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[一応エッセイ]誰も見てくれない

一応この作品は、僕の人生を元にシナリオ形式で作ったストーリーとなっております。これを見て、僕の人生の一部を除いて何かの糧になっていただけたらなと思い、載せました。よろしくお願いします。

◯人物表
たけし(23) シナリオライター志望の美術部。
けんたろう(35) たけしの上司。
ゆうと(24) カメラマン助手。
鶴美(35)  製作部。
よういち(23) たけしの同僚。
たけしの母(50)
映画監督。
助監督。



◯自宅(夜)
   シナリオを執筆しているたけし(23)。
   終わりが着くまで書き終える。
   一息つくたけし、体を伸ばす。
◯株式会社・アゾート
   原稿用紙をゆうと(24)に見せるたけし。
ゆうと「何これ?」
たけし「何って・・・ほら、この間話したシナリオですよ。
 新作書き終えたら見せるって言ったじゃないですか」
ゆうと「ああ、そうだったね。(原稿用紙を受け取り)ありがとう。あとで見てみる よ」
たけし「あざーす」
ゆうと「最近何かと忙しいからな。見れるかは」
上司「おいゆうと、ちょっといいか」
ゆうと「あっはーい」
   席を外すゆうと。
たけし「・・・」
◯同・休憩室
   ベンチに座り、コーラを飲んでいるたけし、目の前に自販機。
たけし「みんな忙しいもんな(小声)」
鶴美「おつかれー」
たけし「あっ、お疲れ様です」
   自販機に向かう鶴美(35)。
   お金を入れ、缶コーヒーを選ぶ。
鶴美「最近どう?」
たけし「何がですか?」
鶴美「えっ?行ってるのかなって」
たけし「恋活の方ですか?」
  頷く鶴美。
たけし「全然っすね。あんまり上手くいかなくて」
  コーラを飲む。
鶴美「そっか。大変だね。あっそうそう。シナリオはどうなの?書いてる?」
たけし「あっはい、そっちは順調っすね。今SFの方書いてまして」
鶴美「へぇ。面白そうじゃん。何何?スターフォーズとか、エイリアンみたいな   奴?」 
たけし「うーん。それとはちょっと違うかな・・・」
鶴美「へえ・・・今度見せてよ。読みたいなぁ」
たけし「あっ、はい。是非是非」
   缶コーヒーを飲む鶴美、コーラを飲むたけし。
◯同・作業部屋(夜)
   美術品を運ぶたけし、指示しているけんたろう(35)。
たけし「こっちでいいっすか?」
けんたろう「うん。そうだね。とりあえずそこで」
   美術品を置く。
けんたろう「粗末に扱うなよ。明日使うらしいからさ」
たけし「わかりました。・・・・・」
けんたろう「どうかした?」
   美術品を見つめているたけし。
たけし「いやあ、なんかこれ・・・SFに出て来そうだなって思って」
けんたろう「うん?そうか。あー。言われてみればそうかもな。なんかスター   ウォーズとかに出て来そうだな」
たけし「そうそうそう」
けんたろう「これ動いたら、怖いかな」
たけし「たしかに。・・・それいいかもしれない」
けんたろう「何が?」
たけし「僕の今後のネタに・・・というか」
けんたろう「また新しいの閃いたのか?」
たけし「そのつもりですね」
けんたろう「お前、なんか賞とか狙ってみたら?」
たけし「そのつもりですよ。だから頑張ってんす」
けんたろう「ほう・・・そうか」
   沈黙になり、美術品を磨くたけしとけんたろう。
◯たけしの家・たけしの部屋(夜)
   両手を組んで後頭部に触れて上を向いているたけし。
たけし「うーん。なんだっけぇ」
   机の上に原稿用紙。
たけし「なんて書こうとしたんだっけえ」
   頭を激しく掻くたけし。
たけし「あーなんだっけなんだっけなんだっけ!なんで書かなかったんだぁあ    あ!!」
母(声)「たけしー!!ご飯できたよー!!」
たけし「はーい!」
   席を外すたけし。
◯通り道(夜)
   ウォーキングしているたけし。
   咲いている草花を見て回る。
たけし(M)「この草原、うまく行かせないかな」
   ××××
   ひたすらウォーキングを続けるたけし。
   市役所付近まで歩く。
◯市役所・階段(夜)
   階段に座り、汗を拭く。
   市役所の建物を見上げる。
たけし(M)「ここもロケーションで使えないかな?すごい未来的」
   スマホからの着信音、相手はゆうと。
