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midnight Psalms(89)
花言葉は
罪を犯す女
女は夜の闇を
紅で染める
そして
命の終わりは
首から
ぽとりと地に堕ちる
踏み躙られても
美しい
艶やかな紅は
朝が来て
露に濡れても
尚更色を濃くして
罪を犯した夜を
そっとそっと思い出し笑い
夜の闇を紅く染めぬいて
ぽとりと
音を立てて
地に堕ちた
Evening Moon(88)
「理由」
そのあかい唇は
真っ赤な嘘をついたから
その美しい唇は
美しい嘘をついたから
その柔らかい唇は
数えきれないキスのせい
その冷たい唇は
冷たい言葉を言ったから
どんな唇でもいいよ
どんな理由でもいいよ
雪は溶けるから雪なのよって
その唇が動いたね
midnight Psalms(87)
小さないきもの
大きな夢の中で育つ
大きな夢は
小さないきものが
あおい眠りの中で飼ってます
大きな夢はその中で
小さないきものを育てます
大きな夢の中は
甘い甘いにおいがします
金平糖やマシュマロが
そこいらへんに
転がって
小さないきものは
その養分で育ちます
満たされたらあおい眠りにつきます
小さないきものは
あおい眠りの中で
大きな夢を飼ってます
小さないきものと大きな夢
そのことを人は
Highnoon Moon(82)
「鈍器」
わかっているのに
つい感情が先走って
あなたの折れそうな
今にも崩れそうな
薄い背中を
たまたまもっていた
まるで恋のような鈍器で
殴ってしまう
他のもので壊れてしまうなら
私が壊してしまおう
ほらね
これは恋みたいでしょう?
ちっとも痛くないでしょう?
midnight Psalms(81)
これから下の言葉たちは私が少しずつ溜め込んだ拾い物。
きちんと他に作者がセクション毎にいます。
それをランダムに
私が組み立てて冬のストーリーを考えてみました。
冬(しゃちselect)
降りながらすこしくるってゆくでしょう雪の甘さの、埒があかない
薄氷を避けて歩いて会いにくるあなたと悪さをしたことがない
標本のような白さでごめんねと言われておりぬ冬の晴天
うちに来る?いいよティッ
midnight Psalms (78)
辛いなら来いよ
その優しさは残酷
鍵にはあなたの手の温度
遥か昔のあたたかさ
来いよと言いながら
迎えには来ないよね
わたしはわたしで
今にも行くようなそぶりで
たぶん
いかないし
二人は同罪
辛いことから逃げても
幸せではない
はじめから
幸せなんて
約束できない恋だけど
それでも
来いよとあなたの声が
ききたくて
つらいつらいと
もらしてしまう
夢をみる
真夜中に鍵を開けて
「きたわ」って
不
midnight Psalms(76)
蜘蛛の巣だよね
払っても払っても
かいくぐっても
小さな画面の中の世界は
どこまでも
追いかけてくる
良いように使ってるじゃない
でも使われるのはごめんなの
起きた食べた寝た
全部把握されちゃう
全部自分で書いてるのに
この小さな画面の
果てしない世界から
逃げたくて逃げたくて
心のように
この小さな硝子面を
いつか割ってしまうだろう
こうして言葉を書き殴り
また夜の果ての
蜘蛛の巣に
この言葉を