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人生で初めて宝塚歌劇団の舞台を観た話


「一緒に宝塚観に行きませんか?」

ツイッターのDMにそんなメッセージがはいった時、悩む隙もなく返事を返した。

「いきたいです」

私はミュージカルが好きだ。10年ほど前はテニミュにハマりマチソワ東京全通なんてこともしたことがある。

もともと音楽が大好きで、イケメンが大好きで、踊りを見るのも大好きなのでそりゃハマらないわけがないのだ。

宝塚歌劇団のことはもちろん知っていた。受験シーズンになると必ず音楽学校のことがテレビでやっていたし、そういう舞台裏を観るのも好きだった。

ただ、観に行こうとは不思議と思ったことが無かった。

「敷居が高い」「マダムの嗜み」くらいに思っていたので、自分みたいな若造が手を出していい代物ではないと思っていたのだ。

年を経て、私も齢30を超えた。この年にしては、色々な人生経験をしてきたように思う。結婚、義実家とのいざこざ、家業のこと、義実家との決別、そして起業…人生が揉めに揉めてる最中、宝塚ファン歴のとっても長い、素敵でチャーミングなお姉さまから冒頭のようにお誘いをいただいたのだった。

いざ有楽町

お誘いいただいた公演は「シティーハンター」。原作を読んだことあるのでとっつきやすいなと思った。だらしなくもかっこいい冴羽獠が子供ながらに好きだったのを覚えている。

緊急事態宣言もあり、久々の外出が宝塚観劇なんて贅沢だな…と思い駅で合流。最初に日比谷シャンテを案内していただいた。

日比谷の街を歩くのは初めてで、完全にお上りさん状態。街並みがキラキラしていてすでにときめいている。

日比谷シャンテは、歴代の宝塚のポスターがずらりと展示されていたり、実際に着ている衣装が展示されていたりした。このお衣装がなんとも細い!そして男役の方の衣装はちゃんと男性さをのこしつつも女性が着こなしたときに不自然じゃないようなつくりをしている。

そしてなんといっても足が長い。股下何センチだろう。短足の私の二倍はあるのではないかと錯覚してしまうほどだ。

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全部載せたいけど長くなるので一枚だけ。

ここの本屋さんはエンタメに特化しているらしく、宝塚のみならず声優さんの雑誌なども豊富においてあった。オタクに優しい世界だ。

ひとしきり写真を撮って、次は地下へ。ここにはキャトルレーヴという宝塚のグッズ専門店があるとのことで、ひそかに楽しみにしていた。オタクのサガで、グッズにはめっぽう弱いのだ。

入場整理券をもらう仕組みになっており、私たちは公演が終わるころの時間帯に入ることに。こういうところでも、感染症対策がきちんとされていて感心した。

観劇前の腹ごしらえ

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お姉さまが作ってきてくださった絶品スコーン。お姉さまとその旦那様にはいつもおいしいものを食べさせてもらっている。おいしいスコーンをたくさんいただいて、すでに幸せ。(私の夫にもお土産をいただいた。というか、半ば催促していたような…すみません)

いよいよ会場内へ

開演30分前ほどになったので、いよいよ会場に入る。

入場システムにも驚いたもので、クレジットカード?をかざしてその場で発券されていた。(あとで調べたら宝塚友の会のクレカらしい)

いつもチケット持ったか不安になるので、これは便利…とおもった。

会場に入るともうおしゃべりは禁止。ここでも感染症対策に力を入れており、このご時世でも舞台を観られるように最大限努力されているんだなと運営さんには脱帽。でも周りのお客様は結構おしゃべりしてたな…とちょっと残念。

さて、中に入ったらまずプログラムを買う。

このプログラム、中身がとっても濃くてびっくりした。一番すごいと思ったのが、作品のシーンごとにあらすじと出演者が載っていること。あとから思い出したり、円盤が出たらプログラムを見ながら「この役者さんは何て名前!?」とすぐ調べることができるので重宝しそうだ。シーンのカットも豊富なので、これが1,000円で買えるなんて価格設定がバグってる。