   電話に出る。
たけし「はい、たけしです」
ゆうと(声)「おお、おつかれ。ゆうとだけどさ」
たけし「はい」
ゆうと(声)「明日、もし大丈夫だったら、手伝って欲しいんだけど」
たけし「はい。大丈夫です・・・はい・・・はい。なるほど」
   しばらく通話が続く。
たけし「はい。わかりました。はーい、あっゆうとくん。ちょっと」
ゆうと(声)「なに?」
たけし「あのー。台本の件ですが・・・」
ゆうと(声)「あー、ごめん。まだ読めてない」
◯マンション・ゆうとの部屋(夜)
   作業部屋でMacをいじっているゆうと。
   机の上は書類で覆われている。
   作業しながら電話をしているゆうと。
たけし(声)「そうですか」
ゆうと「うん。ごめんね。最近忙しくてね。最近さ、オレカメラ買ったんだ。もう ハリウッドでも使われてるくらいのやつでさ」
◯市役所・階段(夜)
   通話が続くたけしとゆうと。
たけし「そうなんですね。すごい」
ゆうと(声)「そうそう。オレもそれくらい情熱を持って取り込んでることだから   さ」
たけし「そうですか・・・」
   電話を切り、夜空を見上げるたけし。
たけし「情熱か・・・オレにもあるよな」
   立ち上がるたけし。
たけし「よし!」
   階段を駆け足で登る。
◯たけしの家・たけしの部屋(夜)
   ペンを進めるたけし。
たけし「・・・・」
   ペンを動かす音しか聞こえない。
   フェードアウト。
◯撮影現場・工場
   撮影をしているたけしたち。
   拳銃を構えているスーツ姿の役者。
   ガンアクションが続く。
監督「カット」
   カチンコを鳴らす助監督。
監督「okでーす」
   次のシーンの準備にかかるスタッフたち。
   拳銃を預かるたけし。
けんたろう「次の準備しようか」
たけし「はい」
けんたろう「とりあえず、これはもう終わりだから、片付けるか」
たけし「了解です」
   ドラム缶を片付けるたけしとけんたろう。
   ××××
助監督「ただいまより、お昼休憩に入りまーす!1時間後撮影開始でーす!」
   ケイタリング部、お弁当を配る。
   弁当を食べ始めるスタッフと、キャスト陣。
◯同・室内
   弁当を食べながら、一人黙々とスマホでシナリオを制作しているたけし。
   やってくる鶴美。
鶴美「こんなところにいたんだ」
たけし「・・・」
鶴美「たーけしくん」
  鶴美を見て驚くたけし。
たけし「あっおつかれ様です」
鶴美「何驚いてんのよ」
たけし「すみません。気づかなかったもので・・・」
   たけしの隣に座る鶴美。
たけし「ちょっとなんですか」
鶴美「えっ?どんなん書いてるのかなぁって」
たけし「いや、まだダメっすよ」
鶴美「えー。気になるじゃない?」
たけし「完成したら見せますから」
鶴美「本当?」
たけし「はい」
   書き進めるたけし。
   出てくる鶴美の友達。
友達「お待たせ」
鶴美「うん。じゃあいくね」
   離れる鶴美。
たけし「何しにきんだろう」
   呟くたけし。
◯同・外(夜)
   撤収にかかっているスタッフたち。
   美術品を運ぶけんたろうとたけし。
けんたろう「気をつけろよ」
たけし「あっはい」
   ハイエースに置く。
   ×××
   撤収作業が終わり、発車する車。
◯車の中(夜)
   眠っているけんたろう。
   スマホをいじるたけし、画面はドキュメントでシナリオを書き進めている。
たけし「・・・」
◯たけしの家・玄関(夜)
   鍵を開け、扉を開けるたけし。
たけし「ただいま」
   玄関へ上がる。
◯同・たけしの部屋(夜)
   ペットの上に俯せるたけし。
たけし「あー。やっと終わった。つかれたぁ」
      目を閉じる。
たけし「・・・」
   時計の動く音が響く。
   突然目を開けるたけし、首を横に激しく振る。
たけし「いかんいかん」
   時計が2時30分を周っている。
   デスクの上で物書きをしているたけし。
   瞼が重くなっている。
   うとうとするたけし。
   段々と姿勢が悪くなりうつ伏せになり始める。
◯たけしの部屋(朝)
   机の上で眠っているたけし。
   顔を起こす。
たけし「!?」
    時計を見て慌て出すたけし。
たけし「やばいやばいやばい!」
   着替えて部屋を後にする。

