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オペラ素人がオペラハウスに魅せられる

~コバンザメのシチリア滞在記~


イタリアにはミラノのスカラ座をはじめ世界中に知られたオペラハウスがいくつもあるようだ。

イタリア政府観光局(ENIT)公式サイトを見てみると、素晴らしい劇場が国のあちこちに点在していることに驚く。
http://visitaly.jp/purpose/music

ゴールドや赤を基調とした豪華なボックス席が建物の周囲をぐるりと埋め尽くしてステージを見下ろし、はるか遠くまで見上げるような天井にはそれぞれの劇場ゆかりの絵画が描かれ、細工の施された電球が落ち着いた明かりを放つ。
映画や絵画などでしか見たことのなかったそのオペラハウスが、ここカターニアにもあった。
カターニア生まれの作曲家ベッリーニの名前がつけられた「ベッリーニ劇場(Teatro Massimo Bellini)」である。

カターニアに来て間もないころ、観光スポットとしてここを訪れたときは日が落ちてすぐの夏の夕暮れだった。

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演奏会のなかったその日は劇場の入り口が鉄の柵で囲まれ、チケットオフィスとおぼしきドアも固く閉じられて、観光客を拒絶するような雰囲気だった。
外観はみごとな彫刻があちこちに施されているのにどちらかというと暗くすすけた印象で、劇場の周囲も薄暗い通りがいくつかあり、何だか歴史的廃墟のように見えてしまった。最初の印象があまりよくなかったので、その後すっかりこの劇場のことは忘れてしまっていた。

初めて入ったのは、カターニア出身のあるテノール歌手の追悼コンサート。無料にひかれてとりあえず行ってみることにしたのだが、一歩中に入って驚愕した。

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映像の中でしか見たことのなかった空間がそこにあった。

縦長の空間にさまざまな年齢の人たちが集まっている。イブニングドレスとまではいかないが素敵なドレスを身にまとったマダムたち、リラックスした雰囲気のおしゃれな若いカップル、家族連れ。歴史を感じる建物の独特のにおいと香水の香りが合わさって、楽し気な声とともに会場を満たしている。
たぶん日本人にとってはそんなに有名ではないこの劇場が、とてつもなく魅力的に見えた。

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それ以来、毎週のようにHPをチェックしている。

コンサートにも何度か出かけた。

少しだけカターニア生活に慣れてきた自分の、小さな地元愛が芽生えているのかもしれない。

ある日はたまたまボックス席でご一緒した年配のマダムと、コンサートの感想を伝え合ったのもちょっとした嬉しい体験。

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初めてここでオペラも観た。ロッシーニ作曲の喜劇 「La Cenerentola」。
演出が新しく、地元の観光地の映像を効果的に映しながらのとても楽しいオペラだった。

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この地にいる時間は限りがあるけれど、また機会を見つけて出かけて行きたいと思う。


にわかジモティからのおすすめ。カターニア観光を考えている方はぜひぜひ訪問していただきたい。
劇場のガイドツアーもあり(6€(2019年現在))。
チケットオフィスが空いている時間が短く、商売っ気がないというのが、観光客にとっては少し残念。
コンサート当日、席があるとディスカウントしています。

ベッリーニ劇場HP
https://www.teatromassimobellini.it/


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