3倍出してもいい。

そう思いながら最大手トイレ列に並んだ。

なんですかこの神席

チケットをいただいた時から思っていたのだが、やけに番号が若い。

そして座席について震えた。

(ほぼステージやんけ)

ここからお姉さまとの会話はすべてスマホのメモ機能を使用している。

私―『めちゃくちゃ神席じゃないですか!!』

お姉さまー『ご新規さんにはいい席で見てもらいたいので♪』

お姉さまが女神様になった瞬間であった

ついに上演時間に

ステージの幕が上がり、舞台照明がパッとつく。撮影OKとのことなので、記念にぱしゃり。あと5分の文字が消え、今日の題目が映し出される。

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もう緊張と興奮で手汗びっちょりかいてた。

そして、ついに、始まった。

お話の内容については割愛させてもらう。とんでもなく長くなってしまうので、概要については宝塚のホームページに記載されているので気になった方は是非みてほしい。人物相関図もあるので見てるだけで楽しい。

舞台が始まって、役者さん(生徒さん)が勢ぞろいで出てくるところでまず感動。思わず目頭が熱くなり、まぶしくて直視できない。鳥肌がすごくて今思い出しただけでもまた鳥肌が立っている。

要所要所で拍手をする文化も真似してみた。楽しい。

そして何より感動したのは、獠ちゃんが獠ちゃんであったこと。宝塚という世界観に、獠ちゃんが違和感なく降臨していたことだ。

彩風咲奈さん演じる獠ちゃんは、茶目っ気のなかにすさまじい色気と男らしさを湛えていた。目線、表情、声、どれをとっても美しかった。

獠ちゃんのパートナーである槇村香を演じたのは、朝月希和さん。顔が小さくてはじける果物のような雰囲気を持つ方で、香の持つ少年っぽさと女性の繊細さを見事に表現してくださっていた。

そして獠ちゃんの元パートナーであるミックエンジェルを演じた朝美絢さんに、私は心臓を持っていかれてしまった。

ミックの自信満々な立ち振る舞い、男らしい歩き方(これはどの男役さんにもいえるが)、香に向ける視線、そしてなんといっても、ステージから客席へ降りる階段に一歩足をかけて身を乗り出した瞬間、ド正面にいた私は勝手に二人だけの世界を作り上げてしまったのだ。

ファンの方に怒られるかもしれないが、あの時は、確実にミック(朝美絢さん)と目が合い、私に笑いかけてくれたのである。超いいにおいする。きがする。

もうナンパされたと思った。すみません勘違いですごめんなさい石投げないで!

あれは、人生で初めて「王子様が迎えに来た」と真面目に思った瞬間であった。心臓が今でも痛い。

そんな勘違いを繰り広げつつ物語が進んでいき、私の大好きなヤクザさんがたくさん出てきて悶えたり、昔の因縁やら裏切りやら、オタクが好きなやつが盛りだくさんだった。

最後の方に、舞台の端まで役者さんが勢ぞろいしていた時に、めちゃくちゃかっこいい人が私の方をみてずっと笑顔で歌ってて、はけるときに指差しウインクかましてくれたんですけど(これも勘違い)円盤買ったらお名前確認してみようと思います。やべえ好きになっちゃう。

そんなこんなであっという間にシティーハンターの公演が終わってしまった。

幕間に外に出て久々の発声。

「やばい」

語彙が消え去ってその言葉しか出なかった。

トイレいったりして時間もそんなになかったので、いそいそと会場に戻る。

お待ちかねのショー「Fire Fever!」だ。舞台の様子もがらりと変わった。

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本編が終わってその後にショーがあるなんて、生徒さんたちの体力どうなってんの?ありがとうございますとしか言いようがない。