◯アゾート・事務室(朝)
   席に座っているたけし、落ち込んでいる。
ゆうと「またやっちまったな」
たけし「はい」
ゆうと「夜ふかししてたのか?」
たけし「いや、趣味の・・・シナリオを」
ゆうと「なるほど、それでか。そろそろ時間とか決めてやったほうがいいんじゃな
 いか?」
たけし「そうですけど、やることがたくさんあったので」
ゆうと「だから、スケジュールを立てろってことだよ。俺たちだっていつも立てた  り見たりしてるだろ?」
たけし「それとプライベートは違うでしょ」
   ため息をつくゆうと。
ゆうと「せっかくいいアドバイスしたと思ったんだけどな」
   席を外すゆうと。
   大きくあくびするたけし。ぼーっとする。
◯備品室(朝)
   片付けをしているけんたろう。
   やってくるたけし。
たけし「すいません、遅くなりました」
けんたろう「本当だよ。何してたんだ全く。シコってたのか。夜中まで」
たけし「いや、そんなんじゃ」   
けんたろう「まあいいや、早く手伝ってくれ」
たけし「はい」
   段ボールを片付け出すたけしとけんたろう。
◯休憩所・自販機前
   缶コーラを飲むたけし。
鶴美「おつかれ」
たけし「あっ、おつかれ様です」
鶴美「隣り、いい?」
たけし「はい、どうぞ」
   隣に座る鶴美。
   缶コーヒーを飲む。
鶴美「最近忙しいね」
たけし「本当、こんな給料じゃ足んないだろ?ってくらいですよ。マジしんどい」
鶴美「だね・・・。誰かさんは遅刻したらしいし」
たけし「はい、すんません」
   微笑む鶴美とたけし。
   沈黙になり、お互いマイペースに飲み物を飲む。
鶴美「たけし君ってさ、シナリオ書いてて、楽しい?」
たけし「えっ・・・まあ、そうっすね」
   コーラを飲むたけし。
鶴美「そう・・・やっぱ楽しいんだ」
   缶コーヒーを飲む鶴美。
たけし「なに?どうしたんすか」
鶴美「いや、続けられるのが、なんかすごいなぁって」
たけし「やりたくてやってるだけですけどね」
鶴美「それがすごい」


たけし「えっ?」
鶴美「楽しくやれるっていいよね。あたしも書いてたんだけど」
たけし「えっ?そうなんですか?」
  頷く鶴美。
鶴美「でも続かなかったんだ。色々あったし」
たけし「いろいろ?」
鶴美「(頷き)いろいろ」
たけし「いろいろって」
鶴美「話す気はない」
たけし「そうですか」
   コーラを飲む。
鶴美「強いて言うなら、挫折、かな。書いてる途中で色々気づいちゃってね。面白 くないってダメ出し食らったり、オチが思いつかなかったりしてさ。だから、た けしくんがさ、頑張ってるのを見ると、なんか自分と重ねちゃうんだよね」
たけし「・・・」
   缶コーヒーを飲む鶴美。
   鶴美、腕時計を見る。
鶴美「もう休憩終わりか、じゃあ。頑張ってね」
   離れる鶴美。
たけし「みんな色々あるんだな」
   缶コーラを飲むたけし。
たけし「でも・・・結局読んでくれてない邪魔ないか」
   缶コーラを飲み干すたけし。


◯街中(夜)
   人気の多い道、ただ一人で歩くたけし。
   たけし、ドンキホーテを見つけ、向かう。

◯ドンキホーテ内(夜)
   メモ用紙を持って探しているたけし。
たけし「えーっと、えーっと(小声)」
   おもちゃ売り場のコーナーを見つけるたけし。
◯同・おもちゃ売り場コーナー(夜)
   おもちゃコーナーを周るたけし。
   モニター画面が気になる。
   新作のヒーローのPR動画が映っている。
     少女がヒーローに変身する。
たけし「・・・・」
   メモ用紙を握りしめる。

