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西郷孝彦先生のお話会に行ってきました

4月23日、東京都中野区で世田谷区立桜ケ丘中学校元校長西郷孝彦先生のお話会があったので行ってきました!

西郷先生を知ったのは、まだ私が現職教員時代。
子どもたちがもっと生き生きと学校で過ごせるようにどうしたらいいのかと考えていた時に、西郷先生の本に出合いました。

それがこの本。
「校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール」

これを読んだときに、校則の有り無しが問題ではなく、西郷先生のお考えが素晴らしいな、と思ったのを覚えています。

そんな西郷先生のお話を直接うかがえる機会があるという事で、行ってきました!
メモを取りながらお話を伺ったのですが、内容が多すぎて紹介しきれないので、その中でも特に私が心に残ったことを抜粋して書きます。

1 きのくに子どもの村学園で考える市立と公立の話

西郷先生は映画「夢見る小学校」に出演されています。
その関係で、きのくに子どもの村学園には何度も足を運び、今も通われているそうです。
※きのくに子どもの村学園は、A.Sニイルのサマーヒルスクールを日本にも作ろうと作られた学校。

西郷先生はきのくに子どもの村学園へ行くたびに「これまでやってきた教育はなんだったんだろう。」と、4日は落ち込むのだそうです。
この学校の中学生と話すと大学生と話しているようだ、と話されていました。
きのくに独自の教育が子供の成長にしっかり現れているのでしょう。
ここの教育が良いことは、映画でも分かりますし、実際に行った西郷先生も時間されたようです。

でも、きのくには私立学校です。
学費は高いし、子どもを寮に入れたらもっとお金がかかる・・・
これは誰でも選択できる教育ではありません。
私立は敷居が高い!
やっぱり公立学校が変わっていかないといけない!
と、西郷先生はおっしゃいました。
私もずっと同じことを考えているので、最初から聴き入ってしまいました。

2 子どもの権利条約と中学での実践

「子どもの権利条約」というものをご存じでしょうか?
第44回国連総会において採択された国際法で、日本の法律よりも上なのです。
⇩条約の詳しい内容はこちら

簡単に内容をまとめると、
子どもにとって最善の利益を考え、子どもの声を聴くこと
ということです。

その中でも西郷先生は「子供の意見の尊重」という部分を大事にされてきたとのことでした。

①生徒会で議決したことは必ず実現する
・体育館の冷房
・校庭の芝生化
・定期テストの廃止
・飲料の自動販売機の設置
など、子どもたちの意見を聴き、それを教職員が一緒に考えて実現していったのだそうです。

②ゆうゆうタイム
年間20日くらい、午後の授業をカットして生徒が好きな先生を選んで自由におしゃべりできる時間。
担任以外の先生と自由に何でも話せるって、子どもにとっては学校が安心できる場所になるきっかけになると思います。
中学生くらいになると、何かあった時に親には相談できない。
だからこそ、身近な先生で何でも話せる人がいれば・・・そんな思いでこの時間を作られたのだそう。

③桜ケ丘中学の教育目標
「全ての子どもたちが3年間を幸せに過ごす」
これは、学校に勤めたことある人なら分かると思いますが、私はこんな学校の教育目標は見たことありません。
○○できる子・・・のような何か価値を子どもにつけるような教育目標ばかりみてきた私にとっては、公立学校でこの目標は衝撃でした!
だから、この中学の子どもたちは、中学が安心して通える場になったんだろうなあ、と思います。

④職員室前の机と椅子
職員室前に置かれた机と椅子は、教室に入りにくい子のための場所です。
特別教室に行かなくても、職員室前に置けばいいじゃないか、という考えがすごい!
廊下ということと、職員室前という事で、先生たちが特別につかなくても子どもたちの安全は確保されるし、人との交流も持てます。
部屋に閉じ込められていないので、子どもたちも孤立しないと思います。
このアイデア自体が西郷先生の人柄がよく分かるなあと思います。

④色々な実践
・ノーチャイム
・遅刻がない?!
・制服は着なくても良い
・教室に無理に入らなくても良い
・浴衣の日
・ハロウィン
・授業中本を読んでいても注意しない
などなど
聴けば聴くほど、本当にこれが公立中学校でできたのか?と驚くばかりです。

3 不登校について

今回は主催が不登校関係だったためか、不登校のお話もしてくださいました。

不登校になる子どもたちは、ほとんどが発達に特性がある。
特性への理解があり、その子にとって生きやすい環境があれば学校に行ける。
そのための環境調整をすることが大事だが、それを校則が邪魔をする。

なるほど、その通り!
これは不登校だけでなく、全ての子どもたちにとって同じことが言えます。
だから西郷先生は校則を無くしていったのでしょうか。

4 その他私が特に心に残ったこと

①小学校で進む管理化、謎の「スタンダード」
これ、私がここ数年でずっと思っていたことを西郷先生が話してくださいました!
数年前に若手教員が取り入れようと提案し、始まりました。
自分なりのスタイルや教育方針のある教員はこれを疑問視しましたが、若手のためになるなら、と採用されました。
すこしでも若手が働きやすくなるなら・・・と始まったのですが、気づけば「○○スタンダード」というものが増える一方。
子どもを縛るルールが増えてしまっただけでした。
でも、この話を学校内でするとあまりいい顔をされなかったため、大きい声では言ってきませんでしたが、西郷先生がこの日のお話の中で話してくださり、私は心の中で大拍手でした!
良かれと思ったことが、どんどん子どもや先生たちを縛っていることに気が付いて、方向転換するといいのですが・・・

②好きなことがある、が心の支え
この言葉、大人になってからの方が心にしみます。
好きなことがあるから頑張れます。
それは子どもたちの方が純粋に好きなことが支えになると思います。
子どもも大人も、好きなことがある人はそれを大事にすることを、好きなことが分からない人はそれを見つけるサポートを、していきたいな、と思います。

5 公立学校を変えていく

西郷先生は終始公立学校を変えていくのがいい、とお話されていました。
公立学校でできないことを私立やオルタナティブスクールなどでやっていますが、その教育を受けられるのはお金に余裕がある人だけ。
私自身も公立でできなかった学びを追求して外に出て、そこにずっともやもやした気持ちがついて回っていました。
私が違和感を感じながらも10年以上公立をやめなかったのは、公立小学校にくる子が圧倒的多数なので、ここでどうにかしたい、と思っていたからです。
西郷先生も同じような思いで活動されていると知り、嬉しく思う反面、どうやったら公立学校を変えていけるのか考えて動いていきたいと強く思いました。

今回のお話会は、不登校児の親御さんやこれから小学校に子どもを入学させる若い保護者の方が参加されていました。
みなさん、それぞれに教育への思いがあり、それをここで話し、共有した時間でした。

こういう場がこの数年増えてきているように思います。
ここに教員も入って、フラットにみんなで教育を語り、みんなで子どもたちを育てていけるといいなあ、と思っています。


このお話会を主催したのは、息子が不登校になってすぐ「アンスクーリング」の仲間として出会った知人です。
ずっと親子でアンスクーリングを続け、中野区でこの春から居場所づくりもしています。
もしご興味あれば、行ってみてください。


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