「国際的なリーダーとして日本のサイエンスを支えていく」という道
講義『国際的なリーダーとしてこれからの日本のサイエンスを支えていくために重要なことはなにか』を聴講して、今まで考えたこともなかった観点を得たので、記録を残します。
論文シェアの低下
1982年から論文数シェアがゆるやかに上昇します。
この背景には高度経済成長があります。
具体的には1960年に池田勇人内閣が掲げた所得倍増計画により
国民が一体となり、所得倍増のため労働に勤しんだことが挙げられます。
所得倍増に魅力を感じるのは研究者も例外ではありません。
一方で2010年代をピークに世界に対する日本の論文シェアが低下しています。主因は国力の低下と述べられていました。
そして、国力の低下に伴い、
科学にお金を使う余裕がなくなるのが予想できます。
現に研究費の減額の傾向がありますが、
ノーベル賞受賞者は日本から輩出されています。
ただし、高度経済成長期の研究者と比較すると、今後の環境で研究に励み続けるのは茨の道であり、頑張り方が異なってくると仰りました。
先生曰く、持ち直すには50年は必要だそうです。
改善のためには「国際的な博士号取得リーダーをつくる」
日本では、アカデミアが正当に評価されていない場合が多いようです。
それは、日本の博士号取得者数の減少から伺えます。
他国では人口100万人あたりの博士号取得者が増加傾向にあります。
そして、日本のサイエンスを好転させるには、1人でも多い国際的な博士号取得リーダーをつくり、ロールモデルとなる人物をつくる。
そうすることで2世代目以降からから次々と、海外で博士号を取得する日本のサイエンスを牽引できる人材が増加すると見積もられています。
サイエンス分野において国際的にリーダーシップを取るには?
主に2つお話されていました。
1つ目は新しい分野を拓き、そこに人がついてくること。
そして、その上でその分野の先駆者競争に打ちひしがれないメンタルの準備です。
先生の経験としては、
「既存の概念から異なるものに大発見がある」
そうで、そこから新しい分野を拓かれました。
どういう方向をもって、どういう研究をするか?
①Big pictureをもつ
Big pictureとは人に問題意識を持たせる概念で、VISIONとも同義です。
②優先順位(マンパワー、時間、コスト)をはっきりさせる。
このなかで最重要は、時間です。時間を区切り、作業の期限を決め、マンパワーとコストを見積もります
③一緒に働いている仲間に優先順位を共有します。(コミュニケーション)コミュニケーションを怠ると、独りよがりのリーダーになってしまいます。
実現場では、この工程が原因で苦労している方も多いそうです。
多様性のある環境下で研究をするとなるとコミュニケーションも
より難しそうですよね。私が希望している研究は共同研究のため普段自分が関わってきた人とは異なるアイデンティティを持つ人だと思います。そうした場面で、コミュニケーションが円滑にとれるように意識していきたいとより一層思います。
Big pictureを持つコツ
①1日1報の原著論文を読みます
どういう部分に問題が残っている?のか考えます
②それを解決するために役立ちそうな論文を読みます
論文を元に解決に導く仮説を立てます。
まだ詰められていない仮説があると思います。
③それを解決するために役立ちそうな論文を読みます
精緻に考えられた仮説が出来てくるそうです。
それがBig Pictureに育っていきます。
①~③を各1ヶ月ずつ行います。
つぶやき
特に印象的なのは、
「高度経済成長期の研究者と比較すると、今後の環境で研究に励み続けるのは茨の道であり、頑張り方が異なってくる」ということです。
時代の背景だったり、
時代の雰囲気が物事に大きく影響を及すことを学びました。
この観点から事象を捉える意識を持ちたいです。
また、随所で私達の「次の世代」を意識させられました。
まだまだ若いし、自分の世代で何かを変えられるんだ
と自然と考えていました。
ただし、今回の講演を拝聴し、日本への大きな好影響を目指すのならば、
行動の効果が目に見えるのは50年後くらいだと見積もったほうがいいんだと学びました。
結果が目に見えてでなくても、一先ず次の世代に「バトンを繋ぐ」
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