◯アゾート・室内(夜)
   自分の椅子にもたれて上を向くたけし。
たけし「あーあ。こされた!」
よういち「なにが?どうしたんだよ」
    驚くよういち(23)
たけし「聞いてくれ。今日ドンキで買い出しに行ってる時なんだけどさ」
よういち「(頷き)うん」
たけし「おもちゃ売り場の方に、ヒーローのPR動画がやってたんさ」
よういち「うんうん」
   机にもたれるたけし。
たけし「僕が考えたやつとほとんど被ってんだよ内容が。クソぉ、先越された」
よういち「まあ、ドンマイ」
たけし「やかましいわ」
よういち「そんな時もあるよ。それよりレポート出さなくていいの」
   たけし、ため息をつく。
たけし「出さなきゃな」
   キーボードを打ち始める。
◯夜道(夜)
   夜道を歩くたけし、下を向いている。
たけし「疲れたな」
   トボトボと歩いて行く。
   ヒーローのポスターを見つける。
   下を向くたけし。
   深いため息。

◯たけしの家・部屋(夜)
   机の上に上半身を横向きにして倒れるたけし。
たけし「先越された。クソォ!もうちょっと早く思いついていれば!」
    額を打ち付けるたけし。
母(声)「うるさいわよー」
たけし「ごめーん!・・・とりあえず」
   ××××
   ベットの上にいるたけし。
たけし「寝る」
    瞼を閉じるたけし。
◯たけしの家・食卓(朝)
   朝食を食べているたけしと、たけしの母。
母「最近忙しそうね」
たけし「うん」
母「楽しい?仕事は」
たけし「仕事に楽しいも何もないでしょ」
   半笑いするたけし。
母「まあ、そうだけどさ。でもやりがいはあるでしょ?」
たけし「どうだかねぇ。最近どうも調子狂うんだよな」
   白米を口にするたけし。
母「まあ、頑張りなさいな。今晩はカレーだからね」
たけし「うん」
   ××××
   仕事着に着替えているたけし。
たけし「行ってきまーす」
母「気をつけてねえ」
たけし(声)「はーい」
   家を出て行くたけし。
◯住宅街(朝)
   あくびをしながら歩くたけし、ふと公園に目をやる。
たけし「・・・」
   ブランコに座っている女子高生の姿。
   遠くで女子高生を見つめながら歩くたけし。
   友達がやってきて公園を離れて行く女子高生。
   立ち止まるたけし。
たけし「・・・・そうだ。これか!」
   走り出すたけし。
◯電車(朝)
   座席に座り、ノートパソコンでシナリオを書いているたけし。
   指先が進んでいる。
アナウンス「次は、新宿。新宿です」
◯市街地(朝)
   走るたけし。
◯アゾート(朝)
   美術品の手入れをしているたけし。
   ××××
   休み時間になり、出かける美術部のスタッフ。
   ノートパソコンを開いて台本を書くたけし。
◯同・事務室(夜)
   打ち合わせをしているメンバーの様子。
   メモをとっているたけし、スマホで録音もとっている。
   ××××
   ミーティングが終わり、引き上げていくメンバーとたけし。
   ノートをしまう。
◯休憩所(夜)
   カフェラテを飲みながら
   メモ用紙に登場人物の相関図を書いているたけし。
   その様子を見ている鶴美。
   オオあくびするたけし、目を擦る。
   首を横に振り、相関図を書く。
◯市街地(夜)
   猛ダッシュするたけし。
   駅まで向かう。
◯住宅街(夜)
   走り続けるたけし。
たけし(N)「もう少しだ。もう少しで・・・あと少しで」
◯たけしの家・たけしの部屋(夜)
   部屋の中に飛び込むたけし、パソコンを立ち上げ、応募のホーム画面を開    く。
   URLを入力してエンターキーを押す。
   パソコン画面に「ご応募ありがとうございました」と表示される。
   一息つくたけし。
たけし「間に合った。(一息つき)あとどうなるかだな」
   背筋を伸ばすたけし。
◯撮影現場・外観(夕)
   助監督の声がかかる。
助監督「以上でオールアップとなります!お疲れ様でした!」
   盛り上がる一同、拍手喝采の音。
◯撮影現場・室内(夕)
   撤収作業するスタッフ。
けんたろう「おつかれ」
たけし「お疲れ様でした。やっと終わりましたね」
けんたろう「ほんとだよ。長いようで短いようだったな」
たけし「なんすかそれ」
   笑い合う二人。
けんたろう「さっさと終わらせるか」
たけし「はい!」
  片付ける二人。
◯駅・JR口(夜)
   ベンチに座ってスマホを見ているたけし、スクロールを続けている。
たけし「・・・」
   画面はシナリオ対象のサイト、内容な条件などを目で追う。
   時計を見る、時刻は10時。
たけし「もう少しだな(小声)」
    スマホから通知音。
たけし「・・・」
◯電車(夜)
   呆然とした表情をしたたけし、下を向いている。
たけし「・・・・」
  不合格という通知メール。

