『誕生』はいつだって私を助けてくれる
『Rememberけれどもしも思い出せないなら
わたしいつでもあなたに言う
生まれてくれて welcome』
中島みゆき 『誕生』
あまりに壮大な曲調に、耳を奪われたことから始まった。流れてくるその歌声に、心ごと持っていかれたと言っても大袈裟ではない。
ー生まれてくれてありがとうー
生きていてくれること。
あなたとして生まれてきてくれたこと。
それだけで涙が出るほど感謝したい。そんな感情がこの世には本当に存在する。
その存在はきっと誰もが確認できるものではなく、そして存在を知っている人ほど、この言葉との距離は遠いのかもしれない。
一人でも生きていけるとは思う。でも、もしかしたら誰といることで、何か変わるかもしれない。
この何かはわからないまま、期待をして、期待を外して、生きていく。
こんな事の繰り返しだ。何を持って期待外れとするかも明確にはわからない。
この世に期待なんかしていない。そんな姿勢をとっていたのに、何かを期待している自分に気づいた瞬間に消えてしまいたくなったりする。
子供の頃に『生きてるってなんだろう。死ぬって怖い』こんな感情に押し潰されそうになった経験がある人は少なくないのではないだろうか。
自分が自分でないような、現実であり夢を生きているような。漠然とした不安や恐怖。
大人になってからも、命を理解することは難しく、死がどんなものなのかも結局わからない。わかっているフリをして生きている。
友人の出産を聞いては喜び、誰かの死を聞いては涙する。これはわかったフリなのではないかと、自分の感情と脳がチグハグな状態になることも多い。
そうして、ゴチャごちゃになった感情を、ストンと0に戻してくれるのがこの『誕生』だ。
前置きが長くなってしまったが、ふと自分が嫌になってしまった時に聞いている一曲だ。(中島みゆきファンの方は本当に奥深い方が多いので、私なりの受け止めかただと思って稚拙をお許しください。)
このうたのAメロBメロを聞くかぎりでは、到底幸せにはなれそうにない。
今までしてきたことは無駄なのか。私が追い求めているものは、やっぱり手に入らないものなのか。この曲ではその答えは教えてくれない。
私がが求めている、『そのなんだかわからないもの』は、きっと本当の愛がわかるまで、『なんだかわからないもの』のままなのだ。無駄でも必要でもない。なんでもないもの。
なんでもないものの事で、わたしはなんで悩んでいるのだ。
メロを聞きながら、すでに涙が溢れてくるのだが、サビでふと過去を思い返すことになる。
remember
こんな私でも、思い出せる事があるのだ。
生まれて来た時のこと、大切な誰かに出会えたこと、今誰かと一緒にいれていること、そして
それを覚えていられてること
最後の大サビでは
『remember けれどもしも
思い出せないなら
わたしいつでもあなたに言う
生まれてくれてwelcome』
生まれてきてくれてありがとうと言いたいひとがいる
生まれてきてくれてありがとうと言ってくれる人がいる
何かわからないものを追い求めていることがほとんどで、何かわからないものに心を支配されることも多い。けれど、その時間を経て『生まれてきてくれてありがとう』に出会えたら、何かわからないものの正体がわかるのではないかと思う。
中島みゆきさんが、この曲をどういう意図でかいたのかはわからない。
けれど、この曲は確実にわたしの未来への糸となり、網目をつないでくれている。
生まれた時、誰でもいわれたはずであって欲しい
思い出せない人がいたなら、いつでも言う
うまれてきてくれて、ありがとう
ri_studio
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