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中々出て来ないエビ湯麺

福岡にセールスに来た。

アポは11時に一本、
12時に一本いずれも博多駅前、
そして13時に一本、これは天神である。
天気が芳しく無かったが
予定通り順調にこなすことが出来た。
訪問先はエージェントの店舗であったが、
仕入れからアポを
入れておいてもらったので
皆さん大変好意的で温かく迎えてくれ、
しっかり話を聞いてくれた。
これが、ノーアポで行って
窓口カウンターの女性なんかに
『ご挨拶に来たのですが、少しお話を聞いていただけませんか?』
なんていう展開では
『ハイ、どうぞ』
とは言うものの
大概、皆さん心ここに在らず
というのがリアルに伝わってくる。

そうなると自然と説明は短くまとめられ、
『ではよろしくお願いします。』
と、逃げるように退散するわけなのだ。
しかし、そんなセールスであっても
意外に効果はあり、
ほどなくして、その訪問した店舗から
予約が入ったりするのである。

そういう予約が入ると、
やはり、顔を出してまわるという
基本的なことは
極めて大事なんだと再認識させられるわけである。

3本のセールスを無事終えた小生の頭の中は
エビ湯麺でいっぱいであった。
今日は久しぶりに
ソラリアプラザの平和楼でエビ湯麺を
食べようと決めていた。

お店に入ったのが1時40分くらい…
まだ、店内は賑わっていた。
私が案内された席はベンチシートの奥から二つ目。
一番奥の席には
女性が2名、
こちらは今オーダーを終えたばかりの様子。
テーブルの上には
お茶しか無かった。

私は、私のテーブルにお茶を持ってきてくれた女性が
『お決まりになりましたら、お呼び下さい!』
と引き下がろうとするのを
『いや、もう決まっているんだ。
この五目そばとカニチャーハンハーフのセットを
エビ湯麺に変えてもらうことは出来ないかな?』
『大丈夫ですよ!』
目のパッチリした
可愛い彼女はニッコリして、そう言った。

以前、全く同じ質問をこの店でしたときは
あっさり断られた。
今日も断られたら
『じゃあエビ湯麺だけでいいよ!』
というセリフは
準備されていたのである。
なんだ、出来るんだ!ラッキーじゃないかと思った。
しかし、ラッキーな気分はここまでであった。

この平和楼は
なんと言っても
オーダーしてから
料理が出てくるのが異常に早いのが常である。

どのくらい早いかというと
オーダーしてから携帯でCメールを一本入力して、送信したところに
ちょうど出来てくるくらいのタイミングである。

本を開いても1ページも読まない内に出来てくるのを知っている私は、
普段は、ここでは本を開かない。
しかし、今日は様子が違う。
N旅行の仕入れの担当者に
アポのコーディネートのお礼と
無事訪問を終え、
皆さんに温かく対応いただいたお礼のメールを
携帯から送信した。
ショートメールでは無い。
しっかりとした
ビジネス用のメールである。
500字は打った。
おかしい…
まだ出来てこない。
うーん、仕方ない。
読み直しいる1Q84のBOOK2があと5ページくらいなので
読み始める。
あっという間に読み終わった。
あっ、麺が来た!
なんとその麺は、
私よりだいぶ後に来た
私の右横の女性1名のテーブルに置かれたのである。
目を思いっきり右に向け、その麺を見ると
なんとエビ湯麺であった。
どういう風に理解すればいいんだ?
私より遅く来た人の料理が私より先に来た。
うーん、料理の段取りの都合というのもあるかもしれないが、
同じエビ湯麺である。
変だ!何かおかしい!
私の左前方のコーナーの席を下げに来たウエイトレスが、
何気なく私のテーブルを見て驚愕した。
彼女は、コーナーの席を下げるのを中断して急いで奥へ行った。
何かをしようとしているように見えた。
ほどなくして、私の席に年配の女性ウエイトレスが来た。
責任者ではなさそうである。
ウエイトレスの中で一番経験が長いのかもしれない。
彼女はハンディを片手にこう言った。
『お客様、もう一度注文をお願いします。
お客様の注文が厨房に通っていませんでしたので…
幸い今厨房は落ち着いていますので、すぐにお作りいたします。』
今度は私が驚愕した。
あまりの事態に怒りすら飛んだ感じである。
なんと言おうか迷ったが
『なんで?』
と、言ってみた。
ここで初めて相手は
『すいません。』
と言った。
『あのね、エビ湯麺とカニチャーハンハーフのセット!』
そのやりとりを
奥の女性2名と
私の右横の女性1名は食べる手を止め
固まって見ていた。
映画のワンシーンみたいである。
出来れば、私も見る側でいたかった。

右横の女性は
エビ湯麺というフレーズを聞いたとき
どんな気分であったろう?
彼女には何の罪も無いのに
あら、エビ湯麺!
私の方に先にきちゃったんだ…
なんか気まずい…
という感じか…

年配ウエイトレスのハンディから入力された
エビ湯麺とカニチャーハンは
すぐに出来てきた。
そう、これがいつものスピードなのである。
もう空腹のピークを越えていた私は
ガツガツと食べていた。
すると、私のオーダーを最初に取った
目がパッチリの可愛いウエイトレスが
氷の入った水を持ってきてくれた。
そして
『お客様、もしよろしければ食後にホットコーヒーか
アイスコーヒーをお持ちしましょうか?』
おいおい、そのセリフ、
何かおかしくないか?
まずは、私が受けたオーダーをミスしてしまい、
申し訳ありませんでした。
だろ!
もしよろしければ、食後にコーヒーを
サービスさせていただきますので、
アイスとホット、どちらになさいますか?
だろ!
面倒くさいので
『いらない!』
と言ってやった。
帰るときに
店長らしき男性が
『お料理が遅くなって申し訳ありませんでした。』
と詫びた。

この店は、全て中途半端だと思った。
『本日はご迷惑お掛けしましたので、麺の代金だけで結構でございます!』
と、なぜ言えない!
商売が分かっていない人が多くなっているようだ。

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ササピー
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