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野良ネコに家を…3:第8話 にょろにょろ騒動

⑧にょろにょろ騒動

うっかりトラが膝にのってきて動けなくなることが相次いだため、玄関に「トラちゃん文庫」を設置。と同時に、廊下に座っていても手が届く所にコートを常備。よっしゃ、これで万全!

ああ、猫を膝に乗せながら、本を楽しめる日が来るなんて…。
猫に乗られて動けなくなるのは猫飼いあるあるらしく、まさに「トラちゃん文庫」に入れていた、卵山玉子さんの猫マンガにも同様のエピソードがあって笑ってしまった。
猫に乗られている人はその間は家族に「王様」扱いしてもらえるのだそうだ。
まあ猫にすれば人間で暖をとっているだけだろうが…。

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さて、今年こそなんとかウリを捕まえて病院へ…と思っていたが、年度末に向けて徐々に仕事が忙しくなり、もたもたしているうちに病院からキャリーを返却せよとのお達しが。
仕方がなく空のキャリーを返した。そして手術のことも、自分の中でうやむやにしてしまった。
まあ、もし仔猫がまた生まれてしまったら里親を探せばいいや、などと軽く考えていた。

しかしここでがんばってウリを捕まえていれば、のちの悲劇は防げたのだ。後年、私はこのときにウリを病院に連れて行かなかったことをさんざん後悔することになる。

それからしばらくして、トラが朝、胃液と一緒に長くて白いものを吐いた。しかもうちの廊下で。
最初は何か分からなかったが、おそらくお腹の虫だ。白いミミズのよう。気味が悪くて直視できず、動いていたかどうかまで確認していない。

昔、目黒の寄生虫博物館(死んでいれば見られる)で似たようなものを見た気がする。とにかく掃除掃除。
動物病院に電話して相談すると、本猫を連れてこなくても駆除剤を取りに来ればよいという。
だったらついでに、とウリの分ももらってきた。液状タイプのもので、毛をかき分けて肩甲骨の間あたりの皮膚に垂らす。

ウリは駆除剤を投与してから、寝ている間に痙攣することが無くなった。
猫は寝ているときによく痙攣する生き物だ。
特にウリはひどく、うちの玄関先で昼寝をしているとき、熟睡するとうっすら白目になり、全身をがくがく震わすことがよくあった。
見ていて心配なので、長い時間続くときは無理やり起こす。それも、かなり大きな声で呼びかけながら何度も揺さぶってやっと目を開ける。すると本猫はケロッとしている。
私はこれを勝手に寄生虫のせいではないかと思っている(確証はない)。

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我が家は2階が居間で、猫には玄関と1階の廊下しか開放していないので、玄関のすぐそばにある階段には上られないよう封印している。
といっても段ボール箱をつぶした板を、スリッパ立てで支えているだけ。猫の脚力なら本気を出せば越えられるだろうが、何せ向こう側がどうなっているか分からないから(多分)、今のところ飛び越えることはない。

などと余裕をかましていたのだが、実はその後間もなく、猫VS人の「階段攻防戦」の幕が切って落とされるのであった。

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