[小説]曽御町・ゾオンチョウ


◯人物
小倉光子(14)転校生
火野ほむら(14) 転校生
石原伶香(14) 光子のクラスメイト レモン好き
電田龍斗(14) 光子のクラスメイト男子
小倉静香(4) 光子の妹
光子と静香の母
先生


 下の街の風景を見下ろす火野ほむら(14)
 街のあちこちに動いている影のようなものたち。
ほむら「侵略されてる。この町も・・・」

 山々があり、木造建築がたくさん建っている。

 席に座って窓の外を見つめている光子(14)
 外の夕景を見てはしゃぐ静香(4)
光子「こら静香」
 トンネルに入る新幹線、真っ暗になる外。
 アナウンスが流れる。
アナウンス「次は曽御町。曽御町です」
光子「ほらしずちゃん、そろそろ降りるよ。準備して?」
静香「はーい」
 荷物を持って移動する光子と静香。
 トンネルを抜ける新幹線。 
 曽御町駅を降りる光子と静香。
 静香、走っていく。
光子「あっ待ちなさい!」
静香「お姉ちゃん!早く!」
 笑いながら走っていく静香。
光子「待ってってば!もう!」

 ハンバーガーを食べている静香。
 母親にメールしている光子、送信する。
光子「もうお願いだから、じっとしてよね。迷子になったらどうするのよ」
静香「お姉ちゃん、あれ欲しい」  
 静香、指を指す。
 方向を見る光子、そこにおもちゃが色々と売られている。
光子「もう、しょうがないわね」
 財布を鞄から取り出し、中身を確認する。

 スマホのようなアイテムを見ながら歩いてい   る電田龍斗(14)。
 アイテムの画面、アスファルトを映している
   何かを探している様子。
龍斗「いたいたいた!」
 画面に影のようなものが映る。
 逃げる影のようなもの。
龍斗「あっ!逃すか!」
 素早い動きで、逃げ惑う影のような存在。
 必死に追いかける龍斗。
龍斗「待てええ!」
 アイテム画面に出てくる虫取り網状のグラフィック。
 アイテムを握る腕を振る。
 アイテムから現れる網状のエネルギー。
 龍斗の腕の動作に合わせて動く網状のエネルギー。
 影のようなものを捕まえようとするも素早く 交わされ、逃げて行く。
龍斗「あと少しだったのに!」
 指パッチンする龍斗。
 逃げる影のようなものの別方向から出てくる網状のエネルギー。
 影のようなものを取り押さえる。
龍斗「あっ!」
 吸い込まれるように引き寄せられて行く。
 その方向を見る龍斗、そこにいる瑞乃伶香(14)。
龍斗「瑞乃てめえ!」
 自慢げな表情をする伶香、あっかんべーをし、去って行く。
龍斗「おのれえ、あのレモン野郎」
 拳を握る。
 ××××
 アイテム画面を見つめる伶香。
伶香「10っ匹めゲット。これでまたポイントが貯まるわね」
 コイン画面が写り、上に数字が記載されている。
 すれ違う大型の影のような存在。

 マップを見ながら歩く光子。
光子「えーっとここのはずよね」
 マップ画面、逆の方向へ進んでいる。
 笑みを浮かべながらおもちゃのぬいぐるみを持っている静香。
光子「まただ。また違う方向向に。もう困ったなぁ」

静香「ねえ!お姉ちゃんまだ?」
光子「うるさいわね。新学期早々。なんでこうなるんだろう」
 母からの 着信音。
光子「もしもし?お母さん」
母(声)「あっ光子?今どの辺?」
光子「わかんない。まだ住宅街なんだけど」
母(声)「また迷ってるの?もうしょうがないわね」
光子「しょうがないじゃん、あたしのスマホのマップ、全然ダメでさ」
母(声)「この前来た時、もう覚えたって自慢げに言ってたじゃないの」
光子「だってえ」
 遠くから二人を狙っている影のような存在。
 静香、それに気づく、あ隠れる影のような存在。
光子「うん、わかったわ」
 スマホを切る光子、ため息をつく。
静香「お姉ちゃん」
光子「何よ、さっきから」
 静香、ゆびを指す、その方向を見る光子。 
 影のようこそものが動いている。
光子「何あれ?熊?」
 静香、走って向かう。
 振り返ると静香がいない。
光子「静香、待ちなさい?!」
 ××××
 街の中を探し続ける光子。
光子「静香・・・しずちゃん!?しずちゃんどこ!?
 曲がり角、行き止まりにたどり着く静香。
静香「あれ?ここどこ?お姉ちゃん?」
  あたりは薄暗い、人気のない道。
 今にも泣き出しそうな静香。  
 後から現れる影のようなもの。
 怯える静香。
 ××××
光子「しずちゃん、しずちゃんどこ行ったの?」.
 静香を探す光子。
静香(声)「お姉ちゃん!」
光子「静香!」
静香(声)「お姉ちゃーん!助けて!」
光子「静香!」
 静香の声が聞こえる方へ向かう。
 ××××
伶香「よし、あと一匹、あと一匹仕留めれば」
 不適切な笑みを浮かべ、画面を見ながら歩く伶香。
光子(声)「静香!」
 駆け寄る伶香。
 辿り着くと、目の前に腰を抜かした光子と影のようなものに襲われている静香。
光子「静香!」
 手を伸ばす光子。
 「お姉ちゃん!」と叫びながら取り込まれていく静香。
伶香「まずい!」
 伶香、アプリを起動しかざす。
 画面から眩い光が放つ。
 弱る影のようなもの、静香を連れて壁の中へきてる。
光子「!?」
伶香「遅かった」
光子「(涙を流し)静香・・・」
伶香「時間の問題ね、このままじゃあの子が危ない」
光子「えっ・・・あなたは?」
伶香「あたし?まあ見ての通り。こういうものよ?」
 アイテムを見せる伶香。
光子「何これ?新しいスマホ?」
伶香「えっ?知らないのあんた?シャドウハンターよ。あたしは」
光子「シャドウ、ハンター?」

