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香崎
2024年4月12日 06:33
タイトル 「綺麗だ」ずっと、見たかった。小さい頃から両親の影響で花が好きだった。父は、植物が好きでよく植物のことを話してくれた。一緒に図鑑を眺めながら聞く父の話が好きだった。母は花というより花言葉やその言い伝えが好きな人だ。母は、いつも寝る前に絵本は読んでくれなかった。その代わり、花の物語を話してくれた。時には、花の言い伝えではなく自作の物語を聞かせてくれた。それから、大人になっても、
2024年4月12日 06:29
さよなら夜空に無数の星が瞬いている時、私は一人だった。辺りはバニラのような甘い香りで満たされていた。ずっとこの日を待っていた。ずっと信じていた。心からたくさんの想いが溢れ出る。涙が頬を伝う。周りが見えなくなる。それでいい。「やっと、私は⋯⋯⋯。」彼にさよならができる。綺麗に咲き誇る淡いピンク色の花。枝から下へと垂れ下がっているその姿は、まさに名前の通りの姿だった。「
2024年4月12日 06:11
「ねぇ、この花の花言葉って知ってる?」私は近くにいた君に問いかける。それでも君はこっちを見てはくれない。「いきなりなんだよ。」手を動かしたまま君は答える。不機嫌そうな物言いに思わず胸が痛む。「別に。」「まぁいいや。」そういって君はある程度花に水やりをして、おもむろに立ち上がると、ズボンについた土を払った。そしてやっと私の方を見たあと素っ気なく呟いた。「じゃあ、また明日。」「うん
2024年4月12日 06:05
『彼女はとても綺麗だった。優しく、寛容で素敵な人だった。』その次を促すように、花達は揺れる。『最初はただ見つめるだけだった。それだけで充分だった。でも、それだけじゃあ、耐えられなくなった。自分のものにしたいと思った。それが間違いだった』脳裏に、彼女の姿が浮かび上がる。『彼女は、こんな俺を愛してくれた。ずっと一緒にいたいと言ってくれた。それなのに、俺は…』『自分の平穏のために、彼女を人なら