死にたい彼 ~とある整体院のショートストーリー~
「次は・・・死にたい彼ですねぇ。」
もうすぐ、「死にたい彼」がやってくる。
施術の度に「死にたい」と呟くので、私と受付の彼女は「彼」をそう呼んでいる。
彼が来始めてから今日で6回目。
あまり表情もなく、元気そうではないがそこまで辛そうでもない。
口数は少なくて、何を考えているのか読み辛い。
1回目の時、日頃どんな体の動きをしているのか知るため、
何の仕事をしているか聞くと彼は、勉強してます、と答えた。
パソコンの職業訓練に通っているらしい。
彼が「死にたい」と呟いたのは