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【序文公開】グンマ・コンプレックス

山や温泉ではなく、あえて「関東平野の端っこ」としての群馬に焦点を当てた、建築・都市・風景の写真とエッセイ『グンマ・コンプレックス』(企画・文章:神谷彬大 / 撮影・デザイン:岡本章大)。
2022年12月の発売以降、まるで群馬のごとく地味に好評を博し、初刷を売り切ることができました。
このたび増刷を記念し、著者・神谷のnoteにて序文を公開します。

 「君は群馬が好きなの?」──2015年、修論発表会。指導教官からの最初の質問は、思いもよらぬ方向から飛んできた。

 散々迷走して提出した建築学専攻の修士論文。普遍的なテーマの中で、具体例として「群馬の建築」を取り上げて論じたが、群馬を対象とすることの必然性を問われたのだった。

 「えーと……群馬は自分の地元なので、好きです」と答え、後づけの選定理由も説明したが、本当に「好き」なのかどうか。発表会の後もずっと引っ掛かりがあった。

 そもそも卒業論文や設計課題でも群馬を対象地に選ぶことがあり、SNSでもつい群馬ネタをつぶやいてしまう私は、「群馬といえばカミヤ」という印象を友人たちにも与えるようになっていた。そして「群馬、群馬」と言い続けて、こんなzineをつくるまでになってしまった。

 確かに群馬県民は「上毛かるた」に代表されるように郷土愛が強いと言われ、東京や別の地域にいても「群馬出身」を強調する人が多いように思う。それは、ネット上のコラージュ画像や漫画『お前はまだグンマを知らない』などが話題になり、自虐ネタとして言っている面もあるだろう。もちろん郷土愛もある(はずだ)。では私は、自虐のためにこのzineをつくるのか。あるいは郷土愛なのか。どちらでもないのか。

 おそらく私はどちらでもなく──ただ「自分を形成してきたものを探る」ために群馬を探っている。長年考える中で、それは「関東平野の端っこ根性」にあるのではないかと思うようになった。

 このzineではそんな群馬の①地理や、②建築や、③都市を通して、その地域特性を考察し、友人の岡本氏による写真とともに、勝手な持論を展開していく。あくまでも私の視点から見たひとつの群馬の姿だが、何か心に残るものがあれば嬉しい。

<目次>
#1 関東平野の端っこ根性
#2 群馬建築の野望
#3 空っ風に向かえ

企画・文章:神谷彬大 / 撮影・デザイン:岡本章大
/ A5横判 / 48P / ソフトカバー

全部、群馬のせいだ―――
なぜ群馬県民は自虐ネタが好きなのか?なぜそんなに「ぐんまちゃん」を推すのか?
作者自身が東京で感じたカルチャーショックや劣等感と重ね合わせながら、建築・都市の特徴とともに紐解かれる、平野としての群馬の姿。
群馬のほうを振り向き、空っ風をまるごと受け止めたとき、見えてくるものがある。

STORES、および一部書店様で発売中!詳細は下記よりご覧ください。
グンマ・コンプレックス | カミヤオカモト (stores.jp)

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