「クラス会議」は、全ての活動と共存できる。
アドラー心理学をベースにした「クラス会議」。シンプルな活動を続けることで、子どもたちが互いに認め合ったり、困ったことを前向きに解決したりしていくことができる素敵な方法です。
この「クラス会議」。他の教科や活動と対比されることも多く、「どちらがいいのか?」という議論が展開されることがあります。約20年、この「クラス会議」を続けてきて、言えることはタイトルにも書いたとおり、「『クラス会議』は、全ての活動と共存できる」ということ。いや、共存どころかむしろ、他の教科や活動を強化するカンフル剤のような役割を果たします。
ここでいう「クラス会議」は、朝の会などを使って行う毎日短時間(10分程度)で実践する方法です。これについては、別記事で書いているので、そちらを読んでいただけると分かると思います。
では、他の教科や活動とどう関連するのかをいくつか紹介させていただきます。
「学級会」と「クラス会議」
まず、一番対比される活動が「学級活動」の中の「学級会」です。
「学級会」は、生活上の諸問題の中から精選された「議題」についての話合いを通して合意形成を学ぶ時間。進め方についても、しっかりと準備をして進めます。
この「学級会」と「クラス会議」は、全く別物だと考えておいた方がいいと思います。「学級会」の「議題の話合い」と「クラス会議」の「議題の話し合い」は同じように思う方も多いと思いますが、全く違うと思っておいた方がいいと思います。
「学級会」の議題は、生活上の諸問題(児童全員の共同の問題)について時間をかけて話合い、合意形成する。一方、「クラス会議」の議題は、個人が困っていることについて、ブレーンストーミングなどあまり時間をかけずに、みんなで解決策を出し合って、個人がどうするかを決める‥‥という話し合い方になります。
「クラス会議」を続けているベースがあれば、この「学級会」が活性化する理由は3つあります。
1つ目は、「『議題』が全て話し合えるようになる」ということ。「学級会」だけだと精選された「議題」以外は話し合いをする時間がないので、「議題」としてと取り上げられなくなりますが、「学級会」の「議題」に取り上げられなかった「議題」も「クラス会議」の短時間の話し合いに取り上げることが可能になります。
子どもたちからすれば「議題」に挙げれば、確実に全て話し合ってもらえることになるので、「議題」が挙がりやすくなるという利点があります。逆に、「クラス会議」をベースに考えれば、全員で時間をかけて話し合うべき「議題」があれば「クラス会議」ではなく、「学級会」で話し合えばいいのです。
2つ目は、普段の話し合いで、「クラス会議」の話し合いによって、互いの意見を尊重しあうことを学ぶので、意見をどんどん出せる雰囲気ができたり、建設的な話し合い方を学ぶことができたりすることです。「学級会」の話合いが活性化します。
3つ目は、小さな問題は「クラス会議」で話し合ったり、もめごとを自分たちで話し合っていく雰囲気が醸成されるので、いわゆる「学級指導」に時間を取られなくなるということです。学ばなければならない内容を、「学級会」の時間にしっかりと学ぶことができるようになります。
「クラス会議」がベースにあれば、「学級会」は確実に活性化します。
「道徳」と「クラス会議」
次に、よく「クラス会議」と並んで取り上げられるのが「道徳」です。
「道徳」の目標は、「学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。」となっています。そして、そのための「価値項目」が決まっていて、それについて道徳の時間に学びます。
この「道徳」は、価値を押し付けるような時間ではなく、価値についてみんなで価値観を話し合いながら、理解を深めていきます。日常の問題を取り上げないで、読み物資料を使います。これは、客観的な資料を使うことで、自分の価値観を発表しやすくなります。自分たちの生活のことだと「いやいや、自分、そんなんしてないやん!」といったように、言いにくくなってしまいます。
なので、あえて客観的な資料でみんなの価値観を出し合って、価値についての理解を深め、自分自身の日常生活について振り返り、さらにそれを共有する‥‥という、とても温かい時間となります。
「クラス会議」がベースにあれば、「道徳」が活性化する理由は3つあります。
1つ目は、「クラス会議」を続けていることで、話し合いに慣れていることと、互いの意見を否定しない雰囲気ができているので、価値について葛藤する場面でも、互いの考えを認め合うことが前提になっていることで、話し合いをする態度が準備できているということです。
2つ目は、普段の話し合いで、「クラス会議」の話し合いによって、互いの意見を尊重しあうことを学ぶので、意見をどんどん出せる雰囲気ができたり、建設的な話し合い方を学ぶことができたりすることです。葛藤場面での話し合いなどが活性化します。
3つ目は、「クラス会議」の活動でお互いの関わりが多くなることで、振り返りの場面で、学級でのポジティブな経験がたくさん想起されることです。振り返りが充実するだけでなく、さらにそれを共有することで、子どもたちの関係が良くなっていきます。
「クラス会議」がベースにあれば、「道徳」の授業が確実に活性化します。
今日は2つの教科、活動と「クラス会議」についてまとめてみました。同じように、「クラス会議」は、他の教科や活動とぶつかることなく共存できます。むしろ、カンフル剤のように活性化させることにつながります。
学習指導要領にどう位置付けるか、といった話もきちんと説明ができますので、そのあたりはまた次の機会にお伝えしますね。
「クラス会議」オススメです。ぜひチャレンジしてみてください!
店長敬白。
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