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霧煙る街、大阪
先日、大阪にて友人と会った。
「飲めるとこ、探しに行こうか」
時刻は22時半。
18時過ぎからしこたま飲み食いし、胃袋はすでに満足していた。
しかし久々に会えたのが嬉しくて、そのまま解散、というのもさみしく思われたので、僕と友人はもう一軒、ゆっくりしゃべれる場所を探して大阪キタを彷徨うことになったのだ。
その日は朝から雨が降っていた。
春の到来を告げる、優しくも激しい雨。
雨は夜分まで降り続いていたが、僕らが一軒目の飲食店の最後の客となる頃にはすでに止んでいた。
代わって大阪の空を覆っていたのは濃い霧だった。朧げなオレンジのネオンが空を彩る。
梅田の高層ビル群からお初天神の方へ向かって二人歩く。
「なかなか見つからないね」
横断歩道を一つ渡っただけなのに、街の雰囲気はがらりと変わっていた。
賑わいを見せる商店街はまさに「下町」という感じで、友人はその雰囲気の変化に戸惑っていたが、僕は僕でその空気を楽しんでいるのだった。
友人と会うのは楽しい。
一軒目ではお互いの将来のことについて、ふざけ交じりに語り合った。
結果4時間、閉店時間になり店員に追い出されるまで延々と。
友人も多忙、かつ住んでいる場所も違うので、このご時世もありなかなか気軽に会うことができない。こうして久々に会うことができた時にはついつい話し込んでしまう。
「今日はちょっと無理かもな」
賑やかなのが裏目に出て、結局落ち着ける場所が見つからないまま終電間際になってしまった。
「また今度かな」
「そうだね」
霧煙る街を、二人連れ立って駅までの道を歩く。
駅のプラットフォームで、友人とまた会うことを約束し、僕らは別れた。
今度は晴れるといい。…いやどちらでも構わないな。
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