 マップ画面を見ながら歩く伶香、付いている光子。
伶香「そう、じゃああなたの妹さんはシャドウを見つけて追ってった矢先、捕まっ てしまったのね」
光子「うん。あの、シャドウって、あの影みたいなやつのこと?」
伶香「そっ。最近この街に現れた未確認生物。わかってるのは子供を襲うこと。だから奴らから身を守るために作られたのが、このデバイスなのよ」
光子「そうなんだ」
伶香「で私はこれを使って商売している。シャドウハンターよ」
光子「あ、あたし。光子って言います。ここに引っ越してきたはわかりなの。よろ  しく」
伶香「そう、通りでデバイスもシャドウのことも知らないわけね。あたしは伶香。   よろしく」
 反応するアイテム。
伶香「良かった。まだ遠くには行ってないみたい。この付近に反応がある」
光子「本当?じゃあ早く見つけないと、静香が」
伶香「ええ。急ぎましょう。あの空き地に反応してるわ」
 走って向かう。
伶香「シャドウは名前の通り、日の当たる場所だと確認しやすいの!この辺は影が 少ないからいいけど、日陰に入られたら奴が逃げるチャンスになってしまう!」
光子「静香、お願い無事でいて」
 影のようなもの・シャドウを見つける伶香と光子。
伶香「いた!」
光子「静香!」
 取り込まれた状態で眠っている静香。
 アイテムを起動する伶香、網状のエネルギーを発動。
龍斗「させるか!?」
  遠くから妨害に入る龍斗。
伶香「あんた!」
 やってくる龍斗。
龍斗「へへーん。そうはさせないぜ!」
伶香「あんたと遊んでる場合じゃない!邪魔するな!」
龍斗「それはこっちのセリフだ!このレモンだらけ女!」
   アイテムからビームを放つ龍斗、反撃する伶香。
伶香「クソ!」
光子「なんなのあの子?!」
伶香「あたしと同じハンターだけど、いつも私の邪魔してくるバカよ!」
 光子、シャドウの様子を見る。シャドウの中で消えかかる静香の姿。
光子「静香!」
伶香「まずい!取り込まれる!」
 止めに入る光子。
光子「やめて!今私の妹が大変なのよ。だからお願い」
龍斗「はあ?誰だこいつ」
伶香「シャドウに捕まってるのよ!この子の妹。なんでわかんないのよバカ!」
 龍斗、確認する。
龍斗「マジかよ!?」
 シャドウに攻撃する龍斗。
 加勢する伶香。
伶香「攻撃を一点集中させてやつの体に穴を開けさせる。その隙に妹を助けるのよ」
 頷く光子。
 シャドウの体に穴が開き、出てくる静香の頭。
 シャドウに向かって走る。
光子「静香を、妹を返せ!」
 攻撃が効かないシャドウ、光子を見る。
龍斗「塞がった!嘘だろ?」
伶香「まさか強化体!?」
 走ってくる光子を標的にして襲い掛かる。
伶香「だめ!逃げて!」
 口を開けて迫るシャドウ。
光子「!?」
 シャドウの頭上から突破発光する閃光。
 伏せる伶香、龍斗、光子。
 断末魔を上げて消滅して行くシャドウ、中から出てくる静香。
 光子、静香をキャッチ。
光子「静香・・・」
静香「お、姉ちゃん」
 抱きしめる光子。
 ホッとする表情の伶香、ビルの屋上にいるほむら。
伶香「誰?」
  ×××
 夕方になり、集まる光子、静香、伶香、龍斗。
光子「本当にありがとうございました」
伶香「新学期早々、災難だったわね」
光子「ううん。あなたたちのおかげで静香は助かったんだし。ほらしずちゃんもあ りがとうは?」
静香「ありがとう」
龍斗「ごめん。気づいてあげれなくて」
   頭を叩く伶香。
龍斗「何すんだよ」
伶香「当然の報いでしょ?!それよりあなた。もしかして同じ中学にくるの?」
光子「通う学校は、曽御町中学って聞いてるわ」
伶香「あたしたちもそこの生徒よ。同じクラスになるといいわね」
    別れる光子たち。
伶香(m)「それにしても、彼女は一体」

 教卓にいる先生、教室内でそれぞれの席に座っている伶香と龍斗。
先生「えーっと今日から新学期ですが、転校生を紹介します。中へ入って」
 入ってくる光子とほむら。
 驚く伶香と龍斗。
光子「小倉光子です。よろしくお願いします」
ほむら「火野ほむらです。どうぞよろしく」
 横目で見る光子。
 正面を向いているほむら。
                 END