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あなた達に一体何がわかるんですかって話。

風をうち 大地をけりて
悔ゆるなき 白熱の力ぞ技ぞ
若人よ いざ
一球に 一打にかけて
青春の 讃歌をつづれ
ああ 栄冠は 君に輝く

甲子園大会歌「栄冠は君に輝く」二番の歌詞

日本の夏の代名詞、甲子園が佳境を迎えています。
茹だるような暑さの中、18.44mを挟んでぶつかり合う極限の集中と緊迫。
渾身の力を込めて投じた一球を、渾身の一振りで迎え打つ。
白球の行方を見守る一瞬の静寂の中に、甲高い金属音だけが吸い込まれていく。
堰を切ったように溢れかえる歓声。

最高ですよね。
が、自分が高校球児の頃から社会人になるくらいまでは高校野球が大嫌いでした。
正確には、高校野球ファンの人たちに怒りと憎悪の限りを抱いていました。
八つ当たりもいいところですが、「甲子園はにはドラマがある」「高校野球って青春だよね」とか聞くたびに吐き気を催していました。
あれは、ドラマなんかじゃない。
青春なんてとんでもない。
あれは、地獄だ。
もしくは呪縛だ。
始発の電車に揺られてグラウンドへ向かい、着替えもそこそこに始業ギリギリまでひたすらバットを振り続ける。
吐きそうな暑さの中延々と走らされ、トイレで吐いてはまたランニングに戻る。
自主練という名の半強制の居残り連が終わって学校を出る頃には22時近く、家に着く頃には日付が変わる直前。
玄関で倒れ込むように寝る日も珍しくなく、そのまま朝を迎えてまた始発でグラウンドへ向かう。
毎日の練習を耐えて迎えた試合では、たった一球のミスで背番号が奪われ、人格すら否定されている気になる叱責が待っている。
そんな、疲労と重圧と緊迫だけの毎日。

これのどこが青春だ。
高校野球の何を知って、そんなことを言ってるんだ。
青春とかドラマとかそんな綺麗な言葉で勝手に美談にして、お手軽感動コンテンツとして消費するな。
こういう人たちが高校野球を褒めそやすから、いつまでも悪き風習が残り続けているんだ。
一体、高校野球の何がわかるっていうんだ。

と、狂ったように怒り散らしていました。
ドス暗く汚い感情が煮つめられたカオスな心情でしたが、それを一言でまとめるなら「お前らに何がわかるんだ」だったんだと思います。
今はすっかり、当時の僕が心から嫌悪していた高校野球大好きおじさんですが、この「お前らに何がわかるんだ」という怒りは今も強くあるように思います。
浅い表層のところだけ掬って、何か知ったような気持ちになって誰かを攻撃したり悪口を叩いたり、または褒めちぎったり。
そんな人を見ると「一体何をわかって言ってるんだ」と大人気なくイライラしてしまいます。
本人の立場にならないとわからない事情や経緯や感情があるということが想像できないのか。
想像力のない人が苦手になったのは、案外高校野球がきっかけなのかもしれません。

などとグダグダ垂れ流すだけの器の小さいおっさんの戯言なんてかっ飛ばしてしまう甲子園決勝が明後日に迫っています。
果たして、栄冠はどちらに輝くのか。
ぜひ、決勝の舞台に立つまでに流した汗と、耐え抜いた日々にも思いを馳せながら応援してあげて下さい(一体誰目線だよ)。

今週のテーマ:納涼!ヒンヤリした話

人生で一番ヒンヤリしたのは、去年あたりに取材撮影で福井県の漁港に行ったときですかね。
水揚げした魚の保存用の冷凍庫(と言うかもう冷凍室?冷凍部屋?)に撮影で入りました。
その温度がたしかマイナス50度とか。
夏で暑かったので調子に乗って、防寒着は大丈夫ですーとか言いながら入ったらものの数秒で全身凍りついて死ぬと思って「スミマセンイマスグダシテクダサイ」とお客さんに助けを求めました。
納涼どころかではないヒンヤリ体験でした。
皆さんも超低温冷凍庫に入る時は、絶対に渡された防寒着は断らない方がいいですよ。本当に凍っちゃうよアレ。

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