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【製本のある暮らし】とじじんという働き方。



潜在意識という自動操縦の船は、私が眠っている間も目的地に向かって航行を続けています。



先だって地元の見附市民ギャラリーから、来年度の市民ギャラリー自主事業の一つとして、伝統製本であるパッセカルトンとカリグラフィーでの個展開催の打診を受けました。
昨年8月に個展を開かせて頂いたことが縁で、新潟では珍しい製本を見る機会が好評だったのと同時に、信頼を頂けたことを非常に嬉しく思っています。

本来、この年末にも市民ギャラリーでの個展を控えていたのですが、今年、義母が亡くなったことと、私の認識不足による突然の定年退職があったことで準備が滞り、個展開催が間に合わない状況に陥りキャンセルさせて頂いた経緯がありましたので、非常に嬉しい知らせでした。もちろん二つ返事でお受けした次第です。


そんな折、姉から認知症の実母の症状が進んでいると連絡が入りました。

私の実家は隣町にありますので、時々様子を見に行くのですが、母のことは私も感じていました。母は弟と二人暮らしですが、弟も勤めがあるため昼間は一人です。
奇声を発したり、俳諧をしたりということはありませんんが、お金の使い方が頻繁になり、冷蔵庫の中が同じものでいっぱいになっているようです。じつは義母も認知症でした。同じ症状がありましたので、実家の状況はすぐに理解できました。

私はパートで研磨の仕事をしていますから、実家の使っていない農舎で仕事ができないものか?と薄々考えていました。


鉄の塊から、製本用のハンマーを削り出しているところ。


私は自分が使う道具も作ります。日本では手に入りにくいという事情がありますが、金属加工の仕事を17年以上続けてきましたので、そのことは苦にならず、むしろ楽しさの方が勝っています。


フリーハンドで削っていきます。



完成品です。



本に溝をつけたり、革に模様を入れたりするヘラです。



生活費が欲しい、作品制作の時間がもっと欲しい、私の作品に対する信頼が得られた、個展の数を増やしたい、実母の面倒をみたい、研磨ができる、製本ができる、カリグラフィーが書ける、パート先の煩わしい人間関係は面倒だ、もう少し睡眠時間が欲しい、運動もしたい、これからの働き方を考える、等々の点々を潜在意識が具体的な目的地の景色として捉え、自動操縦してくれています。私は私の欲するものをただ意識に語り掛けるだけです。そして、目の前にあることで充足感を感じられていれば、気が付いた時にはちゃんと目的地に立っていられます。

とじじんという働き方の点描はかなり具体的に、鮮明になってきています。



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