくるあなたと悪さをしたことがない 標本のような白さでごめんねと言われておりぬ冬の晴天 うちに来る?いいよティッシュというティッシュすべて雪になってもいいなら 寒いです。おめでとう。あなた

          midnight Psalms(81)

          星降る夜は(80)

          今夜は詩ではなく。 愛と恋について私はいつも歌っているんだけれども 果たして愛って、恋って なんだろうと考えて。 愛しているのか 恋しているのか もしかしたら幻なのか 愛している人は一人でなければいけませんか? どちらかを選ばなくてはいけませんか? 私には責任があります。 でもそれは責任ではなく 未練なのだとも思います。 愛は穏やかです。 恋は燃え盛る焔です。 終わりがあるから恋 永遠なら愛と 誰が決めたのでしょう 辛いと思う気持ちから 自分に言い聞かせたのかも

          星降る夜は(80)

          midnight Psalms(79)

          あなたは私にたぶん 心の中をみせてくれた そしてそのまま その眼を閉じて 冬の中で凍りついてしまった 私があなたに駆け寄ったとき はらはらとあなたの 心の欠片が空から降ってきて それを集めて抱きしめたら 溶けてなくなってしまった あなたはそれでよかったのかもしれないけど 私は生きることを棒に振って この身が凍っていくことを ずっと窓辺で 裸になって待っている 生きていることなんか 生きていることなんか なんておかしくて 愛おしくて それでも受け入れ難くて 生きてるのかそうじゃ

          midnight Psalms(79)

          midnight Psalms (78)

          辛いなら来いよ その優しさは残酷 鍵にはあなたの手の温度 遥か昔のあたたかさ 来いよと言いながら 迎えには来ないよね わたしはわたしで 今にも行くようなそぶりで たぶん いかないし 二人は同罪 辛いことから逃げても 幸せではない はじめから 幸せなんて 約束できない恋だけど それでも 来いよとあなたの声が ききたくて つらいつらいと もらしてしまう 夢をみる 真夜中に鍵を開けて 「きたわ」って 不機嫌なままの顔をして あなたは わたしに わたしが作った紅いカップに 珈琲を淹れ

          midnight Psalms (78)

          midnight psalms(77)

          今夜部屋に行ってもいいかしら いいけど散らかってるよ と言うあなたの部屋が 散らかっていたことはない 一緒に飲んで ご飯食べて 音楽聴いて 話をするのは私ばかりで あなたは苦笑いして頷いて シンデレラの時間になるから 私、帰るねって言ったら 真顔になって 今夜も泊まらないの?って。 タクシーを呼んで 私をのせてドアの向こうで 何度も手を振るあなた 朝が来たのは いったいいつのことだろう あなたはたぶん あの日のことを ずっと一人で待ってる いつ訪れるかもしれない 過去のこと

          midnight psalms(77)

          midnight Psalms(76)

          蜘蛛の巣だよね 払っても払っても かいくぐっても 小さな画面の中の世界は どこまでも 追いかけてくる 良いように使ってるじゃない でも使われるのはごめんなの 起きた食べた寝た 全部把握されちゃう 全部自分で書いてるのに この小さな画面の 果てしない世界から 逃げたくて逃げたくて 心のように この小さな硝子面を いつか割ってしまうだろう こうして言葉を書き殴り また夜の果ての 蜘蛛の巣に この言葉を 貼り付けるんだろう

          midnight Psalms(76)