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NOを言える人になる

赤線だらけになる本。

今まで読んだこうした類の本の中で、いちばん心がラクになる。

正直、タイトルはいかにもだな、と思った。しかし、鈴木先生のnoteに投稿された「はじめに」を読んで、本書を手に取る興味を持ちました。

鈴木先生のことは、以前からツイッター上のおすすめに結構頻繁に現れていて、そのやさしく的確な文面を度々リプライをさせて頂く程度に知っていました。

https://note.com/usksuzuki/n/n3b51597b5ba8

内容は勿論ですが、読んでいて心がどこかほっとするような本書でした。柔らかく、でも的確に整理され、分かりやすい内容のため、スラスラと読めました。

読みながら、心がどんどん解れていく気がしました。その工程が気持ちよかった。自分の考えや感じたことは間違っていなかったと確認すると共に、これからの生活を改め、様々なことを見直し、もっと自分の生き易い道を選んで進んでいいのだと、自信が持てた気がしました。

以下に、特に書き留めておきたい内容の一部を記しておきます。


p.16
明瞭な答えのない今の時代において、人の心を動かすのは「弱き者の物語」だと思っています。〈中略〉
その嘘のないリアリティーこそが愛おしさの源泉であり、完璧でないわれわれに「それでも生きていていいのだ」と安心を与えてくれます。
いびつさは、その人の真骨頂であり、本質的な魅力そのものです。
p.28
好ましい人間関係は、とにかく公平(フェア)で穏やかだ。
逆に、好ましくない人間関係は、他人のルールであなたを縛りつけ、あなたの価値を勝手にジャッジし、あなたの時間やエネルギーをひたすら奪い続ける。
p.32
「自分と他人の間の境界線をきちんと意識し、守る」
p.38
ラインオーバーされやすい人は、ラインオーバーしやすい人でもある。
p.40
正反対に見える「自責」と「他責」だが、根っこは一緒。
p.43
「他人からのラインオーバーに敏感になる」。やりきれないネガティブな気持ちを感じたら、自分で否定しない。
p.85
その人が見てきた世界の中でのことは、結局はその人にしかわからない。
それを見ていない他人が、自分の理解できる範囲の話に無理矢理矮小化したり、ジャッジしたりすることは、相手の人生や尊厳を侵すことであり、積み重ねてきた安心や信頼を一瞬で崩壊させてしまいかねない。
p.108
会社や社会の価値観、ルールは、決してあなたを本当の意味で幸せにはしてくれない。
p.117
「我慢は美徳」というのは、他人に我慢をしてもらったほうが都合がいい人たちの勝手なルールにすぎない。
(我慢とは)短期的につらいことがあっても、長期的にはそれを上回るメリットがあるときに限って発揮されるべきスキルだと思う。〈中略〉
「我慢」はあくまで手持ちのカードの一枚にすぎず、すべての局面を乗り切れるほど便利なものではないことを知るべきだ。
p.134
自分の中で物事の優先順位をつけ、その順位づけを忠実に守り、必要があればきちんと断ること。
p.136
適度に、他人の都合よりも自分の都合を優先する。
そうした体験の積み重ねが、自己を肯定する力につながり、本当の意味で他人と健全な関係を構築する能力のベースになっていくのだ。
p.138
「職場や社会で『良い』とされているものを目指しすぎない」「人生何事も、ほどほどにポンコツでいい」
p.140
「一流」「勝ち組」といわれているものは、多くの人が「良い」と判断しているものだから、安心感がある。
しかし、結局それは、誰かが決めた価値基準の一つにすぎない。
何を「良い」とするかの暫定的な補助線にはなってくれるが、変化の激しい時代において、死ぬまでアテにしていい、絶対的に強固な価値観ではないと考えておいた方が現実的だ。
p.144
みんなが目指すコースはなんとなく安心だけど、そこに関係している人たちがあまりに多く、踏みとどまるためにはあらゆる人の期待に応え続けなければいけないし、みんなが歩きたがる道には人が殺到するから、どうしても競争が激しくなる。
王道を歩むためのコストは、ものすごく高いのだ。
でも、そこから少し横道にそれるだけで、ものすごくラクな世界が広がっていたりする。


これを読んで、一度リセットすべきだと思ったら、その時期なのかもしれない。「誰かはああだったけど、自分はこうだから出来ない。」などと他人と自分を比較する必要はない。全く同じ条件で生活している人などいないのだから。あくまで自分の環境レベルにおいて出来る範囲から始めていければいいのだと思う。自分もそうありたいし、他人にとってもそうした存在になりたいと、自分のこれまでを見つめ直しました。

社会に出ていると、「その社会の常識」や「その社会のルール」が当然だと縛られてしまう。だからこうした本を、たいして読む前から「実用性がない」「理想論だ」などと一蹴するのは簡単なこと。「理想」と「現実」、そこに埋まらないギャップがあるからだろう。しかしその「従わなければならない」「どうにもできない」と「思い込んでしまう」こと自体が怖く苦しめる要因となるのことに気がついた。

本書は周囲や規則や環境を変えるのではなく、あくまで「自分の意識や考え方」に向けられており、読んで今すぐ始められる実践に向け易い内容だと思います。(それでも状況が変わらないのなら、思い切って休んでもいいサインにもなると思う。)

「時々は悪口を言ってもいい」「必ずしも常に道徳的である必要はない」というのも、人間味があって、堅苦しくなるばかりでなく、嘘がなく、人として「健全」な、人となりが立体的に浮かんでいいなと思いました。


NOを言うのは、何も対人関係だけじゃない。これまでの自分の知らぬ間にインストールされた考え方、理不尽な社会の規則、「合わない」と感じた環境やルールなども、その対象なのだと思います。

「ラインオーバーに敏感になる」。これは他人が自分の不快の境界線を越えてくることもそうだし、自分が他人の線を越えてしまっていないか気をつけることにも言える。

それらを守って、一度切りしかない人生を、もっともっと楽しみたい。読み終えたあとで、そう思えるようになった。


たくさんの共感がありました。僕から見える360°の景色を、グルっと変えてくれた。

もう、窮屈に生きる必要はないんだ。

p.168
競争に負けようが他人からの評価が低かろうが、その人が存在することそのものの価値とはまったく関係がない。

「どんな状況下においても、自分の価値が変わることはない」のだから。

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