政見放送への手話アバター活用?
政見放送で手話通訳者に狼藉を働く輩の映像が流れてきていろいろ落ち着かない日々である。とりあえず、舞台装置の中に中年女性を立たせると、笑いのネタにしようとする輩があとを絶たないことはわかった。
手話関係者になってからというもの、こうやって手話通訳がおちょくられたりするたびに怒ってきた。怒るのは疲れる。とりあえずどうしたら事態が改善するだろう? と思ってつぶやいてたら微妙にバズってるので記録しとこう。
屈強な男性通訳者に抑止効果はあるか
そこでまず考えたのは、中年・壮年女性が多い手話通訳だから、なめられるんじゃないか? ということだ。つまり、ALSOKにおつとめのような屈強な男性手話通訳者をアサインすることで抑止力を出す。ただそんな室伏浩二みたいな手話通訳者は見たことはない(いたら是非お知り合いになりたい)。男性通訳者はいるが、だいたい5%以下と貴重であり、彼らをブートキャンプにいれて、屈強な体格を得てもらうというのはちょっと考えられない。
すると、やはり屈強な男性に手話通訳としての教育を施すことが考えられる。破格の値段で養成して専門的に政見放送に特化して全国で仕事をしてもら……
待て待て、屈強であっても、舞台装置の中にいたらネタにされるには変わりないのでは。「絶対に笑ってはいけない○○」みたいに笑かしにくること間違いない。だって表現の自由を盾に「ふざける」ような人たちだ。通訳は言語を変換するのが必要なのでSPのように戦うことも許されていない。
というわけで、とりあえずALSOK系男子通訳を養成する案はいったん取り下げて……。
ワイプで手話通訳を挿入しよう
まず、政見放送動画は、動画で持ち込むことが可能な方式もあるらしいので、生放送ではない。じゃあ、字幕も付けて(政見放送は現行ルールだと、字幕挿入がなぜかデフォルトでない)、あと撮りワイプにするのがいいだろう。そしたら肉体的な接触がなくなるので、大分手話通訳者にとって楽になる。ワイプの大きさが画面の4分の1サイズくらいなら申し分ない。豆粒みたいにしなければOKだ。
映像編集に余計に費用がかかる? うーん、でも今回みたいなのって、迷惑料とか、訴訟とかにならない? これ、エスカレートするとどうなるかわからんぞ…と思った。ネタがやり尽くされると次次と悪ふざけのレベルも上がることが懸念される。
いざ手話アバターの活用
それでも「ふざけた候補の通訳」は精神的苦痛が伴う。手話通訳者は別にその政治信条を指示していなくても、顔出しで通訳しないといけない。つまりこの仕事は匿名化できない。これは困る。
実は、選挙演説などでは、手話通訳は候補者の運動員とみなされていたりする。一応、候補者が手話通訳者に謝金を払って動員することはできるのだが、公職選挙法施行令 第百二十九条5 によると1日上限1万5千円/人だそう。東京都の手話通訳等派遣センターにお願いすると、最初の3時間分のお値段だ。日給ではなく講演会とかピンポイントで使う分にはいいのかな?
ただ、その手話通訳者が「お金で雇われた手話通訳者」なのか、「その候補者を応援している運動員」なのか見た目で判断はできない。すごく上手い通訳者がお金で雇われた人かと思いきや「候補者を応援しているのでボランティアで参加」だったり、逆だったり…。このルールを知らない人もいるので「あ、手話通訳のAさんはB候補の支持者だったんだ」と思われてしまうこともある。困ったもんだ。
一方、政見放送は、有資格者が一律いくらで雇われて割り振られて行っているが、これは候補者1人当たり54, 800円らしい。これは都道府県の選管が払っている。※参考資料
それで、この値段でできるのかどうかよくわからないけど、政見放送はNHKが一手に引き受けているようなので、ここはひとつ、NHKが開発している手話アニメーションアバターによる匿名化を提案したい。
この彼女。中の人がいて動いているのはわかっているので(すごい数のモーションキャプチャを付けているらしい)、「ジェネレートするAIでの手話通訳はまだ実用レベルじゃない」といっていても、中の人がいればアニメーション化はできる。政見放送は、量が多いので、中の人は複数人用意する必要があるけど、この女子アナ風(?)のCG手話通訳者に皆さん変身して、ワイプのなかに納まればよい。さすれば、やばい人の通訳をやっても、「笑ってはいけない」ゲームに罰ゲームのように参加させられていたことが一族郎党にばれずに済む。まあやばい映像を通訳しなければならないという苦行は減らないが。
美女アバターがいいのか、そっくりさんがいいのか
アバターが使えるとなると、その「ガワ」をどんな属性にするのがベストかなども探れる。別にKikiさん(NHKのアバターの名前)でも、ALSOK系男子でもいいのだが…
というか、そもそも、候補者に似た属性の通訳者のほうがもしかして、いいのか? ということでもある。男性候補者なら男性通訳が、女性なら女性が、年齢、体格… 選挙ということで、音声を一律のトーンにしたりはしていると思うが、手話アバターが使えると、手話通訳者の外見をそろえることもできるし、技術の進歩によっては、候補者に近い属性の「手話アバター」通訳者を配置することもできる。
これはちょっと、夢があるね。どっちがより受け入れられるのか、とても興味がある。
実は、手話アバターや手話アニメーションの開発、1990年代からあって、「実用化しない」(30年間実用化してない)「中の人が必要なら、手話通訳者不足を解消するために開発費を回したら」とか私も思っていたのだが、出番があるじゃないか! 手話の匿名化! これ、今回の選挙でとても必要なものだと世間の理解もあるし、進んだら、いいなあと思いました。
※個人の見解です
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?