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中森かりんの作品世界が6割くらい理解できるようになるnote


私たちは価値を見出し、対価を払う。
数万人のフォロワーを持つインフルエンサーが「良い」と言えば、その対象の真贋は問わずに価値は生まれる。
一方で私もあなたも、母の作った面白みのない味噌汁が二度と味わうことのできないとわかった時、涙を流すほどの価値を感じるかもしれない。
たとえ世の中の誰もが気に留めないとしても、あるいは時代のマジョリティが賞賛したものであったとしても、あなたが感じている価値を生み出したのは他ならぬあなた自身である。

このnoteは11/23(水)〜11/28(月) に銀座PALPITO GALLERYにて行われた、アーティスト中森かりんの展示を通し、中森の現在の作品世界を理解する一助となることを目的にした取り組みです。

私自身も銀座での展示に行ったが、中森かりん作品は面白い。
今回展示の特筆すべきは「”アナログ作品の価値を意図的に下げるため”に作品の一部を他の人間に描かせていること」 にある。
それらは全て、作品の原点である「一枚のデジタル画像」の価値を高めるため。

2022年11月・銀座PALPITO GALLERYでの”他人の手が介在した”展示作品

誰もが経験したことがあると思うが、誰かに任せる・発注すると必ずどこかに発注元の意図が及ばない部分が出てくる。 それは作品の出来栄えかもしれないし、契約上のトラブルかもしれないし。 今回の中森の「一部を人に頼む」という試みも例外ではなく、様々なトラブルがあったという。

そのトラブルは中森本人の意図しないものだったとしても”作家本人の純朴性が失われていく”ことで、意図していたアナログ作品の価値を下げる働きが見事に機能していることになる。

パッと見綺麗で、美術品としてより価値があるとされるが不純率が高まるアナログ作品。
いまの美術シーンで美術品としてより価値が低いとされがちだが作家(中森)の純度が最も高いデジタル作品。
デジタルとアナログの価値の問いかけが中森の制作である。

また、オリジナルである一枚だけのデジタル作品の価値がある一定のラインを超えたとき、ある種廉価版とも言えるアナログ作品の創出が止まり、現在のシリーズは終わりを迎える。 NFTというデジタルの価値を刷新した取り組みの渦中にいる私に対しても、デジタルの価値付の新しい解釈を提示してくれる。

あなたが抱いている価値基準はどこから来た?
「みんなそう言っているから価値がある」
「デジタルは複製できるから価値がない」
そうかもしれない。だが、誰の何を参考にしたところで、あなたが抱く価値を決めることはあなたにしかできない。
あなたは、あなたの人生において何に価値を置く?

中森かりんの現在制作シリーズの原初である”デジタル作品”

無論、これもまだ断片的なもの、 今回の展示では本人の在廊期間も長いとのことなので、ぜひ本人から意図、背景、いろ〜んなトラブルもろもろ聞いて欲しい! 間近で見る質感、空気感、いかついよ!!
中森かりんのSNS:

instagram:

https://www.instagram.com/carin_1126/


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