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開業時の営業活動

独立開業する時、営業は何もしないという人はいないと思う、たぶん。

直接人に会いに行かなくても、「どこから仕事を取ろうか」ということは考えるはずだ。まことしやかに囁かれる、パッと思いつく新規性が全くない営業方法(その分、実行は非常に容易)について、当時どう考えたか、現在どう考えるかを書きたい。


社労士へのあいさつ回り

当時:一切やっていない。兼業で肩身が狭かったというのはちょっとある。
現在どう考えるか:仕事を得るという観点だとたぶん効果ない。

はっきり言うと、社会保険労務士で仕事に困っていない人はそれだけで上位半分には入る。そして自分が仕事に困らなくなると、付き合う社会保険労務士は自然と仕事に困っていない人ばかりになる。
手元にある2015年の調査結果を見ると、顧問先が20社以上ある社会保険労務士は全体の39.6%しかおらず、顧問先10社未満が44.8%、うち0社も12.6%いる。
つまり、社会保険労務士から仕事が回ってくることは、特に新規開業時には考えにくい。皆、自分でやることをまず考えるからだ。

周りが仕事に困っていない人ばかりになると「その業務はやっていない」とか「餅は餅屋に」という発想になるので、回ってくるようになる。ただし既に付き合いのある信頼できる筋に依頼する。たまたま会った新人社労士に仕事を回すことは「別の理由」がないと考えづらい。

障害年金を扱う社労士は未だに多くはないので、ウチは法人専業の社会保険労務士から障害年金の仕事を頼まれることが結構ある。

地元に顔見知りを作る効果はあると思う。ただ業歴を重ねて事務所のステージが変われば悩みは変わる。悩みが変われば付き合う人も変わっていくというものだ。じゃあその地元の顔見知りというのは、どのくらい必要だろうか。

近隣士業へのあいさつ回り

当時:一切やっていない。
現在どう考えるか:仕事を得るという観点だとたぶん効果ない。

ボクにはたまたま地元が同じで、同い年で、同期の社労士がいるけれど、その人はやったそうだ。好意的な話は一切なくて、少しだけ開けてくれたドアの隙間に手土産をねじ込んで帰って来たこともあるらしい。ウチは税理士から顧問先を紹介してもらったことは未だに一度もないが、人によると思う。

先日、新たに開業した税理士さんに挨拶に来てもらって、もし何かあったら紹介しようと思っているが、1年くらい経っても適切な案件がないので紹介できていない。好意的な反応であってもこんな感じでタイミングにもよる。

折込チラシやポスティング、飛び込み営業

当時:開業時には一切やっていない。
現在どう考えるか:ポスティングは意外に効果0でもないと思う。ただ、これだけで持続させるのは難しい。

社労士開業時にはやっていないが、その後障害福祉サービス事業所を開設したときにポスティングをしたことがある。学生時代に塾講師をしていて、近くの団地にポスティングしたことがあり、それを思い出しながらポスティングしていた。

飛び込み営業はパチンコ業界にいるときに結構やっていたのでそんなに抵抗はないけれど、当時、業界ではそれなりに名の通った会社であったにも関わらず、なかなか仕事に結びつかなかった経験がある。
スキルが足りなかったと言われればそれまでだが、タイミングもあるので営業方法として効率が良いとはちょっと思えない。その一方でメンタルへの影響は多大そうだ。飛び込み営業する士業に仕事を依頼したいか、という観点もある。

折込チラシやポスティングも同様で、千三つという言葉があるくらいリアクションは薄い。開業資金に限りがある中で、本当にそこにお金を使うのが良いか、十分検討した方が良い。でも配る枚数や地域にもよるけれど、意外とリアクション0ということもたぶんない。1、2件はなんらかの話があってもおかしくない。何か月も前に入れたチラシをずっと持っててくれる人もいたりする。

しかしこれで持続的に仕事を取り続けることはできないから、他の何かを考える必要はある。

支部会への出席。

当時:これまで丸14年の間に支部会に出たことが1度だけある。
現在どう考えるか:行政協力やってみたいなら行こう。情報もあると思われる。

1度だけ出たというのは、開業して最初の支部会だ。なんとなく出ないといけない気がして出た。でも別に紹介されたような記憶はない。
どちらかというと支部会については不義理をしていて申し訳ないという気持ちが先に立つ。大事なので太字で書いてみた。

行くと意外に大勢が参加していることに驚く。年齢層はかなり高く、当時20代だった自分には敷居が高かった。
なんでこんなに皆参加しているんだろう、と不思議に思っていたところ、最後に行政協力の募集があって、一斉に手が上がって更に驚いた。そういうことか、と理解した。行政協力してみたい人は良いと思う。ボクは参加している研究会などでボランティア相談などには参加しているが、行政協力はしたことがない。行政協力をしてくれる社労士がいるおかげで、希望しない社労士まで強制参加で当番が回ってこない、という考え方もできるので、感謝はすることにしている。

なお、開業時、支部長の下にも挨拶に行っておらず、このときに見かけたのが最初だ。このときの支部長とは、後に苦情処理委員会で再会することになる。

やったこと

やっていないことばかりになってしまったので、やったことを書いておくと、障害年金についてはウェブサイトの充実とブログ更新だ。それに尽きる。1年目から6年目くらいまでは、法人の仕事は一切しなかった。
障害年金専門を謳っていたが、それは本当のことだったのだ。

なので法人を指向した場合の営業活動は正直よくわからない。7年目くらいから顧問を取り始めたが・・・勝手に増えていった、というのが印象だ。
つまり顧問先からの紹介で増えた。

ブログを書いていくということは即効性はもちろんないが、書き続けることで力を発揮する。「ブログ全部読みました!」と言って面談に来てくださる方もいた。障害年金を業務にしたいなら「この人に依頼したい」と思ってもらうことだ。
時代が違うので「ブログ」というところは他の何かに置き換えてもらいたいが、普遍的な部分が必ずあるはずだ。

ポイントは、当たり障りのないことばかり書かないことだと思っている。
一番わかりやすいのは、業務をしていく中で、これはおかしいなあとか理不尽だなあとか思うことがきっと出てくる。現行制度が完璧というわけでは決してない。そういったことに直面したら、それについてどう思ったか、書けばいいのだ。完璧な制度ならば我々は必要ない。

ただし不適切な情報発信になると別の矢が飛んでくるので注意が必要である。ウチには何本も刺さった痕跡がある。

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