◯たけしの家(夜)
   椅子に座ってぼーっとしているたけし。
たけし「・・・・」
   原稿用紙を見て立ち上がり、原稿用紙を丸める。
   勢いよくゴミ箱に向かった投げつける。
   髪を激しく掻き叫ぶ。
   再び座るたけし。
   ××××
    時刻は深夜を回っている。
    ベットの上で三角座りしているたけし、うずくまっている。
たけし「・・・・」
   しばらくこの状態が続く。
   朝日の光が入る。
   窓の外を見つめるたけし、目にクマができている。

◯公園(朝)
   ベンチに座っているたけし。
   公園の光景を見つめながら微糖のカフェラテを飲む。
たけし「甘くない」
   公園内を彷徨き始める。
たけし(N)「もう、何も浮かばない・・・何も考えたくない。何もかもいやになった  気がする」
◯住宅街・通路(朝)
   街の光景を眺めながら歩くたけし。
   目の前に走ってくるけんたろう、タオルとジャージ姿。
たけし「あっ・・・」
けんたろう「おう。おつかれ」
たけし「お疲れ様です」
けんたろう「なんだ元気ねえじゃねえか。どうした」
たけし「まあ・・・ちょっと」
けんたろう「失恋したか?」
たけし「彼女いないっすよ」
けわたろう「そうだったな」
   笑うけんたろう。
たけし「・・・・」
   ××××
   二人並びの歩くたけしとけんたろう。
けんたろう「お前もこの辺走ったりしてんのか?」
たけし「まあ、時々ですけど・・・何か浮かばなくなった時とか、モヤモヤした時 は特に」
けんたろう「そっか。結果どうだったか?コンクールの」
  首を横に振るたけし。
けんたろう「なるほどな」
たけし「自信作だったんですけどね。今回はうまくいくとおもってましたが、おあ     いにく様で」
けんたろう「オレも面白いと思ってたけどな。残念だったな」
たけし「ありがとうございます。ぼくの作品見てくれたの、先輩だけなので。色々
 参考にしたんですけど、やっぱ難しいですね」
けんたろう「少し休むか」
◯公園
   ベンチに座っているたけし、けんたろう。
   背筋を伸ばすけんたろう。
けんたろう「やっぱ落ち着くなここ」
たけし「そうですか」
けんたろう「おお。ほらよ」
  けんたろう、カフェラテをたけしに渡す。
たけし「ありがとうございます」
   受け取るたけし。
   カフェラテを飲むたけし、ブラックコーヒーを飲むけんたろう。
けんたろう「それで、諦めるのか?シナリオは」
たけし「わかりません。でも、なんか・・・自信がなくなったというか。誰かに見 せても、誰も見てくれないし、感想もなかなかないもんで。心配になるんです。 才能がないんじゃないのかとか、色々考え込んじゃってて」
けんたろう「オレはあるんじゃないかなって思うな。シナリオって地味に大変なこ とだろ?」
たけし「まあ、そうですね」
けんたろう「それがやれてるだけでもすごいよ。なかなかできることじゃない。オ レもやったことあるが、流石に長く続かなかった。だからお前の脚本見てて、内  心すごいなって思ってたよ」
たけし「・・・」
けんたろう「もっと自信持てよ。今度はどうしてみんな見てくれないのか?そこを 掘り下げて書いてみたらどうだ?例えば今の気持ちを、シナリオに反映させると か。な」
たけし「今の・・・気持ち」
けんたろう「まあ、頑張ってみなよ」
たけし「(立ち上がり)ありがとうございます」
けんたろう「頑張れよ!シナリオライター!」
  走っていくけんたろう。
◯たけしの家・たけしの部屋(夜)
   自分の席に座ってパソコンに文字入力するたけし。
   エンターキーを強く押す。
パソコン画面「誰も見てくれない」
                                              END

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