ショーは歌と踊りがメインで、本編とは違う魅力がたくさん詰まっていた。曲ごとに様々な表情をみせてくれる衣装もすごい。

宝塚を観ていて思ったことは、娘役さんが勢ぞろいした時と男役さんが勢ぞろいした時の他者への意識の向け方が全然違う。

娘役さんが集まると、お花畑のようなふわふわした雰囲気で、恋愛が絡むとけん制しあったりするが基本的にはまとまっている。

男役さんにはそれがない。集まっていたとしても、「個」が強いのだ。男のプライドがうまく表現されている。一匹狼というか、他の男を認めつつも俺が一番だろ?という自信に満ち溢れてる。そして男なのにいい意味で男くささを感じない。アニメのキャラクターを見ているような気分だ。やば思い出して鳥肌たった

スーツ着てそういうことされると心臓が持たないのでやめてほしい(やめないでほしい)

私は人の顔と名前を覚えるのがめちゃくちゃ苦手だが、咲奈さんのオーラが半端なくて一発で判別できた。この世のすべての女を抱いてきたような立ち振る舞い…かっこよすぎていちいち心臓が痛くなる。

ショーの中で可愛いな、とおもったのは滑稽な貴公子。ミックを演じていたときとはうってかわって、自信家でちょっとまぬけな貴公子役がピッタリとはまっていた。イケメンなのにかわいいなんて罪では?

そして娘役さんたちのふわふわドレスがめちゃくちゃかわいくてわたしはあなたたち惚れそう…とにやにやしながら見ていた。てか全編通してにやにやしすぎてた。マスクありがとう。


そして有名なあのラインダンス!!!生ラインダンス!!!!一糸乱れぬ!!!足の高さもぴったりでこんなの見せてもらっていいんですかありがとうございます…お金払いたい…(払ってた)

ピンクのふわふわの衣装が足を上げるたびに揺れて、桃源郷かなにかかと思った。

そして大階段?の上からゆらゆらと妖艶に体をくねらせ踊りながら降りてくる娘役さんたち。転ばないか心配…なんてさせないくらいしっかりとした足取り。男役さんも勢ぞろいで圧巻。

最後はみんなシャンシャンをもって登場。背中に大きな羽を背負って登場するスターたちが一層まぶしい。ああ、終わってしまうのか…と思うがさみしい気持ちは全くなくて、最高に充実、今死んでも悔いがないとおもうくらい幸せな気持ちに満ち溢れていた。

幕が下りて、すぐさまアナウンスが流れたのは驚いた。

アンコールがあるのかなと思っていたのだが潔さが逆に気持ちがいい。

最高の状態でスパッと幕が下り、思った。もう一回観たい。

終演

あっという間に終わってしまった。ふわふわした状態で館内の撮影スポットを案内してもらい、ポスターと一緒に写真を撮る。お姉さまと2ショットも撮れてうれしかった。

さて、余韻を残しつつ会場を後にし、キャトルレーヴへむかう。

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宝塚を意識しはじめたきっかけである柚香光さんのポストカードをはじめ、何気にいろいろと買ってしまった。絢さんのポスカを買いそびれたことが悔やまれる…。

メモ帳はお姉さまからのプレゼント!何から何までお世話になりっぱなしで、至れり尽くせりの一日だった。

一日を振り返って

女性だけで作られた、男女の世界。これほどまでに、引き込まれるとは思いもしなかった。

演劇というか、絵画のような美しさだ。

「宝塚は美容と健康に効く」

宗教のようだよねと笑ったお姉さまはこう言っていた。

間違っていない。宝塚は宗教だ。見たものは必ず救われるし肌艶もよくなって全身の血液が沸騰したかのようにめぐる。

帰宅して、夫から「つやつやしてるし肌がすべすべ」と言われたのだから間違いない。

翌日、私は宝塚友の会について検索していた。年会費1500円はやはりバグっている。こんなの容易に沼に落ちるではないか。


最後に、私を観劇に連れて行ってくれたお姉さま、本当にありがとうございます。熱心な布教活動のおかげで、私は今宝塚という沼に着水しました。

百聞は一見に如かず。宝塚が気になっているというそこのあなた!

つべこべいわず一回観てほしい。そこに言葉はいらないはずだ。

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