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靴の未来予想 (後編)

前半に続いて靴の未来予想、後半です。

前半は足の3D計測から未来がどうなっていくのか?を予想したのですが、後半は3D計測が普及した時の販売・製造側の未来予測です。

個人的には製造もデジタルが進むのではないかな?と感じています。
足の形状は人それぞれ。
もちろん高額を払えば自分でオーダー靴をお願いする方法もあります。
でもそこまでの金額を払える人は多くないですよね。

自分の足にあった靴が欲しい、でもオーダーまでの金額は出せない、そんな需要に答えるモデルを考えてみました。


1, これからの時代予測

個人的にはこれまでの大量生産大量消費モデルは縮小していくと感じています。

今もタオル工場に安価に働かされている外国人の話が炎上しています。
安価にモノを供給している企業の裏では安価で働かされている従業員がいます。
そしてプラスチックゴミをはじめとして大量廃棄は世界的に問題視されています。

「必要なモノを必要なだけ供給」は後ろ向きではなく、未来にはそれがデフォルトになっていくのではないでしょうか?



2、 足に合う靴モデルを元にデザインオーダー

そんな「必要なモノを必要なだけ提供」時代には、それぞれの足に合ったサイズや型を在庫として揃える選択はないと思います。
そうすると必要な型を必要な人にカスタム生産するというモデルになるのでは?

自分の足に合うモデルを選んで、カラーやデザインをネット注文
ちょうどニューバランスのカスタムオーダーのイメージです。


もしくは店舗でフィッティングをして、デザインはネット注文。
実店舗のショールーム化が靴では主流になるのではないでしょうか?

靴は履き心地が大事でネット注文は成立しない、と言われていたのも昔。
今はみんなネットで靴を注文しますよね。
私はコンバースが好きなのですが、コンバースならば履き心地もわかっているので、ネットで購入するのに不安は全くないです。

「このベースならば間違いがない」と理解した上でネットで好きなデザイン・色を選ぶ買い方になりそう。



3, 製造は3Dプリント

靴の型を全部用意し、今と同じ製造では高額になってしまいます。
製造も機械化・簡易化されていくのではないでしょうか?
イメージ的にはこんな感じ。



昨年にadidasが底材を3Dプリントした靴を発表しました。

2017年4月にアディダスとパートナーシップを締結したCarbon社は、光と酸素を制御し、独自の光反応プロセスとプログラマブル樹脂により、高速製造を実現した革新的な3Dプリンティング技術を開発。この革新的な技術により、フットウェアのパーツをデジタル製造できるようになり、試作品や金型成型を行う必要がなくなり、手作業での処理が大幅に削減された圧倒的な製造スピードを実現。

靴の木型や甲の縫製などが必要ない靴ならばコストと時間を削減できます。
製造の為の木型や金型、在庫を持たない、カスタムオーダーに適した製造になっていくと思います。



今はまだデジタル感が強いのですが、3Dプリンターの素材や表面加工の技術もどんどん進化しているのでいずれは薄れていくと思います。

自分の足に合うモデルを選んでネットで注文 → 在庫を持たずに安価で販売

こんな大型SPAのシューズメーカーが新しく出くる可能性がありそうですね。
そして既存の靴屋さんではなくIT系かスタートアップから出てきそう…。



4, 企画も3Dモデリング前提に

10年ほど前に繊研新聞で、某ラグジュアリーブランドがジュエリーデザイナーの募集条件は「3DモデリングソフトRhinocerosを使えること」であると読みました(うろ覚えですが…)

この流れはいずれ靴にも来るのではないかと思う。
デザイナーが絵を描いて職人さんにお願いするというパターンではなく、デザイナーがモデリング→プリント出力、で企画も効率化されていくのでは?

また木型も今は手で削るのが一般的ですが、モデリングの方がデータで試せる分利点が多いと私は思います。


高品質、かつ安価のユニクロなどのSPAブランドを見ていると、全てに対して効率化を求めているからこそできるモデル・価格だと思います。
そこは企業内も効率化を求めていくと思うので、今までのやり方はどんどん通用しなくなっていきそう…。勉強しないと…。



5, 今までの靴製造も淘汰されつつ残っていく

と、デジタルな未来像も語りつつも今までの靴メーカーも残っていくと思います。
ただしハイブランドなポジションとして。


これからは中間価格帯ブランドが厳しくなり、共感できる小規模〜中規模のハイエンドブランドが伸びていく。
消費者は安いモノばかり買うのではなく、見極めた良いものにはお金を払う。
価値に見合わないと判断された商品は淘汰されていく。


先月に参加したnoteのイベント。
そこで語られていたことがどんどん現実化していく気がします。
インフラ系のSPAブランドや上記モデルがどんどん高品質低価格になっていく中、それとは違う物作りが求められていく。

今も特徴がない中間価格帯のブランドは苦戦していますよね。
これからもこの流れは止まらないと思います。



6, これは私の予測でした。 あなたの予測は?

と、デジタルな世界の靴業界を前編・後編で綴ってみました。
私の勝手な予測なので、どこまで実現されるかはわかりません。


靴生産はアナログな部分が多く、そこが魅力でもあります。
でも数十年生産モデルが変わっていない分、新しい業界が参入してガラリと変わる可能性もありそうです。
どうなっていくのかは私もわからないのですが、未来を予測することは大事だと思っているので、何かの話のネタにでもしていただければ嬉しいです。



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