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誰も満足していない 4

【この物語はフィクションです】

布井は、
友人の富田が、東京ミッドタウンにオープンしたリッツ・カールトン・ホテルに
朝食を食べに行ってガッカリした話を思い出した。

富田は女房と二人で
10時過ぎにレストランに入ると、

もうブッフェは終りの時間が迫っていて、料理を下げようとしていたようで

「間も無く料理を下げますので、早めにお皿にのっけちゃって下さい。」

「今、『のっけちゃって』って言ったわよね。なんなの?」
富田のワイフは、プリプリしていたそうである。

富田は、エッグベネディクトとコーヒー、
奥さんは、パンケーキとコーヒーを注文した。

たったこれだけの内容で1万近くする。

いったいどんな料理とサービスなのかと思った。

しかし、素晴らしいサービスどころか、
不思議なことが連続して起きた。

ナイフとフォークが2本づつセットされ、
おまけに、上にも小さなナイフとフォークがセットされた。

次に富田が頼んだエッグベネディクトが先に出来てきて、
一緒にトマトケチャップを置いたのだ。

「なんでトマトケチャップがいるの?」
「はっ?そ、そうですね…」
「それと、ナイフとフォークが2セットあるけど、どうやって使うの?」
「す、すいません…」
彼がナイフとフォークを下げた。

「これは?」
富田は、上にセットされた小さなナイフとフォークを指差した。

そして、それも下げられた。

「なんで彼女の料理よりもボクの料理が先に来るんだろう?これじゃ、先に食べるわけにもいかないよね…」

「申し訳ございません。」

ほどなくしてパンケーキはサービスされたが、
このサービスのどこに1万の価値があるのか…
彼は大いに疑問を感じたそうである。

なんか私たちのポリシーはどうしたこうしたって、大層なことを言っているけど、
ありゃ、酷過ぎるね!
とも言っていたのだ。

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